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刑務所の芸術家〜アボリジニアート

パースに着いて一番最初の観光が、フリーマントルの刑務所。
それまでは、近所の散策やパースのショッピングモールの散策などしかしていなかった。
フリーマントルの刑務所は、ホームステイ先から近かったし、定番の観光地のようだったから、行ってみることにした。
オーストラリア人男性のガイドがいたのだけど、日本語を普通に話す。西オーストラリアに来る日本人は、東海岸に比べたら少ないし、実際、住んでいる人も東海岸とは比べものにならないぐらい少ないが、日本食のお店は結構多い。
このガイドさん、普通に日本語で説明してくれたし、イントネーションもそんなに悪くない。質問にも答えてくれたし、いい感じのガイドさんだった。

刑務所の中のアートに感動。独房に入れられたアボリジニ人の囚人が、壁に絵を描いているのだが、本当に芸術作品。ガイドブックやネットの情報にはほとんどないが、刑務所の中の通路の壁や、外の広場の壁にもたくさん絵が描かれている。どれも芸術家が描いた作品という感じ。

多くの囚人が、普通に描けてしまう才能のがあるのがもったいない。原住民というだけで奴隷となったり、虐げられたり、理不尽な理由で囚人となり、刑務所に入れられていたのが悲しい。

他の観光客と一緒に、刑務所の中を一通り見た。絵はどれもとても繊細で、素敵なものばかりだった。アボリジニアートといえば、お土産のブーメランやディジュリドゥ(大きな長い笛)に描かれているドットアートしか知らなかったが、普通に美術館に飾られていそうな絵が結構あったのも新鮮だった。

日本語の上手なガイドさんは、刑務所の中でも、ちょっとしたスキをみつけて、日本語で説明してくれた。案内を終了した後も、日本語でいろいろ説明してくれた。他の言葉も少し話していたようで、イギリスから来た観光客の男性に、
『何ヶ国語話せるんだ?』
なんて聞かれてた。そんなに話せないよなんて、謙遜していたのが面白かった。外国人も謙遜するんだ。。。と思った。

短い時間だったけど、ちょっと悲しい気持ちと、なんだか楽しかったような感覚と、おもしろいガイドさんとで、いろんな感情を行き来した、不思議な体験をした時間だった。
霊感みたいなものは全くないし、変に感情移入したわけでもない。刑務所の中にイヤな空気感がなく、静かで落ち着いた雰囲気だったから、恐怖心や不快感がなかった。そのせいか、よけいに絵を描いた人の気持ちを考えてしまったのかもしれない。
それと、こんなに絵が描けたらいいなあ、なんて思った。

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