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硝子農家物語 -法律の壁-

工房を建てようとしている田んぼが"農業振興地域"であることが分かり、農地から宅地に転用すべく農振除外申請を進めようと役所に手続きの話を聞きにいきました。すると「ちょっと待ってくださいよ」と。この土地は農業振興地域であると同時に"多面的機能支払交付金"制度の対象になっていると。

えっ?なに?

なんですか?多面的なんちゃらというのは???

多面的機能支払交付金

簡単に説明すると、昔々に行政がお金を出して用水路なんかを整え、より農業をしやすいようにした農地一帯が"農業推進地域(以下 農振地)"です。そして、そうやって整えられた農地も今や農家の高齢化が進んだことと、例の減反政策で水路やあぜ道やらが今まで通り健全な状態を保てなくなってきたんです。田んぼは畑と違って高いところから順番に水を張る必要があるので、上流の方で水が止まってしまうと下流で今も米づくりをしている田んぼに水が行かず、影響が出てしまうのです。なので、休耕しても尚水路を健全な状態を保つために自治体毎に交付金を出し、そのお金で地域の皆さんで協力し用水路なんかを手入れして農業に影響の無いようにしてくださいね、というのが"多面的機能支払交付金"です。

僕なりに理解した上でかなり端折って説明してるので、誤解はあるかと思いますが、その辺はどうかご容赦ください。

"多面的〜"の交付金に関しては、ここの田んぼに限っては交付金を受け取らないよと自治会の承認を得ればなんとかなるので、除外申請もそんなにハードルが高くはないのですが、"多面的〜"を除外した上で挑む"農振除外"、これがまたややこしいんです。

そもそも農地と宅地では固定資産税が違います。ということは、農地に勝手に家を建てて住んだとしたら、脱税です。脱税どころか、農地は農作物しか作ってはいけないよと法律で決まっているので、そんなことをしたら処罰の対象になります。じゃあどうするか、農地を宅地に転用する手続きを役所に届け出て承認してもらう必要がなるんです。

「届け出るだけやったら簡単やないかい」 と思いますよね?

前述したように農振地は税金を使って整備された経緯があるので、お国としてはせっかく多額の税金かけて整備して、さらには長年固定資産税もも控除したった土地を宅地にするなんて言語道断なんですね。しかしですよ、その土地は国のものではないんです。あくまで個人の土地。先祖代々守ってきたり、なんなら近所の人から最近買い取った土地なんかもあるわけで、そんな土地でも自分の好きには使えない。不思議ですよねぇ。しかも減反政策で休耕してる今後使い道のない土地ばかりなのに、それさえ自由にさせてくれない上に固定資産税だけはきっちり毎年取られるという不思議。

"農振除外"に関しては、当然農地で無くすそれ相応の理由が必要になりますし、除外したのに放ったらかしとなるとまた大問題なので、申請するにも書類を色々作成しなければなりません。条件に関してはそこまで興味のない人が殆どだと思うので、各々で調べてみてください。ちなみに秋田市の例はこちら

農振除外のなにが大変って、大概春と秋の年に2回しか審査がないのです。そしてその審査結果が出るまで約半年~1年。可否の途中経過は知らせてくれないので、最悪1年後くらいに突然「やっぱりダメでした」という返事がくることもあるのです。

そして今回、9月半ばにあるであろう農振除外の審査締切日に書類を間に合わせる為奔走していた最中、お世話になり始めていた行政書士さんがポロリと言ったのです。

「農振除外できて宅地に転用出来たとしても、建物を実際建てられるかどうかは建築基準法の範疇になるからね」と。

はい?農地から宅地に転用出来たら建物建てて良いってことじゃないの??

えっ、違うの???

ということで次は市役所の土木部建築指導課というところに話を聞きに行き、衝撃の事実が発覚するのです。。。

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