「白馬山荘殺人事件」を読んで

 東野さんの第三作にして、東野さんに多めの雪景色を舞台とした初めての殺人事件です。舞台は、「まざあ・ぐうす」という宿泊施設で起こった密室あり、巧妙なトリックあり、謎の暗号ありの、期待通りの内容になっている。
 今回の見どころはなんといっても、本格的な暗号です。「マザーグース」という実際のイギリスの民謡を用いた暗号になっています。読者にとっては高度な謎解きでしたが、探偵役であった大学生2名が徐々に謎御解いていき真相に迫っていく様子はどことなく応援したくなる気持ちになります。ひとえに人柄と言うのもありますが、今回の事件の謎を追及する所以を知っているからこその応援だと思いました。

 そして最後の犯人にも驚かされつつ、真の切ない事件の詳細が明かされたのは胸を締め付けられる思いでした。一つ、二つで終わらず幾重にも真相を張り巡らせる東野さんのストーリー構築には脱帽です。雪山や暗号、密室といったことが好きな方ならぜひお手に取り下さい。


https://higashinokeigo.net/detail/003.html

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