見出し画像

徹底して山羊座のアロハシャツ(1/5)

誕生日のお祝いにと、色んな人からLINEのスタバチケットをもらった。私もLINEのスタバチケットはよく利用する。本当に便利だし、受け取り手の個人情報を尋ねる必要もない。もらう側になっても、とっても嬉しいギフトだ。(本当にありがとう)
「今日はこの人からもらったチケットを使おう!」と意識しながら使えるところも良い。体調も良くなってきたので、今日はAさんからもらったドリンクとフードのチケットで、コールドブリューとレモンケーキを注文した。送り主との交流を思い返しながら飲むコーヒーも良いものだ。

誕生日といえば、ドラマーで俳優の中村達也さんのことを思い出す。我々は共に1月4日生まれ。達也さんは北陸地方に実家があると記憶していたので、今年はご家族ご友人などの安否なども気になり何となく連絡しづらかったのだが、恐る恐るインスタを覗いたところちゃんと誕生日のお祝いをしてもらっていてホッとした。安堵感に背中を押され、私もお祝いのメッセージを送る。すると、改行っぷり含めて達也さんらしさ満開の返事がすぐにきて、それだけで嬉しかった。その人がその人らしい姿でいてくれて、それを見せてもらえるって幸せなこと。またライブやりたいね、と互いに言いつつも(中尾)憲太郎さんのようなまとめ役がいないととっ散らかるため、今度相談してみよう。懐かしの我々のライブ映像を貼っておく。


ところで誕生日といえばもう一つ。私は長らく、"山羊座のB型女"という、皆まで言わずも親しみやすさの低い不名誉な役回りに不服だった。16 Personalitiesという診断でも結果は「ENTJ(指揮官)」指揮官などと言われ、親しみやすいわけがない。本当はちびまる子ちゃんくらい親近感があるのにね... 人類は惜しい見誤りをしたね...

「予定日だった正月を避けて生まれて、生前から空気読めるわ長女気質だわで〜」などと大人たちに言われ、全く嬉しくないどころか、そうやって先回りして押し付けてくんな、という本音を懐に忍ばせて生きてきた。真面目、不器用、忍耐強い、粘り強い、大器晩成 etc… どこを切り取っても可愛らしさが微塵も感じられず堅苦しい単語が並び、若いうちは苦労ばかり。私にもさっさとおいしい思いさせておくれよって感じだし、本当はラクしたいし責任放棄したいし、こんな亀人生など誰が嬉しいねん?と、アロハシャツ着て亀仙人と並んだ自分を思い浮かべながら、思わず舌打ちした。

そんなアロハシャツ(着てない)に転期が訪れた。

数年前、パリでガブリエル・ヤレド(Gabriel Yared)氏を訪ねた時だった。ヤレド氏は私が1O代の頃より大変尊敬している映画音楽作曲家であり、作曲の先生として時折訪ねては音楽的助言を頂いている。この世界の美しさを魔法のスティックで呼び集めたような音楽は、『愛人/ラ・マン(L'Amant)』や『リプリー(The Talented Mr. Repley)』などで味わってもらえると思う。興味を持ってくれた人のために、YouTubeのリンクを貼っておくので適宜ご活用のこと。(ピアノを演奏しているのはご本人)


そのヤレド氏がこう言った。
「君ほど徹底的に "山羊座の女"を地で行く人間はなかなか見つからないよ!僕が知る中で、徹底して山羊座の女を貫き、しかもそれを謳歌しているのは、君と、フランソワーズ・アルディ(Françoise Hardy)だけだ。」

フランスには世界中が憧れる女性アーティストが多くいるが、私はその中でもフランソワーズ・アルディが好きだったし、彼女と名前が並ぶ世界なんて今この瞬間にしかないだろう。星座のことはよく分からないが、どうにもこうにも山羊座を貫いちゃうのなら、大先輩の背中を追って謳歌しなきゃじゃん?

このように私は現在、山羊座であることを大変気に入っている。

こちらのYouTube動画は、ギャスパー・ノエ監督『VORTEX』の冒頭でも使われていた、フランソワーズ・アルディの歌唱する Mon amie la rose 。山羊座到来の時にこの映画を観たことも、粋な偶然かしら。

なお、Mon amie la roseは異国情緒溢れるオリエンタルな曲調で、初めて聴いたのは大学一年生の時だったと思う。一瞬にして「これは私の故郷の歌だ!」と思ったほどの"コレ"感。決して妄想にトチ狂ったわけではない。滅多にないことなんです。遥か遠い昔の、でも自分自身のものっぽい記憶が露わになるような音楽体験。

この曲を聴いてくれた人ならわかるだろう。少なからず前世の私は、アロハシャツを着てる亀ではなかったということを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?