M-1グランプリ2021決勝 勝手な予想

M-1グランプリ2021決勝戦もあと一週間に迫りました。今回は真剣に、かつ多少自分の願望混じりで決勝戦の予想をしたいと思います。
※なので、以下の文章には個人の好みの問題が多分に含まれています。ご了承ください。
※過去のM-1映像や記録数値は参考にはしていますが、全てにおいて正確なデータを集めているわけではありません。そこまでの能力はありません。
※ネタバレはないように最善の注意を尽くします。ただし、ネタに触れたい部分があるのでネタタイトル以外は伏せ字にします(伏せ字の文字数が違ってたらすみません)。
 
前提として筆者は、今回の出場者のネタについて、YouTubeのM-1公式に載った三回戦動画と一回戦の一部、準決勝の配信動画、一部テレビで披露されたネタ、過去のM-1決勝ネタ程度の知識しかありません。なので予想の判断材料としては共通して見られる三回戦、準決勝、近年のM-1決勝のネタに留めたいと思います。
 
 
【決勝戦についての予想】
 四年連続で同じ7名の審査員が務める(上沼、松本、富澤、志らく、塙、礼二、巨人)。そのため、過去三大会の点数を参考にした。が、結局は出順によって大きく点数が異なる(場合が多い)ので、予想できるのは「可能性の高さ」の範囲になる。
 ここではエントリーナンバー順に考察する。コンビ名のあとの()内はエントリーナンバーと決勝進出歴。
 
 その前に、敗者復活枠を予想しよう。

見取り図(敗者復活枠)
 ここでの予想は、基本的に①M-1における知名度(決勝・敗者復活戦進出歴)②お茶の間知名度(関東基準)の二つから主観的に考えた。ネタの質ではそれほど飛び抜けた差はないと考える(特に投票に加わる一般視聴者層にとっては)。
 敗者復活枠の予想は、見取り図。過去三大会連続決勝進出、露出度高い、ネタも大崩れしないとくれば候補として堅いと言わざるを得ない。ただ、準決勝のネタは前半がこの時代かなりアウトなラインなので、準決勝のネタをすると順位を落とす可能性は大いにある。今回は見取り図が敗者復活枠で決勝戦の舞台に上がると予想しよう。
 決勝の審査としては、安定のウケは取るがこれまでと変わり映えしないと見られてあまり伸びないと予想。特に昨年の決勝から変化が感じられるオズワルドや錦鯉と比べて、良くも悪くも「いつもの見取り図」ということを比較されて、優勝争いには絡めないと予想した。
 
もも(6:初出場)
 一定の会話の形式の中で成り立つシステム漫才『○○顔』で勝ち上がってきた。一回戦から勝ち進むごとにシステムを進化させてワンチャンスで決勝の切符を勝ち取った。一種のあるあるネタだが、テンポの良さと言葉のキレがハマれば最終決戦進出の可能性は大いにある。筆者の願望としては少なくとも最終決戦に残って爆売れ東京進出(テレビだけでも)、できればそのまま優勝してM-1ドリーム実現してほしい。
 点数としては万遍なく稼ぎそうだ。巨人からも高評価を得られるのではないか。ただ、ハマらなければ全員にハマらず下位に沈む可能性も十分ある。点数を抑えられそうな要員を以下に列挙する。
・システム頼り
これだけで減点はされないだろうが、どうしても2本目が弱く見える。ただ2019のミルクボーイが優勝した例もあるので、実力で跳ね返してほしい。
・展開の無さ
これをツッコまれる可能性はある。ただ、もものネタの展開よりも「提示の仕方」で違いを見せるべきと考える。準決勝ではそれができていたので、その数や種類が増えれば批判対象には当たらないだろう。今後のことを考えれば、システムを漫才コントの形に落とし込んでいくネタもありだろう(過去にやったこともあるらしい)。
・容姿いじり
コンプライアンス的な問題である。ももの場合は問題になるいじり方ではないが、うるさい連中はどんなことでも無意味に揚げ足を取る。ただ、そこを考えるのは(よほどの差別表現でもなければ)審査員の仕事ではなくテレビ局の仕事である。
・審査員に表現が伝わるか
若者向けの「あるある」表現が多いので、特に年配審査員には伝わらない可能性がある。しかし、である。そもそも「結成15年以内の若手漫才師の大会」である。若手の発想を理解するのが審査員の務めであろう。あまりにも専門的な用語が飛び交う漫才ならいざ知らず、若者が若者に伝わる(概ね)普通名詞で構成した漫才を「分からない」と言われたら、それはもう審査員が辞めるべきである。
・せめる。の滑舌(というかワードの長さ)
個人的にはこれが一番の問題である。一回戦、三回戦のネタ動画では一切気にならなかったが、準決勝では「○○○○○○に○○○○○○○○○○顔」や「○○○○○○○○○○○○○○○顔」「○○○○で○○○○○○○○○○○○顔」など、せめる。からまもる。への長い喩えが多かった。それぞれ音数でいうと20音、19音、22音である。長音(ー)や促音(っ)が聞き取るのに負担にならないと考えて音数に含まないとしても、実質19音、18音、20音である。これは長い。実際、一回見ただけでは2つめは全部聞き取れなかった。
それに対して、まもる。からせめる。への喩えはそこまででもない。「○ー○○ー○で○ー○○ー○顔」は15音、実質11音である。このくらいが聞き取りやすさと語感の良さを両立できる限界だと思う。
改善策としては、長い喩えから余計な形容詞を減らすことである。ここだけはっきり書くが、「フルコンプ」「フル無視」は間違いなく「形容しすぎ」である。削れるところを削ってちょっと間を持たせて聞かせるくらいがこのネタでは丁度良いのではないか。
 
真空ジェシカ(76:初出場)
 ネタの形としてはオーソドックスな漫才コントである。『爆笑オンエアバトル』でお笑いに触れた筆者としては実家のような安心感のあるネタタイプだが、ことM-1では評価されにくいタイプでもある(準決勝敗退を繰り返しながらもザ・マンザイでは決勝常連だった磁石や三拍子などが顕著)。
 このコンビの場合、ネタの形は普通だが、ボケとツッコミのセンスはかなり新しい。近年の漫才(特にM-1)は「ツッコミで笑いを取る」のがトレンドといえる。ぺこぱや東京ホテイソンが好例か。正統派のイメージが強い見取り図やオズワルドもその傾向は強い。それらに比べて真空ジェシカはボケの時点で既におかしい(変な)ことを言っているのだが、ツッコミでそれを補完、あるいは説明して面白さを伝わりやすくしている笑いといえる。
 ネタや笑いの質としては最終決戦に残る可能性は高いと見るが、塙や巨人には漫才コントはウケが良くないかもしれない。また、ボケの川北の低めの声と抑えめの声量で聞き取りにくい部分もあるのでそこは注意が必要である。
 
モグライダー(635:初出場)
 今大会は歌を絡めた「○○を練習したい」系の漫才で勝ち進んだ。そのため準決勝の配信動画は音声の大部分がカットされていたが、カットされていない部分だけでも何をしているのか内容が伝わり、笑えたので歌に頼り切りのネタになっていない。三回戦のネタは元の曲をいまいち知らなくても面白かったので、準決勝のネタは相当面白いと思う。決勝戦の舞台で最もウケる画が想像できるコンビ。優勝予想としては1位に置きたい。
 決勝の審査員では上沼や富澤は高得点をつけると予想。巨人にはハマらないが、90点台は出るのではないか。
 
オズワルド(2372:3大会連続3回目)
 実績からいうと今大会の優勝候補筆頭。昨年も可能性は十分ある漫才だったと思うが、二人の審査員から真逆のことを指摘されるという理不尽な目にも遭った。トップバッターでも引かない限りは最終決戦ほぼ確定と見るが、松本と巨人にいま一つハマっていない感もある。今回、予想採点をするに辺り疑似的に行った出順くじではトップバッターになってしまったので、最終決戦候補からは外すこととしたが、そうでなければ最終決戦には残るだろう。
 
ランジャタイ(3033:初出場)
 ボケが大暴れしてツッコミは基本的に横で見ているスタイルの漫才。昨年のマヂカルラブリー優勝による「漫才か漫才じゃないか論争」を再び引き起こしそうな芸風である。
 少し脇道に逸れるが、昨年大会の「漫才論争」でいえば、「マヂカルラブリーの一本目は漫才だが、二本目は漫才とは言い難い」「ついでにおいでやす小田の二本目も漫才とは言い難い」というのが筆者の(好みに基づいた)考えである。マヂラブの一本目はフレンチのマナーについてのフリから発展したボケであり、ボケの大暴れから一旦リセットしてセンターマイクに戻る形は、単に漫才の中の一ボケが大きく発展した形と見られる。ただ二本目はほとんど二人のやりとりもなく、ずっとボケが暴れているので、陣内智則のように映像を用意してツッコミがツッコんでいれば成立してしまうのが漫才とはかけ離れている要素だと感じている。
 さてランジャタイの場合、動きも喋りもボケが圧倒的に働いている印象だ(準決勝は音声カットだが)。マヂラブとは違って、むしろ「ツッコミがいなくても全く問題ない」ネタと見られる可能性がある。特に塙と巨人の評価は低いと予想する。ウケ量だけならトップクラス(に準決勝ではウケていたらしい)が、決勝の客層ではどうか……という懸念もあるので、ここでは下位になると考える。
 
インディアンス(3107:3大会連続3回目、敗者復活枠含む)
 とにかく田渕がボケる、パワー系の漫才。昨年度、人気投票になりがちなシステムの敗者復活戦を実力で勝ち抜いた腕は本物(もちろん、前年ファイナリストという知名度はあるが)。どの客層でも笑わせられるボケ、何よりネタの明るい雰囲気が予選ではとにかく強い。
 点数だが、昨年もトップバッターとしては高得点だったので、審査員ウケはいいだろう。特に上沼は買っていると思われる点数なので、今大会も高得点が出るのではないか。ツッコミのきむが昨年までよりもネタの中での存在感を増しているので、全体の点数も上がると予想。ただ、やってることは基本的に昨年と同じであり、審査員を大いに唸らせるだけの発想は恐らくないので、手堅い点数で3位争いをするのではないか。
 
ゆにばーす(3355:3大会ぶり3回目)
 男女コンビ。特に今年は男女を武器にしたテーマで勝ち抜いてきた。準決勝のネタはしゃべくり的な会話のやりとり、展開としては出場者中トップクラスの上手さだと感じた。台本の出来栄え点は高そうである。
 ただ、男女のやりとりを意識しすぎるあまりか、露骨な下ネタがしばらく続く中盤が非常にきになった。女性が多いであろう観客にウケるか、視聴者目線も考える審査員にどう受け取られるかといった問題がある。ネタの上手さでは最終決戦を争う地力はあるが、その辺りの課題を乗り越えられるかが難しいところ。
 
錦鯉(3761:2大会連続2回目)
 漫才のスタイルとしてはボケが一方的に話を進めてツッコミが一方的にツッコむというスタイル。ランジャタイとの違いはツッコミの存在感。準決勝のネタを見る限り、ボケのまさのりさんのパワーだけで突き進むのではなく、ツッコミの隆さんが上手く制御している印象だった(話の流れとしては制御できていないのだが)。
 昨年に比べて上手さが上がっており、パチンコのネタのようにギャグの詰め合わせに終始しない広がりがあるので、昨年よりも高得点が期待できる。3位の枠を争うことになると予想。
 
ロングコートダディ(4141:初出場)
 コント師としてキングオブコント決勝に出場したコンビ(筆者はキングオブコントは基本見ていない)。M-1では昨年敗者復活戦で見た「しゃべくりだけど漫才というよりも普通の会話のようなネタ」という形のイメージが強く、正直筆者的にはハマらなかったのだが、今年の準決勝のネタは純粋に面白く評価を改めた。
 ただ、準決勝のネタを決勝でやると仮定した場合、設定としては漫才でないと表現が難しいネタではあるのだが、設定の突飛さとセンターマイクから二人ともが離れる時間が長いのがどうしてもコントっぽさを想起させてしまう。あれだけセンターマイクを無視する漫才コントをそのまま評価してしまうと、それこそ「どんなネタでもやっていい大会」になってしまうのではないか。なのでウケ量ほど点数は伸びないと予想する。
 
 長くなったが、最終決戦進出者を予想したい。
 
【上位3位が確定的】
モグライダー
オズワルド
 ネタと技術で上位進出濃厚と考える。今回、疑似くじでオズワルドが出順1番になった影響で点数を低く考え、最終決戦予想からは外したため括弧書きとした。1番以外なら最終決戦進出だろう。
 
【審査員にハマれば上位】
真空ジェシカ
もも

 技術や内容の面で気になる部分はあるが、初出場の勢いや新鮮さ、ハマった時の爆発力などを考えて上位に来ると予想。しかしそれがハマらなければ下に記す【あと一歩】グループに入ってしまうか。
 
【3位争い】
インディアンス
錦鯉
ゆにばーす

 ネタと技術で安定して上位を狙えるグループと考える。ゆにばーすだけは好みに不安があるが、周りの影響を大きく受ける集団であろう。
 
【あと一歩】
見取り図
ロングコートダディ
ランジャタイ

 準決勝で敗退している以上、見取り図上位予想は避けたい。下2組は「漫才らしくなさ」を評価しない審査員がいるので、そこを見られて下位に甘んじることになると予想する。
 
 というわけで、最終決戦及びその順位は、
1.モグライダー
2.真空ジェシカ
3.もも

 と予想する。
 正直言ってかなりギャンブル性の高い予想ではある。手堅くいくなら「オズワルド、インディアンス、錦鯉」かモグライダーを信用して「モグライダー、オズワルド、錦鯉」辺りになるだろう。私は今大会、好きな組に多少肩入れして楽しむことにする。予想が外れても楽しめない面子ではなさそうだ。ただ、ランジャタイだけはマジでハマらないのでランジャタイ最終決戦進出だけは不安だが……
 とにかく皆さん、決勝を楽しみましょう!決勝から遅れること数日で感想も書けたらと思います。

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