不思議体験(その1)

番号付けても続きが出てこないケースがよくあるのですが、そこは大目に見ていただいて(笑)

不思議体験はいろいろしてるのですが、高校時代に「見ちゃった」というお話をひとつ。

お向かいの家のおばあさんが、日本舞踊の発表会に行っておられて、その会場で倒れてそのまま夜半に亡くなったという報せが入りました。私は当時祖父母との3人暮らしだったのですが、祖父母はご近所のことだし、すぐにそのお家にでかけました。

私の部屋は二階で、窓を開けると亡くなった人の家の塀が見える場所です。大きな家だったので、塀から母屋までは庭木がたくさん植わっていて、直接は母屋の明かり程度しか見えません。

やさしいおばあさんで、私は「こんな急な亡くなり方もあるんだなあ」と重いながら窓の外を見ていました。もうすっかり夜になっています。

と、視界の端から塀の上に白くてもやもやとした丸いものが現れました。直径30センチはなかったと思います。「ん?なんだ?」と思って見ていると、そのままスッと塀の内側に転がり落ちました。何も物音がしません。転がるというより、ふわふわと浮いた状態で塀の内側に入っていった感じでした。

「ああ、おばあさんが帰って来られたんだな」と、何の疑いもなくそう思った自分が不思議でした。

祖父母は夜11時ごろには戻ってきました。私も寝ることにしました。夜明けには少し間がある時間だったと思います。私はトイレに行きたくて目が覚め、階段を降りて階下のトイレに行こうとしました。階段を降りて左の突き当りは摺りガラスの窓で、ちょっとした小物などを祖母が干したりする場所でした。そこにシャツのようなものの影が見えました。「おじいちゃんのワイシャツを取り込み忘れたのかな」とだけ思って、確かめもせず、トイレを済ませて再び寝ました。

翌朝、階段を降りてその窓を見ると、影も何もありません。祖母に「おじいちゃんのワイシャツ、取り込み忘れてた?」と訊くと、そんなものは干してなかったと言います。「昨日の夜中…」と私が見た影の話をすると、祖母は「ああ、〇〇さんが挨拶に来たんだね」と何事もなさそうに言いました。

その前に見た白いふわふわしたものの話をすると、「外出先で亡くなったからねえ、家に戻ってきたんじゃろう。珍しいことじゃないよ」と言います。

たましいってものはあるんだな、と実感した経験でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?