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第七回 昭和世代の仮想通貨入門②(仮想通貨草創期の人々)

今回は前回、昭和世代に仮想通貨が支持されない事象をバラバラと並べてみました。その中で私が実際に目の当たりにした仮想通貨草創期の人々との体験です。何に役に立つのかといえば、その頃の雰囲気や匂いを感じてほしいのと、これだから気をつけなければいけないアセットなのだというところでしょうか。

その仮想通貨夫婦に最初に会ったのは2015年の夏でした。以前知り合いとなったこれからの時代は地面の熱で儲けるという地熱発電詐欺おじさんから「舎弟」として紹介された若い二人(ビジネスの世界で舎弟やら兄貴、先輩などと軽く口にする輩は大概仕事が全くできないか、本当にその筋の方々かいずれかというのが定石だ)がそのおじさん支配からの脱却を図るため新しいビジネスを仕入れてきた。と言って連れて来られたのが、五反田駅から10分ほど坂を登った雑居ビルの一室であった。引っ越して来たばかりと見られるその一室には長い机とパイプ椅子が人数分あるだけであった。小綺麗な小ぢんまりとしたビルのワンフロアで大きな窓からは国道1号線を望むことができた。まずは番頭のような男性からお茶をもらう。彼は社長夫婦の友人であることと、前職が某流通系企業の銀行であることを聞いてもいないのに話してきた。同行した2人の若者は二人で地熱発電詐欺おじさんの手下となって働く会社をやっていた。社長の川本(仮名)は身長2m級の大きな男だったが、性格も頭のキレもイマイチで明らかにやらされている社長だったので、その場には、私と同様、置物のように座っていた。もう一人のピクミンみたいな顔をしている男が実権を握っているようだった。その男もトンチンカンな男で、後に私のビジネスパートナーと言い争いになった際に五流大学卒業にも関わらず、「弁護士資格を保有している」と真顔でのたまい2016年度一番笑わせてくれた男の上田(仮名)であった。上田は様々な事前情報を仮想通貨夫婦が登場するまでの間、私の高校生のころ引っ越しアルバイトの社員のおじさんが話すレベルの低俗な話を豆知識として吹き込んできた。実権が妻にあることや、その妻のお色気がすごいことなどなどである。その最先端を行く企業の営業部隊として当時流行していたビットコインのマイニングマシンを受託販売することが彼ら会社の目的で私はその保護者として連れて来られたのであった。

※マイニングとは、ブロックチェーン技術で当時はビットコインがメインであったが、取引を暗号化し、台帳化する際に大きなパソコンの計算量を必要となる。その計算量をパソコンやグラフィックボードを提供して計算したものに報酬としてコインが与えられた。そのコイン目当てでパソコンを供給することをマイニングという。

「失礼します。」と入ってきたのは芸能人もびっくりのイケメン社長のマイラー(仮名)とその妻のマホ(仮名)であった。確実にハリウッドの俳優と言われてもそうかもしれないと思うくらいの西洋人顔だが日本語は相当流暢なマイラーとエーベックスを代表する平成の歌姫を数倍太らせて露出度をさらに高くしたマホの二人が現れたのであった。この二人が今回の話の主人公である。後に考えられないようなことを何回も何回も仮想通貨界隈で繰り返し、その後、詐欺コイン上場でしりすぼみになるまで、まるでルイ16世とマリーアントワネットのような暮らしぶりであった二人である。社長たるマイラーから一通りビットコインマイニングについてどこかのネズミ講テイストの概要説明を受け、そのマシンの希少性や彼らの優位性を聞き、ビジネス自体は説明の通りであれば魅力的なものであった。もちろんネズミ講がそのとおりに行くことなどなかったのであるが。。その時はあたかも担当者のようにマイラーが細かくマホの顔色を伺いながら説明し、彼女はハワイのムームーのような胸元の大きく空いたワンピースから半分胸を露わにしながらただただ、一業者になる我々へ威嚇のような視線を送ってくるだけであった。一通り説明は受けたものの、今回は在庫がなく、在庫待ちの状況である。という「なんじゃそりゃ」的な結末なのだが、その後の彼らの破天荒さからすれば何も驚く段階ではなかったのである。その後、上田と川本の会社ハッピーハッピー社(仮名)とマイニング事業への進出を弊社としても検討し、HH社へ弊社のコンサル技術を提供することとなった。ここまではよくある仮想通貨草創期の怪しい企業との関わりだが、この後、私は更に怪しい世界へと巻き込まれていく。(つづく)

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