がんばれ受験生！&今週編んだもの#005
さて、先週は理想的な年間スケジュールについて書きました。本来ならば今の時期は来たる2021-22シーズンの新作をどんどこ編んでなくちゃいけない時期です。なのに、なぜ私はこの時期にまだ今シーズンの作品をせっせと編んでいるのか。
受験生応援キャンペーン
原因ははっきりしています。毎年やっている受験生応援キャンペーンです。
私は二足のわらじを履いています。ニット作家とは別に家庭教師の仕事もしています。生徒さんたちが受験学年になると、それぞれに一本ずつ、首に巻くものを編んでプレゼントしていました。
夏頃に、色や形、材質などのリクエストを聞きます。マフラーがいいのか、スヌードやネックウォーマーがいいのか。おおまかなイメージも。新作糸の展示会では、それらのリクエストも念頭に糸選びをします。そして、試作品を作る過程で受験生たちのための作品も編んでいく。というよりも、受験生のリクエストを編みながら、新作のアイデアを練っていく。
2年ほど前まではオーダーを受けて作品を作ることが多く、新しい作品を作るときに特定の人を思い浮かべながらの方がアイデアが形になりやすい、という事情もありました。さらに、販売できない試作品が自宅に溜まっていく問題も解決できる。うまく年間スケジュールに組み込める！我ながらいいことを考えついたと、当初は考えていました。
しかし、人生そんなにうまいこといきません。
一番の問題は、このキャンペーンの負担が大き過ぎたことです。2019-20年の冬にはなんと受験生が10人。一人一人のリクエストに応じた作品を、試作品かつ非売品とはいえ、いい加減なものを作って渡すわけにはいきません。それなりの時間と労力がかかります。結局、去年の冬の大半がこのキャンペーンの作品に費やされてしまいました。結果、今シーズンの作品制作に本格に取りかかったのは春先から。スケジュールの遅れを招くことになってしまいました。
もう一つの問題は、糸選びです。新作糸の展示会で生徒さんのリクエストを念頭に糸選びをするとき、どうしても自分自身の惹かれる糸と、リクエストに添う糸に齟齬が生じてしまいます。この糸で作品を編みたい！という糸先行型の製作をしている私にとって、そこで無理が生じてしまいました。編みたい糸の中に生徒さんのリクエストにあう材質や色がない場合、別の糸をわざわざ購入しなければなりません。
さらにリクエストされるデザインの問題です。男の子たちはほぼネックウォーマーで色は黒とか紺とか。女の子たちは半数近くが「白くてふわふわしたのー」。飽きます。てか、それ市販のでいいんじゃないか問題。そもそもつきのひみつきち のコンセプトとは違うし。色彩命。蛍光色さいこー。
そのような問題を抱えつつ編んだ受験生たちのための作品が、例えばこのような感じです。
一番上のは女子中学生の白とピンクのふわふわリクエストに応えて編んだもの。いやあ、確かに可愛い。商品化できる。二番目のものは、黒でいいという中学受験の男の子に、いやこんなのもいいよ、かっこいいよと半ば押し付けたように編んだネックウォーマー。単色シンプルなウールヤーンなので、意匠糸ダイスキーな私にはちょっとアレですが、それでもとても可愛い。商品化したい。
ともかく、これではいかんと、今年からは方針を変更。せっかく作ってもらったカタログがあるのだから、それを渡し、その中から欲しいものを選んでもらうことにしました。カタログ便利。そしてなんと贅沢な受験生たち。そうしてサクサクとキャンペーンをこなしてきたわけですが、今年最後の受験生が選んだのが、ランタナで編んだマフラー。うん、そりゃいいよね、わかる。だけどさ、ちょっと落ち着いて値段見てみようか。男気が試されています。これもこれで辛い。
今週編んだもの#005
さて、今週編んだものたちです。
先週から編んでいたKANSASのスヌード、仕上がりました。これは自分用にします。販促用です。劇的にぬくいです。あと一本編めるだけの糸が残っています。在庫は2本。早い者勝ちです。
来シーズンの目玉にしようと思って編んでいるKatia Ingenua ModaとパピーNEW4PLYのマフラー。よれてますが、やばいです。先週はどうかなぁと不安だったけれど、なんとかいい感じになってきました。
こちらのKatia Paintのスヌード。定番の形で、さらに試作品を私が2年前くらいからずっと使っていて、なんならネットショップで売ってるつもりでしたが、なんと登録していなかった。ということで、パピーさんで残ったの買い占めて、来シーズンのラインナップに加えます。この色はめちゃいいです。限定2本。乞うご期待。
ということで、今シーズンまでの作品はネットショップで購入できます。よろしくお願いします。
noteのストアからも購入できるみたいですね。よろしくどうぞ。
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