【教えて】「最高の贅沢」は追体験できないのでしょうか?
大学入学を期に親元を離れ、北九州で一人暮らしを始めたばかりの頃。
近所のスーパー(マイカルサティ)の総菜コーナーで買えるサラダ巻きの味にハマった時期がある。
そのスーパーが特別な工夫を施していたというわけではなく、コンビニでも買えるような無個性なもの。
半額シールが貼られる時間を待って買っていたから、作りたてでもない。
でも最高にうまいものだと思っていた。
母に定期的に送っていた葉書に、自分がサラダ巻きを食べている似顔絵を入れたほど。
どのくらいで飽きたのかは記憶にないが、いまはまったく食べない。
あれより何倍も高い総菜を平気で買ったり、外食したりしている。
「あれが最高の贅沢だと思っていたのに、ここ何年も食べてないなぁ」
とふと思い出し、買ってみた。
なるべく当時を忠実に再現すべく、値引きの時間を待って。
…そもそも売場で手に取った時点で「別に美味しくなさそうだな」となり、まったくときめきが生まれず。
「食べてみたら、これこれ!やっぱうまいやんってなるんちゃう?」と少し期待したのだが、「こんなボケた味だったっけ?物足りないからスープでも作るか」となり。
…最高の贅沢は、追体験はできないのだな、と自覚。
しかも実は、2夜連続で買っている。
初日は、あまりにも惰性で口に放り込んでしまい、数時間経って入浴中に「あれ?そういえば味も確認せずに食べたわ」と気づいた始末。
写真に載せているのは、翌日リベンジで買ったもの。
大学卒業後、上京し、新聞配達奨学生として1年間、出版編集の専門学校に通っていた。下宿していた曙橋から自転車で通える距離に、TUTAYA新宿店があった。
まずコーナーごとに複数階に分かれている規模のデカさにたまげた。郷里でも北九州でも、CD・ビデオのレンタルといえば個人経営レベルの小さな店しか近所になかったので。
しかし、それより何よりCDが視聴し放題なことが衝撃で。
学校が休みで夕刊配達もない完全オフの日は、自転車でTUTAYA新宿店に行って、気になるCDを片っ端からカゴに入れて視聴機の列に並び、ざっと視聴してからまた別のCDを物色して、再度列に並び…ということを繰り返して半日潰すのが楽しみだった。
聴くだけ聴いて1枚もレンタルせず帰ることのほうが多く、迷惑な客だったはず。
だが、私にとってはあれも最高の贅沢だった。
TUTAYA新宿店もう10年以上行ってないけれど、今でも視聴はできるのかな。
今度時間を作って行ってみよう。
ほぼ結果は見えているのに、性懲りもなく「最高の贅沢」の追体験を目指していくスタイル。
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まぁ、いいのですけどね。
半額のサラダ巻きで興奮できなくなって、TUTAYAの大型店で視聴機を占領する時間に至福を感じられなくなって、でもいまのほうが幸せですから。
最高の贅沢が最高の贅沢ではなくなるというサイクルを繰り返して、いまがあるのですから。
だからただの感傷です。わかっているけど、もうちょっと追ってみます。そうしたくなるお年頃なんです、たぶん。
あなたの「最高の贅沢」は何でしたか? もしよかったら教えてください。
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