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より良い呼吸を考える日

 5月9日は生き物すべてに与えられる「よりよい呼吸を考える日」として、NPO法人・日本呼吸器障害者情報センターが制定しました。日付は新緑の美しい季節、風のそよぎに深呼吸すると自然への感謝と生きる喜びを感じる5月初旬であり、5と9で「呼吸」と呼ぶ語呂合わせからも制定されました。一般市民を対象に肺の健康についての理解を深め、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)など呼吸器系疾患の早期発見とたばこの害などの知識を啓発することを主な目的としています。早期発見・早期治療には肺機能検査が有効で、健康診断で義務付けられると良いのですが、いまだ陳情段階で義務付けられていません。イベントとして「LUNG WALK」(ラング・ウォーク)を行っており、肺の健康に良いのが歩くことだそうで、ウォーキングを通して新緑の清々しいこの季節に、「いい呼吸」を体感してもらおうという企画です。
 今、世界を震撼させているコロナウィルス感染症は、肺に炎症を起こし、肺胞が破壊されて肺機能を低下させ、やがて死に至らしめる恐ろしい病気ですが、治療しても後遺症が残り、生活に支障をきたすなどの報告が出ています。人が生命を維持するためには各臓器にいきわたる十分な酸素が必要です。しかし、呼吸器に障害を持つと、肺にうまく酸素が取り込めないため、酸欠状態が続き、心臓にも負担を与え、息苦しいだけでなく歩行も困難となり、日常生活に支障をきたすようになります。感染症だけでなく人間の肺への脅威は汚れた空気にもあります。中国から来る黄砂、PM2.5、工場から出る煤煙、車からの排気ガスや人間が吸うタバコなどが原因となって肺を汚すのですね。
 喫煙の害によるCOPD 、たばこ肺は早期に発見し治療を行えば治る場合もありますが、進行が緩やかなため、際立った症状が出にくく、見過ごされてしまいがちで高齢になってから息苦しさを覚えて病気と気づきます。正確な情報が行き渡っていないため、歳のせいと諦めている人も多く、息切れがあると動くことも億劫になり、食欲の低下とともに痩せてゆき、気分も沈みがちになります。疫学調査によると日本には潜在患者が500万人以上もいると言われています。欧米ではタバコによる肺疾患の害をわざわざタバコのパッケージに恐ろしい写真をつけて周知させているところもあるようです。そのため、タバコは自己責任というだけでなく、他人にも迷惑がかかるという風潮が強まってきています。
 より良い呼吸をするためのひとつに、栄養療法があります。運動療法とあわせて続けることで息切れが軽減して活動範囲が広がり、生活の質も改善されます。肥満気味の方は皮下脂肪が横隔膜の動きを妨げ、効率の良い呼吸運動ができません。タバコを吸わない人でも肥満により気道の上部がふさがってしまうことが原因の睡眠時無呼吸症候群の人も増えているそうです。低カロリー高栄養価の食事を心がけ、適度な運動で体重を落としましょう。飽食の時代には高カロリーな食事と運動不足からくる肥満や生活習慣病が増えており、あらゆる健康に害を及ぼす問題となっているので、今では1日1~2食というオートファジー(16時間断食による自食作用)を取り入れる人も増えてきています。逆に行き過ぎたダイエットから痩せ気味な方は十分なカロリーをとり、タンパク質の多いもの、ビタミンやミネラルの多い野菜や果物、また食後に補助栄養剤を飲み、カロリーを補いましょう。詳しくはNPO法人・日本呼吸器障害者情報センターのホームページや専門家が伝授する低カロリーだけれど栄養価の高い食品などのページを参照し、健康的な生活が送れるように生活習慣の改善を心がけてください。

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