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憧れの爆からの洗礼

機動隊では、勤務時間外のほうが熾烈な争いが起こります。
筋トレ合戦、ランニング距離の長い短い こういった実績をつくり爆やSATに推薦され、短い人で半年、長い人で2年ほどで入隊が叶います。
しかし、本人が爆やSATに入りたいと願っても、努力不足や人格がやばい人、評判が悪い人などは推薦されません。
既存の隊員が、NOという判断を下します。
理由は簡単です。
爆はレスキュー、SATはハイジャックなどの制圧突入など、一般隊員とは比べ物にならないほどのきつい訓練と有事の際の本番、つまり生の現場になった場合、既存の隊員同士命を預けて現場に当たらなければなりません。
人格がヤバイ人、努力できない人、訓練成果も芳しくない能力の低い人がペアであった場合、その彼に自分の命を預けられますか?
答えは無理ですよね?

だから人格に優れた人や努力出来て、成長する将来性のある人間が爆やSATに入ることができるのです。

必然的に、憧れるしそこに入った人間は認められた人間ということで一般隊員から一目置かれます。
それが新隊員だとしても・・・

結論、私は半年で爆へと入隊になったのですが、1中隊の訓練時や仕事する際、「おい新人!!」と怒鳴られ名前を呼ばれたことがなかったのですが、爆への入隊が決まった、異動日までの約半月の間「seigikann君」と急に手のひら返しで名前を呼ばれたのを覚えています。
それが先輩隊員全員から。

爆のネームバリュー恐るべしです。

憧れの爆に入隊したが、ここからがエグかったのです。
またしても新隊員訓練、レスキューの新隊員訓練です。

種目はレンジャー、主に山岳救助の訓練をします。
機動隊の新隊員訓練は期間が決まっていましたが、今度は新人の出来高しだいで隊長査閲の日が決まるらしい、新隊員がダメなやつばかりであれば一生隊長査閲はされず、本物の爆にはなれないのです。

訓練は、レンジャー塔と言って、約13メートルある斜めに作られた登攀用のレンジャー塔と、ヘリからの降下用及びロープ僑と言って登攀用の塔からロープを渡してわたるわたり塔の2つで行われました。

人間恐怖を感じる高さというものが、11メートルから13メートルらしいのですが、レンジャー塔は13メートル

高すぎると一発アウトということで諦めがつくのですが、13メートルから落ちたら死ぬ確率は低いですが、大けがするかもという思いが人を恐怖に包むらしいのです。

心理ですねー

まずはこの高さからなれる必要がありました。

機動隊の新隊員もまずランニングから始まりましたが、爆もランニングから開始
機動隊新隊員のときもやった、これはついていけると思いましたが、なんのなんの

時間が長く、何キロ走るとか聞かされないで走ります。
そうして、スピードが速い
機動隊の新隊員訓練は、少し速足かな?ってくらいの速度
しかし爆のランニングは、早い、この一言
しかも掛け声までついている始末

息が続かないし、早くて足がもつれる

ぐぬぬぬ
次は、レンジャー塔に登るためにハーネスを付けますが、これは1本のロープで作ります。
自分の腰にそのロープを巻き付け、股間の前にカラビナを1個付けて完成。
ちなみに、カラビナの縦の力の耐久力は「17KN」ニュートンといい、つまり約170Kgまで耐えうる力があるということになります。

本当は既製品のちゃんとしたハーネスがありますが、訓練の一環でそうしてつくっているらしいです。
股が痛いんですわ、股が

そうしてここからが訓練開始、もうすでにランニングで汗がびっしょりで足がプルプルしている始末。
レンジャー塔のてっぺんにロープを巻き付けて、レンジャー塔の下まで伸ばします。
13M・・・
新人はまず先輩隊員のロープ登攀を見ます。

はい、次やって

ロープを右足に絡ませ、両手でロープを持ち左足を軸足にして、右足を上に持ち上げます。
つまり、右足の膝蹴りです。

登攀の原理としては、地面でロープを持っている人が、登る人の膝蹴りに合わせてロープを持ち上げて膝が下がると同時にロープを引いて登攀者にテンションをかける。
すると、テンションがかかったロープが絡まった右足にロックがかかり登攀者は落ちないという仕組みなのです。
そのまま同じ要領でずんずんレンジャー塔を上っていく訓練です。
これを「レンジャーseigikann登るぞ!!」と掛け声をかけて登ります。

これは、新人からしたら初めての事ですし、足と腕に最大火力がかかり、大体が途中で挫折して、登攀というより、手で登る手登り状態でてっぺんまでたどり着きます。
そんなことをすれば、2回目、3回目はもう登れません。

最初はこれの繰り返しです。

早い人で翌日にはギクシャクしながらも登れるようになり、次の訓練へと移ることが出来るのです。

これがだいたい午前中、昼を挟んで午後3時ころまで永遠と繰り返されました。

先輩からもう終わりの声がかかると、みんな一斉にロープの片付けをして撤収します。

新人たちはみんな「やっと終わった・・・」と安堵していましたが、このあと、100mロープを巻いて縛って肩に担いでランニングの始まりです。

指揮船頭の小隊長(警部補)が飽きるまでランニング、というかダッシュを繰り返します。
100m走よりも少し遅いくらいの速さのダッシュを緩めないで新人の誰かが落ちるまで走ります。
我々新人も落ちてなるものか、最初の脱落者にはならんと気合を入れて走ります。
みんなダメな奴のレッテルを貼られたくないので必死です。
そうしているうちに、1名2名と脱落してランニングは終了。
新人は「もう終わりだろう」と再び安堵するのです。
1中隊にいるときには、午後3時には訓練が終了しているので、その感覚なのです。

時刻は午後4時30分、終勤まであと1時間
逆算すると、片付けをして汗の処理をして終礼を待つのでいいところでしょう。
もう終わりだ・・・
先輩「よし倉庫に集合だ」
え?まだなにか?
そうこの倉庫悪魔の倉庫なのです。
倉庫は車両や大型の資器材が収納されている倉庫で、もちろん爆の特殊車両もこの中にあります。
先輩隊員が順番に爆の車両を倉庫の入り口まで動かし、車両2台分のスペースが空きました。
しかし、たかだかトラック2台分のスペースが空いたところで訓練はできまいと安心していましたが、倉庫の天井からバラバラとロープが落ちてきました。
天井を見ると天井の鉄筋の梁にロープが巻き付けてあり、それが2セット

この高さ約10m
これを手登りしてもらうというのです。

落ちても大丈夫なように手登り用ロープとは別に命綱があり、有無を言わさずにロープハーネスに命綱とカラビナが装着されました。
とにかく登れと指示があり、登ります。
体重が重たい奴ほど不利な競技です。

手袋をして登っていますが、この手袋が滑るので、今度は素手で登ります。

これがなかなか、手の内側の皮がベロ剥けなのです。

私は体重が重く、なかなか登れず最終的に、足をロープに絡ませてなんとか1回登って終わりました。

その日のお風呂は、お湯が染みるので、腕をお湯から出すようにバンザイの格好でお風呂に入っていました。
頭を洗うのも、手の甲を頭に当てて洗っているのかなんなのかわからない感じでシャンプーをしました。

つらい、1日目でこれか
機動隊の新隊員訓練とはレベルが違いました。
子供と大人 
レンジャーの訓練がきつすぎる これが一般隊員から畏怖されて一目置かれている理由なのです。

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