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5)心不全における予防の重要性

 心不全は、食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善により、予防が可能である。特にステージA及びBでは、心不全の発症予防に重点が置かれ、危険因子の是正と健康的な生活習慣の継続のための長期的な支援が求められる。心不全予防では、患者の病態や生活環境などに応じて、危険因子のリスク評価・治療・生活習慣の改善・心理的サポート・運動など多面的に支援する必要があり、他職種によるチームアプローチが効果的である。心不全療養指導士は、心不全予防の重要性を理解し、予防活動に積極的に参加する必要がある。 
 血圧管理では、成人における血圧値は正常血圧・正常高血圧・高血圧・ I度〜Ⅲ度高血圧に分類される。Ⅰ度高血圧以上は140/90mmHg。診察室血圧が120/80mmHg未満。家庭血圧115/75mmHg未満を正常血圧としている。高血圧治療ガイドライン2019では分類について高圧薬非服用下で、少なくとも2回以上の異なる機会における血圧値で計測するとされている。高血圧治療は、心不全発症を抑制し、生命予後の延長に繋がるとされている。生活習慣の修正に加えて、ACE阻害薬・ARB・利尿薬・β遮断薬などによる治療を行う。特にサイアザイド系利尿薬は心不全発症予防効果が高い 
 脂質管理に関して、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、脂質異常症の診断基準として、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドなどによる基準が示されている。脂質管理においても生活習慣の修正を目的とした療養指導が必須である。
 肥満・糖尿病に関しても、BMIの管理などが重要である。糖尿病治療薬のSGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)阻害薬は心血管既往のある2型糖尿病患者の心不全予防に有効であるとされる。また、禁煙・節酒も重要。
 身体活動・運動に関しては、冠危険因子の改善やストレス解消に効果がある。運動強度の単位は身体活動におけるエネルギー消費量を座位安静時代謝量で除したメッツが使用される。1週間の身体活動量が多いほど、心不全発症のリスクが低下することが示されている。

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