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幼馴染み(四人声劇台本)

幼馴染み


ユウキ
レン
カオル
マコト


ユウキ『…アキラが死んだ』

レン『…は?』

カオル『な、何言ってんだよ…悪い冗談はよせ』

マコト『…何で…死んだの…?』

ユウキ『交通事故だ。…俺の目の前で…子供を助けて死んだ…俺は動けなかった…ごめん』

レン『え…いやいや、嘘だろ!?今日はエイプリルフールでもねえのにまた悪い冗談やめろよ!』

マコト『エイプリルフールでも…言っていい嘘じゃない…』

カオル『…ユウキが俺達を呼び出したのはそう言う事か。アキラには会えるのか?それとも葬式まで待てってか?』

レン『カオル、何でお前そんなに冷静なんだよ!?アキラが…アキラが死んだんだぞ!?何でそんなにあっさり受け入れるんだ!?俺達幼馴染みだろ!?』

カオル『幼馴染みだからだろ?アキラは自分の事より他人を護る奴だ。子供を助けたって聞いたら納得するしかない。』

ユウキ『…アキラは…体の損傷が激しくて…』

レン『最期すら会えないのか…』

マコト『…アキラ…文化祭で俺達と演奏するの楽しみに曲作ってたよね…それも…出来ないの…?』

レン『文化祭!?それどころじゃねえだろ!?!?』

カオル『レン!マコトに八つ当たりするな!マコトも今はそんな話するんじゃない』

ユウキM
俺達は幼馴染みだった。アキラは子供の頃からピアノを習っていて、音楽を俺達に教えてくれた。バンドを組もうと提案し、楽器を教えてくれたのもアキラだった。

レンM
小学校の頃から学校が終わると習い事がない日は集まって色んな曲を練習していた。それは当時から高校三年の今でも当たり前の事でライブハウスでも披露する腕前までにはなっていた。

マコトM
纏め役のアキラはキーボード。目立ちたがりなレンはボーカル。静かで冷静で周りを見れるカオルはベース。格好良いからと必死に練習をするユウキがギター。そして俺は前に出なくてもよくて思い切り発散出来るドラム。バランスもよかった。

カオルM
そんな俺達が高校最後の文化祭でライブをする事が出来る。去年までは風紀がどうのこうので学校から許可がおりなかったのに、今年、校長先生が変わって面白いではないのかとやっとおりた許可だった。

(葬式後)

カオル『マコト、いつまでも泣いてたらアキラが心配するぞ。泣きやめよ』

マコト『っ…だって…』

レン『だってじゃねえよ、男だろ?アキラを成仏させねえ気か?』

カオル『またそう言う言い方を…』

ユウキ『…なぁ、葬式も終わったし、アキラを見送れたし、ここで話すけど…バンド、どうする?』

マコト『…アキラが居なくなって…続けられるの…?』

カオル『…確かに。全部アキラがやってくれていたからな。俺達はおんぶに抱っこ、好きなようにやらせてもらっていたから、アキラの居ない今、現状続けていくのは難しいだろ』

ユウキ『でも、文化祭で演奏するのはアキラが高校最後にデカい事したいって頑張って交渉してくれたからなのにか?』

レン『…そのアキラがもう居ねえじゃん!!何の為にライブすんだよ!!どうやって演奏するんだよ!?』

カオル『レン、お前はちょっと落ち着け。レンだって本当は続けたいんじゃないのか?』

マコト『…レンは…すぐ怒る…冷静にって…カオルに言われて…落ち着けっていつもアキラに言われてた…よね?』

ユウキ『はは…そうだったよな』

レン『うるせえーんだよ!』

ユウキ『で、結論は?』

カオル『アキラ失くした今、俺はやらないよ』

マコト『…俺も…』

レン『俺もだ』

ユウキ『…そっか…わかった。…あのさ、コレ、アキラが最後に書いた新曲の楽譜。オバサンから貰ってて…全員分コピーしといた。やらないって決めてるのにどうかと思うけどさ、最後の曲だから…形見っつーか、…受け取ってくれよ』

マコト『…アキラ…』

レン『………すげー良い感じの曲じゃん』

カオル『アキラらしい、俺達の得意な演奏を組み合わせてくれた曲だな』

ユウキ『…正直、俺は文化祭だけでもやりたい。アキラが居なくても、アキラが作ってくれた道を閉ざしたくない。…でもさ、強制してやるもんでもねえし…な』

カオル『あ、俺これから塾だ』

レン『俺はバイト』

マコト『…呆気ないくらい…みんな…日常に戻っていくね…』

ユウキ『…生きてくならそんなもんだろ』

マコト『……うん』

ユウキ『さて、俺達も帰ろうぜ』

マコト『…うん。……ねえ』

ユウキ『ん?』

マコト『ユウキはアキラの最期居合わせたんだよね…?』

ユウキ『…おう』

マコト『…ユウキは…いつも我慢するから…自分を責めるから…』

ユウキ『何が言いてえの?』

マコト『…事故…助けられなかったんじゃないから…ユウキを責める奴、居ないから…自分を責めないでね…?』

ユウキ『ははっ、サンキュ』

マコト『それと……楽譜、ありがとう』

ユウキ『いや、俺はコピーしただけだしな。マコトは続けたいって言ってくれると思ってた。アキラに一番懐いてたのお前だったからさ』

マコト『……ごめん』

ユウキ『謝るなよ!みんなの言い分ももっともだしさ、俺は…この曲を…まだやってない残された曲も…全部やりたかったよ。…なんてな、じゃな、俺アキラんち寄ってくからマコトも気を付けて帰れよ』

マコト『……うん。ありがとう』

(アキラの部屋)

ユウキ『相変わらず音楽バカな部屋だなぁ。…アキラ、覚えてるか?音楽の楽しさとか難しさ、五人でやる気持ち良さ…教えてくれたのお前でさ、いつも音楽に真剣で…っ!(泣きながら)ごめん!!引き止められなかった!!みんなの事、引き止めらんなかったよ!!あんなにアキラが頑張ってくれたのに…ごめんな…』

ユウキM
俺は暫く泣いた後にアキラの作った曲の入ったUSBを全曲分見てはオバサンに許可を貰い持ち帰った。その日から一人駅前でギターを弾いた。三人には何も言わずアキラの残した曲を思い出と共に弾き続けた。

(間を置いて学校)

レン『なぁー!今回のテスト結果どうだった?』

マコト『…まぁまぁ…かな』

ユウキ『俺はギリギリヤバかったわぁ』

カオル『そんなに難しくなかったのに?』

ユウキ『お前は本当に嫌味をサラッと言うよな。で、そんなレンは?』

レン『赤点だよ!!補習だよ!!クッソ!何が難しくなかった、だよ!?超難解だったわ!!』

カオル『そりゃ授業中ヨダレ垂らして寝てたらそうなるよね』

マコト『…………爆睡』

レン『うるせえ!!』

ユウキ『ははっ、赤点なのはいつもの事じゃん?補習頑張れよーて、あ、悪い!俺用事あるんだ。先に帰るなーまた明日!』

カオル『アキラが死んでからユウキの奴付き合い悪くなったよな』

レン『音楽やらねえと俺達に興味ねえってか?幼馴染みもそんなもんか』

マコト『…その言い方…よくない…』

カオル『マコト、何か知ってるの?』

マコト『…………』

レン『何だよ!?言えよ!!』

マコト『……夕方6時過ぎくらいに…駅前に行ってみて…そしたら…わかる』

レン『はぁ?』

カオル『駅前に?ユウキバイトでもしてるの?アイツそんなに金銭面困ってなかったよね?どう言う事?』

マコト『……いいから…行ってみて…』

(間を開けて駅前)

カオル『駅前って言われてもなぁ…結構広いんだけど何を見ろって言ってんだろ』

レン『ったく、何もねえじゃん。俺帰るぞ、カオルはどうする?』

カオル『俺も帰ろ…待って…』

レン『っ!?この曲…!』

カオル『どこだ、どこから聴こえてるんだ!?』

レン『人多過ぎてわかんねえよ!』

カオル『(見回して)っ!!レン!!アソコ!!』

レン『!?あれ…ユウキじゃん…しかもこの曲…アキラの…』

カオル『……そう言う事か』

レン『っ…なんだよ…アイツ…』

マコト『………二人ともわかった?』

カオル『…マコト』

レン『アイツ、いつから?』

マコト『…わかんない…でも…毎日毎日やってる…』

レン『俺達に何も言わずにか!?あの曲は全部五人でやる曲だろ!?』

カオル『…ユウキは誘えなかったんじゃないかな。俺達がもうやらないって言ったのと、事故現場に居合わせながら何も出来なかった自分がアキラの曲をみんなでやろう、なんて』

マコト『…多分、ね…そうだと思うよ…でも、アキラの曲を殺すのもユウキには出来ないから…一人で、やってる…誰にも何も言わずに…』

レン『そんな勝手な話知るかよ!!帰る!!』

マコト『あ、レン』

カオル『ユウキの性格的にわかるよ、けどね、相談くらいして欲しかったとは思うよね。俺も帰るよ』

マコト『っ……………ねえ、アキラ…ユウキを助けてよ…いつも纏めてくれてたじゃん…俺には何も出来ないから…それでも、ユウキ見てたら…俺もアキラの曲やりたくなるんだ…バラバラになった俺達を…もう一度…』

ユウキ『…アキラ、やっぱりこれは五人でしか完成しねえよ。俺がどんだけ頑張ってもさ、これは俺一人で完成させられる曲じゃない。あの時…俺が子供助けてたらよかったのかな…って言ったらアキラは怒るんだろうな』

(間を空けて文化祭)

マコトM
あれを切っ掛けに俺達は本当にバラバラになった。ユウキはいつも通り二人に接していたけど、カオルもレンも憤りを隠せなかったのか冷たい態度を取り出しユウキは俺としか話せなくなっていた。

マコト『ねえ…ユウキ…』

ユウキ『ん?どした?』

マコト『ライブ枠…結局どうしたの…?』

ユウキ『あー…相談したかったんだけどさ、カオルもレンも何故か怒ってるし、そのまんま。俺一人でやろうかなって』

マコト『ユウキは…それでいいの?』

ユウキ『良いも悪いも仕方ないだろ?あ、そろそろ時間だ。マコト、ありがとうな!』

マコト『ユウキ!待ってよ!!俺もステージ上がる…!ドラム練習してある、タイムテーブルの曲も全部…勿論、あの曲も…』

ユウキ『マコト…でも』

マコト『でも…じゃないよ…二人が怒ってるのは…ユウキが一人で抱え込んだから…駅前での演奏…俺達知ってるんだよ?』

ユウキ『えっ…』

マコト『自分一人で背負って…演奏して…そんなのアキラは喜ばない…俺達が…バラバラになって…悲しむだけ』

ユウキ『そう…かもしれないけど…どの面下げて』

マコト『…俺達子供の頃からの何でも話せる幼馴染み、でしょ?ぶつかっていけばよかったんだよ…アキラの事故は誰が一緒に居ても…防げなかった…そんなのみんなわかってる…でも…やるせなさにバンドはやらないって…言っただけ…』

ユウキ『つまり…?』

レン『俺達だってユウキが本気で続けたいって相談してくれりゃ、俺達は断らなかったって事!!寧ろ切っ掛けが欲しかっただけだ。アキラの意思を繋げる切っ掛け』

カオル『その通り、アキラが亡くなって直ぐにバンドがどうのとか考えられなかっただけだよ、俺達。俺もレンもユウキの路上見てから練習再開したんだ。この日の為に』

ユウキ『レン!?カオル!?』

レン『ったくさ、やるならやるで相談しろよ。一回やらねえって言ったくらいで相談しねえとかふざけんな』

カオル『そうだよ、アキラの言葉忘れた?俺達は五人で一つ、でしょ?』

ユウキ『っ…』

マコト『ライブは四人でだけど…アキラは曲で参加してる…五人に間違いはないよ』

ユウキ『っ…ごめっ…俺…俺は…お前達と一緒にアキラの曲がやりたい!アキラが遺してくれた沢山の曲を一緒にやりたい!!』

レン『そんなん俺も一緒だっつーの!最後の曲の歌詞、こんなんでどうだ?アキラに届くようにしたんだけどさ…』

カオル『ユウキ、冷たくしててごめんね。でも、少しは俺達の気持ちも考えて欲しかったんだ。アキラの曲を好きなのは四人とも同じなんだよって、ね。それで、ここ、ちょっとアレンジしてみたんだけど…キーボードが居ないからベースとギターでカバーして…』

マコト『ねえ、ユウキ…俺達は…子供の頃からの幼馴染み…話せばわかるって…知ってるでしょ?アキラが本当に喜ぶライブがどんなのかも…わかるでしょ?』

ユウキ『本当、俺はバカだな…アキラの笑顔、いつも五人一緒の時が一番だったよな。よし!それじゃ、リハは出来なかったぶっつけ本番だけど俺達なら出来るよな?』

レン『とーぜん!俺達ナメんな』

カオル『そう、当たり前だよ』

マコト『アキラの気持ちも一緒に』

ユウキ『さぁ!俺達の舞台だ!最後まで暴れようぜ!!』

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