「上積み」と「スカウティング」で上回るために必要な力。

2024年4月3日水曜日。
明治安田J2リーグ第8節。
いわき対藤枝。
3-0で完敗。
連続した大敗には何かしらの原因があるはず。


この日はDAZN観戦。
土砂降りの雨の中で試合をすることになった選手監督スタッフ全員の方々。
そして、遠方いわきまで駆けつけて熱い応援でクラブと共に戦ったファンサポーターの方々。
本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございます。


この日は互角の入りとなりますが、特に輝いていたのが浅倉選手の姿。
自ら仕掛けることもあれば周りのサポートにも回る献身性を見せてクラブを盛り上げます。
逆に、この動きに皆が付いていけないと感じさせる場面も。
梶川選手にボランチの位置まで下がってもらい、浅倉選手のスイッチを入れる役割をしてもらうところを見てみたくなりました。
この日の収穫はここだと言って良いでしょう。


しかし、試合の拮抗が崩れたのは29分。
大迫選手のデザインされたCKを山口選手が華麗に合わせて先制を許します。
それでも何とか前半を1失点で抑えた藤枝MYFC。

後半開始から数々のピンチを招きますが、GK内山選手が何とか防ぎ切ります。
しかし、66分にまたも大迫選手と山口選手にしてやられます。
大迫選手からの鮮やかな縦パスを受けた山口選手は冷静に運び西川選手とパス交換。
最後はきっちり決め切って2失点目を献上。

3失点目はペナルティエリア内で有馬選手がドリブルで切り崩したところを倒しPK。
このPKをゴールに飢えていた西川選手が決めて3失点。
このまま試合終了となりました。

1点目はデザインした形で、練習どおりでした。大迫 塁選手のキックに感謝です。2点目の場面はカウンターになることが分かって、有馬(幸太郎)選手にボールが入ったときにスピードを上げて、DFを1人置き去りにして、西川 潤選手とのパス交換からGKを見て流し込むだけでした。

J公式山口選手インタビュー

--PKになったとき、ハットトリックも狙っていましたか?
少し頭の中にありました。西川 潤選手も得点を決めたがっていて、彼が確実に決めてくれました。自分が蹴っていたらもしかしたら外していたかもしれない。

J公式山口選手インタビュー



この日、明らかに感じなければいけないのは「上積み」と「スカウティング力」の“差”です。

--前節・秋田戦からプレー面で様変わりしたと思いますが、選手にどうアプローチしたのでしょうか。
個別で話した選手もいます。上から目線で話すのではなく、ピッチ上でどんな感じに見えていたか、選手と意見交換しました。今日は雨のピッチで、目の前の選手に勝たないと相手の試合になってしまうので、ハードワーク、タフに戦うことが大事でした。前半の終わりくらいから雰囲気が緩い感じがして、活を入れて後半に選手を送り出しました。「藤枝はギアを上げて逆転を狙ってくるから、それを上回るプレーをしないと勝てなくなる」と選手に伝えて、選手もわれわれの意図を汲んでプレーしてくれました。

J公式田村監督インタビュー

前半、われわれがボールを持っているときにライン間に空間があって、人が立っていたのに勇気が足りなくて差し込めなかった。それが一番の総括になります。あの時間帯に攻めあぐねている部分で、われわれのサッカーではないことを感じた。セットプレーで失点してより顕著に出てしまった。チャレンジしなくなって、前へのベクトルが減って追い越す動きがなくなってしまった。いまのチームの状態を表していると思います。相手は最終ラインを裏返すようなやり方がうまくハマって追加点を取られ、0-3という試合が2試合続いてしまった。われわれの力不足だと思います。

J公式須藤監督インタビュー

両監督からのインタビューでもハッキリと分かる「上積み」の差。
前節の秋田戦を選手それぞれと向き合い、さらに当日にギアをもう1段階引き上げることに成功したいわきさん。
藤枝MYFCは先制されてから攻め手を失い自分達の良さを出せず仕舞いという前節と同じパターンの敗北を繰り返しました。


「何故同じ敗北を繰り返したのか?」
これには数々の要因が関係しますが、1番に挙げられるのは「スカウティング力」の差です。

--いわきがつないでくる事前情報もありましたか?
つなぐときと食いついたときに背後を狙う想定があった。J3からともに上がってきて、互いにテイストを変えながらも色を残しながらプレーしていた。われわれの成長速度が相手に勝てなかったことを認めて、これから埋めていきたい。

J公式須藤監督インタビュー

いわきがタイトにプレスに来るスカウティングはありました。タイトに来たかと考えたらそうではなくて、勝手に思い込んでしまってプレーしていた部分があった。攻撃でもっと行ける場面もあったし、運べる場面もあった。顔を出さないとかプレーが後ろ向きになることが多かった。そうなると監督が掲げるサッカーの体現ができなくなってしまう。

J公式梶川選手インタビュー

スカウティングに基づいた戦略の上を行かれた形となった藤枝MYFC。

--山口 大輝選手が2得点を決めて、前線での守備面も良かったと思います。彼のプレーについて。
良かったです。藤枝のビルドアップはダブルボランチにボールをつけることが多くて、しっかり抑え込んでショートカウンターを開始することが1つのプランとしてありました。

J公式田村監督インタビュー

ボランチが落ちたらついていくことが明確に決まっていて、守備面でやりやすい場面があった。

J公式山口選手インタビュー

--左ウイングバックの大迫 塁選手との連係面で意識したことは?
大迫 塁選手が普段と違うポジションでも、彼との連係は試合の中でうまく修正できた。彼は吸収が早い選手。途中から前に行ける場面も行けて、自分たちのサイドで相手に攻撃させる場面をほとんど作らせなかった。前の試合でノッキングすることがあって、彼の流動性を理解してスペースのある中でゲームを作ることも含めて、狙いとしては悪くなかった。

J公式大森選手インタビュー

藤枝MYFCの頭脳であるダブルボランチを徹底的に攻略するだけでなく、前節の課題だったDF大森選手とMF大迫選手の連携をクリアし試合中にブラッシュアップさせたいわきFCさん。

ここにクラブとしての大きな大きな力の差を感じました。

クラブハウスだけでなく、そこに商業施設も盛り込んだチーム拠点を持ついわきFCさん。
厳しい日程が続くJ2リーグを戦う上でのコンディション管理には明らかなアドバンテージがあると言っていいでしょう。
これは選手だけでなく、監督を含めたスタッフ全員のコンディション管理に直結します。
素晴らしいパフォーマンスを発揮するためにコンディション管理が必要なのは言うまでもありませんが、本当に藤枝MYFCがクラブ一丸となってそこに取り組めていたのかどうか。
もう一度見直すべきなのではないでしょうか。


もちろん、「今すぐ立派なクラブハウスを建てろ!」という非現実的な話をしたいのではありません。
ここで重要なのは「クラブが一丸となって勝利をデザインしているか」という点に尽きます。

われわれのサッカーを信じてどこまで本気で取り組めるか。これからに向けて一人ひとりの意識を、トレーニングから質も高めて勇気を持っていきたい。

J公式梶川選手インタビュー

--前への意識や縦パスを通すところが足りなかったのでしょうか。
顔を出す場面が遅かったり、そのポジションにいるけどアリバイなところもあったので、やろうとする本気度を高めていきたい。

--攻撃の良さが出てこその藤枝だと思いますが、不足している部分は?
失点はありますが、失点したあとのプレーで腰が引けた状態になると、藤枝のサッカーができなくなってしまう。結果が大事ですけど内容もしっかり求めて、これからチームとして良い位置に行くためにはいま足りない部分を本気で高めていかないといけない。今日はやり切って負けたわけではないので、これまでの敗戦と違う試合だった。

J公式梶川選手インタビュー

東京ヴェルディから移籍してきた梶川選手が指摘する藤枝MYFCの「緩さ」。
この緩さがあったからこそ、多くの若手選手が台頭した事実もあるため、これがクラブとしてのカラーだと言うことも出来るでしょう。
しかし、現場を引き締めていた水野選手が怪我で離脱している今。
クラブに関わる全ての人がそれぞれの形で自らを律する時期に差し掛かっています。
この連敗を重く受け止める必要があるのは、本当に現場だけなのか?
フロント含めてクラブを取り巻く環境について見直すべきです。
「厳しくしろ」「甘くしろ」といった極論に逃げるのではなく、正しいマインドセットについての共有を行う。
これをしない限り、藤枝MYFCよりも規模が大きいクラブと渡り合うことは難しいでしょう。


この連敗がもたらした課題は大きい。
だからこそ、クラブがそれを乗り越える姿が見たい!
一朝一夕では成し遂げられないロマンを全員で掴みに行こうぜ!
悔しがってる暇は無い。
前へ進め!!

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