【コラム】作品のささやき声

本でも、映画でも、音楽でも「なにか良さそうなのないかな~」と作品を物色することありますよね?

私はこの「物色する」という行為そのものが結構好きです。
作品のタイトルをなぞったり、パッケージデザインを眺めたり、あらすじをななめ読みしたり、コメントをチェックしたりして
「好きかも!」と、ピンと来る出会いを探る旅です。探すだけでも楽しんでいたりします。

昨今、陳列されている作品の数は膨大である場合が多いので、「物色」もなかなかのスピードで行いますから結構神経使います。
そもそも「物色」が好きということもあり、「物色」に熱中するあまり、気がついたらもう作品の中見る気力を使い果たしているといった場合もままあります。

物色好きもいいですが、物色に気力を使い果たすというのはなんかもったいないですね。
まるで合コン三昧の日々に気力を使い果たして、誰とも付き合っていない愚か者みたいじゃないですか。

そこで最近私が試しているのが
「作品のささやき声」に耳をかたむけるという手法です。

膨大な作品群を前にして物色作業の手を敢えて止め
腕を組み、目を閉じます。

そして心を落ち着かせ、文字通り「作品のささやき声」に耳をかたむけるのです…

そうするとね、なんか聞こえてくるんですよ

「…私に気づいて…私に気づいて…」

声のするほうに手を伸ばす、そして手に取った作品を
読む、見る、聴く。

…って おい!それただのランダムピックアップじゃねーか!

なんて言われちゃいそうですが、いえいえ「物色」に気力をつかいすぎるのもねぇ…という話です。

もちろん合コン中に、やおら腕を組み、目を閉じて押し黙ったら
気持ちワルがられることうけあいですが。

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<セイエン文庫は声演(朗読)作品を発行するプロジェクトです。>


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