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【UNTITLED】樋口円香の考察+感想-『無題』+αの捉え方-

 怒涛の更新やめろぉ(歓喜半分焦り半分)。11月10日、ノクチルの感謝祭実装、フェスイベでPSR透実装、【UNTITLED】円香実装と、ノクチルPを殺す更新がきましたね。今回は【UNTITLED】を読んだ新鮮な思いを綴ろうと思います。【ギンコ・ビローバ】の記事は実装されてから1週間ほど経過してからの執筆でしたからね。今回は早めにと思いまして。

 一口で説明するなら「透に対するクソデカ感情」。待ってたぜこういうのを……。恒常なのでセレチケまで待っても良かったんですが、欲望が抑えられんかった。今日読みたかった、どうしても。TRUE鉱山掘り尽くしてギリギリ出てくれたという感じだったので、しばらくガシャ禁です。

 この「クソデカ感情」という便利な言葉を、細かく噛み砕いて、理解して飲み込みたいと思って記事を書くに至りました。よろしければお付き合いください。

 ※私は円香のみ感謝祭も読了しています。ネタバレは極力避けますが、一部感謝祭に触れますのでご注意ください。また、【ギンコ・ビローバ】を含む他のカードのコミュにも触れます。感謝祭は感謝祭でまた別の記事を書くかもしれないし、書かないかもしれません。気分次第。

1.『存在』

 基本的に後のコミュで活きてくるコミュですね。このコミュで多くのことを語ることはありませんが、重要なコミュです。直接的な言葉こそないものの、この時点でクソデカ感情が溢れすぎていて感情スカウターが壊れるわ。

 途中までは透についての話がメインなので飛ばします(ここが重要ではあるのですが、後でまとめて語りたいので)。

 最後の、円香の透に対する感情が詰まった「いってらっしゃい」という端的な言葉。多くを語る必要はないわけですね。これはPと円香のやり取りとも少し重なりました。WINGの決勝前、感謝祭本番前ともに、Pと円香は画像のようなやり取りをしています。

いってらっしゃい1

いってらっしゃい2

 もちろん、この前後にやり取りはあるので、透と円香の関係よりは言葉を必要としているわけですが……互いが通じ合っている様子、円香が相手に大きな感情を持っているという部分は共通しているのかなぁと思います。

 円香は大切なものを心の中にしまおうとし、それゆえに多くを語ることはないということは【ギンコ・ビローバ】で分かりやすく描かれていました。【UNTITLED】でもそういった部分を感じることは多かったです。この「いってらっしゃい」はそれを特に感じたシーンでした。

 スタッフとの会話と透への「いってらっしゃい」を聞き比べてみると、透との会話の声色の方が優しく感じられるのは、生徒やスタッフがしていた透の話を思い浮かべて「大切なもの」に対する意識が刺激されたからといったところでしょうか。「いってらっしゃい」の前に生徒とスタッフの言葉がリフレインして、透だけを写す演出があるのも、円香の心情への視線誘導が上手いなぁと。ライターさんも声優さんも流石だなぁとしみじみ思うのでした。

 ところで。

師匠!?

 この「師匠」はカメラマンのことであるのは間違いないと思うんですが、冬優子のWING編で出てきた厳しいカメラマンと同一人物だったらいいなぁと思ってます。あのカメラマンの発言は強キャラ感がありますし、「師匠」と呼ばれてても全く違和感ないんですよね。他のアイドルのコミュで「師匠」が出てきているものがあったら教えて下さい。

2.『以外』-「何」以外なのか-

 強いコミュ。これがあるからこその『部屋』であり【UNTITLED】。あの最強イラストもここで出ますし。

 まず最初。背景はテラスハウスが使用されていますが、イラストから見るに屋外もしくはそれに準ずる環境での撮影だということが分かります。このシーンで真っ先に思い浮かぶのは、まあここですよね。

この寒いのに

 私は前の記事で、この言葉を「アイドルという不安定な存在に身を置くことに対する不安の現れであって、『心臓を握る』などと繋がる言葉である」と考察しました。分かりやすい部分を引用するとこんな感じです。

これは【カラカラカラ】のホームユニットでの台詞(衣装☆1)「ガラスの向こうから見つめないで 一緒に溺れる気もないくせに」とも対応しています。溺れる危険性がある水槽の中(アイドル)と、安全な水槽の外から見つめるPという構図が、【ギンコ・ビローバ】においては「薄手の衣装」と「暖かい服を着たまわりの人」という形に置き換えられて描かれています。
 アイドルという存在が「冷え」ているのは今日に限ったことではなく、常に「周りの人」よりリスクを背負って立っていることから、Pの言葉に対する返答「今日だけじゃありませんが」が導き出されるのです。

 これらから考えると、

スタッフ

スタッフの流れ2

 「まわりの人」が暖かい格好をしていて(+)「アイドル」は薄着(-)と表現していた円香に対して、小糸は【ギンコ・ビローバ】と重なるこのシーンで「スタッフさん(まわりの人)」は忙しそう(-)なのに「わたしたち(アイドル)」はストーブのそば(+)でいいのだろうかと言っています。
 このシーンによって、小糸の外に向いた精神性(結果としてまわりと自分を比較してがんばりすぎることもある)とともに、円香の内向きな思考から生まれる精神的な脆さ、その特徴も浮き彫りになったと思います。

 さて、次の場面を見てみましょう。

うい

 熟年夫婦かな? ノクチル~って感じがしますわぁ……

 急激な語彙力低下を確認したので、以下省語彙力モードでお送りします。考察は一旦休憩。

どや円香

 この円香の表情、そこまで見覚えがないです。ドヤ顔かわいいね、無限にかわいい。新しい表情だと言い切る自信はないんですが、このシーンを見た瞬間に新鮮さがあったんですよね。円香は全カード持ってますが、前回の記事の執筆時みたいに全コミュを見返すのは疲れるので確認はしてません。もしこの表情がこれまでに使われていたシーンを知っている方がいたら教えていただけたら嬉しいです。

まどかの視線2

まどかの視線3

まどかの視線5

 ノクチルのコミュに限ったことではないですけど、細かい動きでの表現も素晴らしいのがシャニマス。視線がお互いの方を向いた瞬間、一気に2人だけの世界に……。「俺も入れてくれ」とか絶対言えないし言いたくない。2人の空間を守る壁になりたい。

 省語彙力モード終わりです。

 さて、この「いろいろ、考えてきたんだ?」という皮肉とドヤ顔。ここに円香の透への理解と愛、そして「私は分かってるけどね」という優越感が凝縮されていますね。
 優越感という言葉を使ったのは、コミュのタイトルである『以外』とこの場面を結びつけたからです。円香(と透)『以外』は、透の実際の姿を知らないわけです。ここから「私以外は知らない」という優越感や、(後のコミュも含めて)透に対する独占欲的なものを読み取りました。そして……

いい、知ってる

でたわね。 

 母? 彼女? いいえ幼馴染です。
【ギンコ・ビローバ】の考察記事で、私は円香がことばに誠実であることと、「知らないけど」などの口癖で円香が明言を避ける傾向をつなげて捉えて考察しました。このコミュでも小糸に対して「小糸も同じくらい注目されるよ」という発言の後に「知らないけど、多分ね」と言っている場面がありましたね。大体の予想はできるが絶対とは言い切れないから、このように濁しているという捉え方です。このような曖昧な言い方や「どうでもいいけど」は円香の心の防衛機能でもあると考えていますが、その話は別の機会に。まあ、機会があるかどうかはわからないけど(遊漁並感)。とりあえず、話をすすめていきますね。

 さて、そんな円香がここでは透に対して「知ってる」と断言しています。よほどの自信、自負があることが伺えます。普段が普段だからこそ、このシーンのインパクトは大きいですね。
 【283プロのヒナ】浅倉透のコミュには、この「いい、知ってる」の解像度を上げるのにうってつけの場面があるので、見てみましょう。

4Kなんかじゃ、追いつかない。

とおる「わからん」

 これはただの湿布の知識の話ですが、この場面に限らず、透はこのスタンスでこれまでやってきたのだと思います。透が事細かに理解していなくても、自分の事をつぶさに伝えずとも「いいじゃん、樋口がわかってれば」
 Pが透のことを理解できず、透に日誌を書かせるようになった原因には、(透のもともとの性格も大きいでしょうが)「樋口がわかって」いるのでわざわざ口に出して自分のことを伝える必要もない、という環境に透が慣れきっていたという要素もあるのだろうと思います。

 当然、長年同じことをやっていれば自信も自負も生まれてくるものです。そのために円香は「いい、知ってる」と断言できたのでしょう。「いい、知ってる」の直後の透のナチュラルな「うん」からも、この「いいじゃん、樋口がわかってれば」の常態化が見て取れるのではないかと。

とおる

 また、「透のことを理解していること」ことは円香だけの役割であると円香自信が自負していることは『部屋』でも分かることです。もう少し詳しいところはそこでお話しましょう。


(おまけ)

 小糸や雛菜が円香のやりかたで透と接することはできないですし、その逆もありません。それぞれがそれぞれらしいナチュラルさのまま、下手に気を遣うことなく互いに作用し続けるというノクチルの基本的なスタンスは、このコミュだけでなく今までのコミュからも理解できます。これは感謝祭におけるトレーナーの「歌もダンスも揃ってきたのに挨拶はいつもバラバラ」「それがあなたたちらしい」という言葉にも表れていました。

 放クラも「バラバラの個性」「仲良し」「青春」というノクチルと似たキーワードを持っていますが、ノクチルのそれとは性質が全く違うものだよなぁと思います。放クラは「バラバラな存在がまとまっていく」、ノクチルは「バラバラのままで完成している」という。

なつまど1

なつまど

 先程も述べたように、アイドルになってから知り合い、絆を深めていった放クラと、始めから絆MAXの状態でアイドルになったノクチルでは「仲良し」や「青春」という同じキーワードも、少し変わった形で捉えられることになります。

 夏葉と円香のこのホーム会話はそれがよく表れているので好きです。夏葉としては「もっと早く放クラの皆と知り合えていたら」「放クラの皆と学校生活を過ごしてこれたら楽しかったんだろうな」といった気持ちがあるから「羨ましい」という言葉が出てくるのかなと。円香は、放クラは長い間一緒だったわけでもないのに仲良しという部分に注目しているのではないかと思います。隣の芝生は青いというやつです。

3.『部屋』-他に誰も入れない空間-

 「キスしないと出られない部屋」に入ったら透が「しゃーない、やるか」って言って速攻で突破してほしい。という戯言は置いておいて話を進めていきます。

 中盤までは「熟年夫婦~~~!」ってやり取りが好きという事と透の寝息がかわいい以外に言うことがないので割愛。いきなり重要なシーンに突入します。

まどくはく1

まどくはく2

 ここまではまだいいのです、個人的に注目したいのはここからです。

まどくはく3

まどくはく4

 コミュ2のタイトル『以外』がここで出てきました。コミュ2の時点で読み解いた円香の自負や独占欲が、ここではっきりと「私以外」という言葉で浮かび上がってくる形です。

 そして、小糸と雛菜でさえも「私以外のみんな」として書かれていることから、円香の透に対する感情の比重がいかに大きいかが強調されている部分であるともいえます。【閑話】などで円香が小糸を可愛がっている様子を見ている人はさらに強い衝撃に襲われたことでしょう。こいつぁとんでもねえや、気が狂いそう。

「透のことを理解していること」ことは円香だけの役割であると円香自信が自負していることは『部屋』でも分かることです。

 『以外』で述べたこの部分は、この流れを根拠にしています。小糸も雛菜も入らない、「私だけ」という言葉。これが自信であり、円香のアイデンティティなのです。

まどくはく5

 ここのログで名前表記とアイコンが戻ってきているのは面白いと思います。『みんな、見惚れてた』からの言葉は円香のものですが、セリフ枠が緑でボイスもありません。一方で『色々、考えてきたんだ?』は通常通りのピンク色のセリフ枠で、アイコンとボイスありになっています。ここは先程の続きの回想シーンですし、円香の発言であることも共通しています。何故このような演出上の差があるのでしょうか。
 両者の差を考えた時に、透が返事をしていることが挙げられます。円香が透に話しかけるだけではなく、透が返答して「会話」になることで初めてグラフィックやアイコン、名前が出るのです。こういう細かい部分でも2人だけの世界の質感が感じられます。

まどくはく6

 繰り返し「私は」「私以外は」「私だけは」という主張が出てくるということは、それだけ強調したい部分であるということでしょう。それはシナリオライターがということでもあり、円香自身が(誰に対してというわけではなく、自分自身に対して)ということでもあるでしょう。反復表現が増えれば増えるほど、読み手は円香の感情も大きいものであると感じるわけです。『存在』『以外』で円香が何を考えているのか想像し、最後に一気に答え合わせが来るという全体の流れも大きい効果をもたらします。あらゆる演出が円香の感情を大きく見せていて、読み手の感情も大爆発です。塵も残らぬ。

 そして、最後。

まど行く

まどみてない

 空調が効きすぎていて少々暑い部屋とはいえ、ベッドに入ってから無意識にふとんを蹴るまでには多少の時間がかかったことでしょう。それが5分か10分か、はたまたもっと長いのかは分かりませんが、少なくともその間は円香は透の近くにいました。

 透の「見てた?」はそのまま透がふとんを蹴ったことにかかっていることが見てとれますが、円香の「見てない」は曲者です。円香のコミュを今まで見てきた人なら、複数の意味が凝縮されているのだろうと身構える部分ではないでしょうか。ここからは完全に私の想像なので、皆さんも自分の中で「ここはどうなんだろう」「こういう意味もあるんじゃないか」と考えながらご覧ください。

1.円香は「浅倉透」を見ていたか
 見てました。

2.円香は透がふとんを蹴るところを見ていたか
 私は見ていないに一票を投じます。寝顔を見たりする瞬間はあったのだろうと容易に想像できますが、透がふとんを蹴った瞬間は見ていなかったのではないかと。回想シーンと独白という円香の頭の中の描写、その間の円香を外から見たら、考え事をしながら別のところを見ている感じだったのではないかと思うわけです……窓の外とか。まどかだけに。

3.上記の項目の答えにおいて、見ていたのに見ていなかったとは?
 1について、私の回答を正確に述べるのであれば、「円香の思考中に存在する浅倉透」を見ていた、となります。これも2の答えと同様、コミュで描かれる回想シーンと独白から想像しています。

4.「みんな、見惚れてた」との対応
 これがとても重要です。「私以外」は見惚れていたのであれば、相対的に円香は「見てない」と言って差し支えないはずです。この場合での「見てない」は『視界に入れていない』という意味ではなく『(ほかの人たちが見ているような浅倉透像は)見てない』という意味になりそうですね。円香は、同級生たちやスタッフのように、「ミステリアスな浅倉透」「アイドルとしての浅倉透」を見ることはないわけですから。

 私の考えをまとめると、円香は実際に透がふとんを蹴ったところを見たわけではない。円香は心のなかではっきりと透が「見えて」いて、透の言動を注意深く見なくても透をナチュラルに理解できているということが、この言葉とそれまでの流れから読み取れる、といった感じになります。円香は常に透を見ており、同時に見ていない(その必要がない)のです。

 円香にとっては、透を「(他の人達と同じようには)見てない」ことこそが、円香が透にとって特別な存在であるというアイデンティティの証明なのだろうと想像しています。

 この言葉や独白のさらに裏にある円香の様々な感情や思考については、皆さんの想像に任せたいと思います。私が書きたい記事は、細かいところを想像する土台となるものなので。それでもあえて私見を述べるのであれば、「落ち着く」「ずっとこうしていたい」「不安」「明日のレッスンのこと」「どうでもいいけど」etc……って感じですかね。全部は分からんです。

4.各コミュのタイトルと【UNTITLED】の意味-「無題」だけではない可能性

 ここまで『存在』『以外』『部屋』の3つのコミュを読んできました。これらのタイトルをより分かりやすい形にしてみたいと思います。【遊魚】でも『飲む』『乾かす』『賭ける』と目的語が足りておらず、「何を」はコミュの中で明かされていました。今回も同じで、適切な言葉を付け足すことでそれぞれのコミュ名が完成するのです。まあ「何が付くのかは分かりきってるよ」という人も多いとは思いますが。

 『存在』は分かりやすく透に重点が置かれていたコミュだったことが理解されていると思います。ですから『透という存在』『浅倉という存在』もしくは『浅倉透という存在』でしょう。
 
 『以外』はこの記事の中で既にお話ししました。『私以外』『私以外は』といった形です。

 『部屋』は『私達の部屋』『2人がいる部屋』あたりでしょうか。「透」「私」ときたら次は両方で締めというのが一番美しい流れかなと。

 最後に、カード名である【UNTITLED】について考えていきたいと思います。 普通に考えれば「無題」となりますし、この意味も当然考えるべきなのですが、本当にそれだけなのだろうかと思ったのです。

 私は、このカードを読む前にネット検索と自分の電子辞書で「untitled」という単語の意味を下調べしました。「(芸術作品などが)表題のない;肩書のない」という意味のみの辞書も多かったのですが、一部、他の意味が記載されている辞書やネット記事がありました。それがこちらです。

un・titled 

①称号[爵位,肩書]のない
②(芸術作品が)題名のない,無題の
③権利のない

引用元:オーレックス英和時点
untitled とは
[形]
1〈人が〉称号[肩書,爵位]がない;表題がついてない
2〈人が〉権利を持たない

引用元:goo辞書英和辞典

 untitledという単語には、「(人が)権利を持たない」という意味もあるようなのです。これは『以外』で述べた、円香の透に対する独占欲と繋がるのではないかと考えています。「私だけは分かってる」ということが円香のアイデンティティとなっているのだとすれば、円香は「私以外の人に透を理解する権利はない(それゆえ私は透にとって特別)」と考えているのではないかと思うわけです。

 「円香のクソデカ感情」というハイパー大雑把な表現を分かりやすく解説できる捉え方なので、個人的にはこの考え方はアリなのではないかと思っています。

 当然、「無題」という意味に取った時の解釈もあります。というか、両方を合わせたダブルミーニングが【UNTITLED】なのではないかと考えています。「無題」という意味で捉えるとどういう解釈ができるでしょうか。

 イラストを見つつ考えてみましょう。

画像25

 芸術的ですね。コミュ内でカメラマンが透に「めちゃくちゃ良かったよ~、物憂げっていうか神秘的っていうか」と言っていたように、このイラストの透からもどこか神秘的な雰囲気が感じられます。人によって色々と感覚は変わってくるでしょうが、パッと見、何か美しいタイトルが付いていてもおかしくないと思うイラストだと思う人は多いでしょう。

 ですが、実際(コミュの内容)はどうだったでしょう。透はいつも通り、そこまで深く考えていませんでした。それを隣で理解している円香もいつも通り。場所がアイドルの仕事現場になっただけで、透と円香のやり取りに変化はありません。これを私は『以外』の考察で「いいじゃん、樋口がわかってれば」の常態化と表現しました。
 我々からすれば円香の透に対する強い感情をぶつけられた新鮮なコミュでしたが、円香や透からすれば、小さいときから続いてきた日常で、タイトルを付けるほどの一幕ではないということなのでしょう。

 透が不思議な魅力で周囲の関心を引くのも、円香がそれを見て「私だけは分かってる」と考えるのも、アイドルになる前から何度も経験している出来事で、今回はそれが偶然学校とアイドルの仕事現場で起きただけに過ぎないのです。

5.まとめ

 最後に全体のまとめをして終わりにしようと思います。

『存在』
……「浅倉透」という存在がまわりの人の目にどう映っているのかが重点的に描かれていたコミュ。円香の言葉はとても少なく、心情についての想像が膨らむ。

『以外』
……「私」、すなわち円香以外は透の本質を分かっていないという客観的事実のみをしっかりと描写しているコミュ。ここでも円香の心情についての想像が膨らみ、読者は爆発寸前。

『部屋』
……透と円香の二人だけの空間が丁寧に描写されているコミュ。これまでは客観的な出来事が徹底して描かれていたが、一転して円香の心情描写に重点が置かれる。円香にとって透という存在の大きさがどこまでも大きく、そしてどこまでも当然のようにそこにあることが理解される。想像していたことに対する答え合わせが一気にくるため、読者は読後呆然とするのであった。

【UNTITLED】
 このタイトルは、このコミュで描かれるような出来事が日常茶飯事であり、特別な題名をつける意味がないという意味で『無題』と解釈できる。また、「(人の)権利がない」という意味でこの英単語を捉えるのであれば、円香の自負や透への独占欲と結びつけて捉えられる。自分はこれらのダブルミーニングの可能性も考えている。

 ところで、Twitterでよく見る「透とPのことをどこまで円香が理解できるか問題」について、私の考えを述べておきます。透がPに見せる顔は円香も知らないと言っていいでしょうが、それも円香が見てきた透の延長線上にあるものであり、円香が完全に理解できないものでもないだろうと思います。根本を押さえていれば、派生したものも理解しやすいというものです。ただ、それを円香が認められるかどうかはまた別の問題。

 以上です……端折りすぎだけど、要約ってそういうもんですし。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。我々が見ているのはシャニマスに登場してからのノクチルですが、そのずっと前から彼女たちは「生きている/生きてきた」と感じさせてくれる名コミュ、それが【UNTITLED】だったと思います。それを過去のエピソードという明確な形ではなく、現在に染み込ませる形で自然に伝えてくるのが本当に匠の技で、彼女らの存在の質感がどこまでも現実味を帯びて伝わってくるのです。ありがとうシャニマス。でも限定の後の追い打ちは勘弁してくれ。

 コミュを見て急いで書いたので荒いところも多いかと思いますが、書いていて楽しかったです。皆も私と一緒にノクチルで浄化されようじゃないか。

 「頑張ってここまで読んでくれた人には、今日焼いたクッキーを振る舞ってあげます」って小糸がさっき言ってました。ハロウィンは終わってるんだけど、あれ以降お菓子作りを定期的にするようになった小糸、かわいいな。

 ありがとうございました。

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