20余年Web制作・開発を生業にしてきた者のしくじり先生

本記事は株式会社iCARE Devチームの Advent Calendar2レーン目16日目の記事になります。

昨今コロナの影響もあり、駆け出しエンジニアというハッシュタグを非常に良くみかけるようになりました。
また世界的にもIT技術者の需要が非常に高まっている事もあり、
学習サービスやスクールなども乱立しています。
私の経験から、これからエンジニアになろうとされている方や
エンジニアになってまだキャリアの短い方にメッセージを送りたいと考え
ちょっとした記事にしてみる事にしました。

最初に私自身が何をしくじったと自身で感じているかという結論を先に述べさせていただくと
『エンジニアとしてのキャリア設計がなさすぎた』という大いなる反省点を感じています。
時代のタイミングとして直近の20年、つまり1990年代後半から最近までにかけての20年は世界の歴史としても産業革命としてカウントされるであろう
変化・進化の時代でした。

正直よほどの先見性がないと時代の変化を予測する事は不可能だったとは思います。それにしても、少なからずエンジニアと呼ばれる職業に就いて
長く生業として継続していく道を選んだのであれば、どのような技術キャリアを構築していくのかという事はしっかりと想像しておくべきでした。
今改めて振り返ると仕方がなかったとはいえ、目の前の仕事に忙殺されるだけの日々を過ごしてきてしまったと思います。
勿論仕事なので、好きな事だけを選んでやっていくというのは現実的ではないと思います。
とはいえ、その仕事をこなしている時点で最先端の技術を採用して高度な技術を取り扱っていたとしても
その技術が枯れる技術である可能性は大いにあります。
自分は最先端の技術を利用した仕事を沢山実績として経験しているから
この先も安泰であるという安心感は非常に危険です。
これは残念ながらこれまでの過去20年に限定した話ではなく
恐らくはこれからの10年、20年先も同じ事が起こり続けると個人的には考えます。

昔は手に職を付けると安心安泰であると言われてきましたが
この手に職を付けるという部分の事情が昨今はすっかり様変わりしたように思います。
恐らく全ての専門職で当てはまると思いますが
コンピュータの進化によって、それまで利用されていたツール(道具)が日々進化しています。
私自身が陥ったしくじりは、まさにこの道具に振り回されてしまったという反省になります。
例えば大工でも古くからある様々な大工道具も勿論使える必要はあるのだと思いますが、多くの現場では機械化により進化した工具が使われていると思います。
この工具などの便利ツールを利用すると、不慣れな人でも比較的容易にプロの真似事が実現できてしまいます。
エンジニアの例でお話すると、オープンソース化が加速化する昨今は
様々な便利な外部モジュールやフレームワーク、ソフトウェアが無料で大量に利用する事が可能になりました。
最先端の開発現場では、効率化や安定性、メンテナンス性などの属人化を避ける目的からもこれらのツールの活用は必要不可欠です。
このツールの使い方を極める事も勿論重要ですが、より重要な事は
そのツールが見えないところで何を補ってくれているかを理解して使いこなすという点です。
私個人の具体例をお話させていただくと、昨年サービスが終了したWebでリッチコンテンツを容易に提供できる
Flash(現:Adobe AnimateCC,旧Macromedia Flash,Adobe Flash)というソフトウェアを使いこなすプロフェッショナルとして10年以上の歳月を投下してしまったという点です。
それそのものはしくじりの本質ではなく、もしそのツールが世の中からなくなったらという事の想像ができていなかった為に
もっと幅広く、根本的な知識(変わらない基本)を身に着ける時間を割くべきでした。(時間の活用に大きな損失をうんでしまいました)
勿論アニメーション自体のノウハウや動画の知識などは今でも私の中の知識として資産になってはおりますが
Flashが終了する最初の大きなきっかけとなったスマートフォンの登場により
Webアニメーションそのものの需要が大きく減退してしまった事により、
その知識資産を活用する場面がほとんどなくなってしまいました。
別の例をわかりやすくもしもで提示するとすると
グラフィックデザイナーでAdobe Photoshop,Illustratorが何らかの事情で利用できなくなった時に廃業に追い込まれるデザイナーは一定数いると想像できます。その方々が偽物のデザイナーであるとは思いませんが、道具に依存したデザイナーであるのは否めないと思います。

少し別の視点の話をします。
最近、『やりがいの搾取』という言葉を耳にするようになりました。
この言葉は労働者の「やりがい」を利用して、雇用主が従業員に不当な長時間労働・低賃金で業務を強いて、利益を搾取する行為を意味しますが、
搾取された労働者のやりがいは時間や賃金だけの話ではなく
文字通り一番やりがいに溢れた時間的機会を奪われる事にもなります。
スポーツ選手が引退する際などに「体力と気力の限界を感じました」というようなコメントをされる事がありますが
若い時間、または業界年齢の浅い期間というのは平等に存在し、平等に失います。「やりがい」は浪費してはいけません。そして一部の特殊な人でない限りは基本的に消費される側面のあるものです。
一度身についた基礎習慣や常識は簡単にはリセットできません。
個人的には最初の3年から長くて5年くらいまでが、とても重要な時間であり、機会であると私個人は考えます。

それでは、どのようにするのが正解なのか考えると、一概にこれが正解であると断言できるパターンはありませんが、好きだから、楽しいからだけを理由に近視眼的に目の前の課題やタスクに取り組み続けないように、定期的に自己と世間の動向を俯瞰して振り返る習慣を身につけるというのが、各々がしくじらない答えを導き出せる手段であると私は考えます。

現在の私ですが、私はキャリアが長い事もあり決してフロントエンドだけに取り組んできたわけではなくバックエンドもフロントエンドも、必要に応じてインフラも最低限自己完結できる知識は持っておりますが
一番長く時間を割いてきたフロントエンドの分野とECMAScriptの知見を活かして専門性の高くなった昨今の状況下で、フロントエンドエンジニアの道を選択しました。
ECMAScript(JavaScript)、TypeScriptは言語としての成長性も高く
バックエンドのコードも単一言語で実装できるという点も魅力に感じています。現在でも器用な人はインフラ・バックエンドからフロントエンドまでも一人で全てをこなしますが、それでも昨今は技術そのものというよりも、ツールの使い方を大量に覚える必要がある時代なので
専門分野、得意分野を明確に持って役割分担するのが効率的です。

最後に宣伝にはなりますが、私の勤める株式会社iCARE開発チーム
様々な専門チームに分かれて、多岐の分野で活躍できる機会を得られる組織です。
定期的にフロントエンド勉強会、インフラ勉強会、バックエンド勉強会など
各専門分野のスペシャリストを技術顧問としてむかえ、それぞれの勉強会を開催しています。
自分の所属する分野以外でも意欲的に学習したい人材には広く成長の機会が提供されています。
『やりがいの搾取』がされずに『やりがいの尊重』『やりがいの冗長化』が実現された環境です。
人材もベテラン勢から未経験の方まで幅広いメンバーでチームにて開発課題に取り組んで高め合っています。
少しでも興味のある方はまずは気軽にカジュアル面談等で話を聞きにきてください。

株式会社iCARE
https://www.icare.jpn.com/

エンジニア求人ページ
https://herp.careers/v1/icare/requisition-groups/a834f71a-27b8-43e6-b533-6fa4f17f48a8

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