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【Covid Quarantine Birding <スズメ/イエスズメ>】

世界には、生息域が広大な2種類のスズメがいます。
一つは僕らが普段見ているスズメ(Eurasian Tree Sparrow)。もう一つはイエスズメ(House Sparrow)
写真はイエスズメ(ニューヨークで撮影)。
スズメはユーラシア大陸のほぼ全域。イエスズメは加えて南北アメリカ大陸やオセアニアにもいます。これらは全て人間が害虫駆除のために人間が持ち込んだもの。

ヨーロッパでは温帯地域である都市部にいるのはイエスズメで、高山地域のスイスやオーストリアでは日本で見られるスズメが見られます。
なのでスズメの英語名はTree Sparrowなんです。
(ちなみにニュウナイスズメは東アジアにしかいません。)

どちらのスズメも典型的なシナントロープ。すなわち人間の生活の恩恵を受けて生きている生物。逆に言うと人間がいない場所には少ない。
しかし、スズメもイエスズメも世界的には個体数が減少傾向にあります。(理由は不明)
最新のバードリサーチの「個体数が減少した」鳥のランキングがあります。()内はモニタリング調査による減少した個体数。

1位 スズメ(-10,642) 
2位 ツバメ(-5,921)
3位 ゴイサギ(-5,462)
4位 トビ(-4,590)
5位 ムクドリ(-4,377)
6位 イワツバメ(-3,833)
7位 カワラバト(-3,537)
8位 ウミネコ(-3,475)
9位 アマサギ(-3,243)
10位 ホオジロ(-3,186)

ものすごく減ってるように見えますが、まぁ元の数が多いので…
スズメも人間が開拓した田んぼの稲の種子や虫を食べるため、古くから人間と共生していました。その辺りのエピソードはたくさんあるので調べてみてください。
イエスズメはさらにダイナミック!
元々ナイル川下流に生息していたのが、人間の移動に伴いヨーロッパへ。シベリア鉄道が極東に延びる従い北東アジアにも進出。ヨーロッパ人の入植に伴いアメリカやオセアニア、アフリカにも定着。
とにかく人間と共に世界に進出しました。
それでスズメとイエスズメが競合する地域(ヨーロッパや人間が持ち込んだ一部地域)では、イエスズメが勝つらしい。体も大きいし、残飯でも何でも食べるからですかね?

シナントロープは、スズメやイエスズメの他にもいます。鳥類で言うとツバメやハクセキレイ、カワラバトなどです。(昆虫でいうと皆さんが嫌いなアレね)
こういった生き物は、人間活動がどんどん都市化していったらどうなっていくか、さらに5,000万年後には地球にも氷河期が到来し、人類も絶滅するという説もありますが、その時シナントロープたちはどうなっていくのか、想像してみるのも健全なサイエンスかなと思ったりするのです。

#野鳥 #バードウォッチング #スズメ #イエスズメ

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