見出し画像

2024.04.14 皐月賞観戦記

今年もこの季節がやってきた。
競馬は3歳春のクラシック路線が開幕。
激しい烈火のような闘いを繰り広げ、誕生する王者を見届けたい。
ということで、昨年に続き今年も皐月賞デーの中山競馬場へ。


ただ今年は向かう足取りが少し重い。
それもそう、去る4月10日のこと。
その前週の土曜日の落馬事故による負傷から治療に励んでいた藤岡康太騎手が志半ばで亡くなった。
昨年のマイルCSのナミュールの当日代打騎乗で勝利という特大ホームラン。
2021年の京都大賞典で奇跡の復活を見せたマカヒキ。
これらのレースを筆頭に、後方からのレース運びには本当に光るものがある騎手だった。

特に、ナミュールで制した時の勝利インタビューで自然と見せた人格者っぷりには感服だった。
普通なら、最後にファンに向けての一言で「これからも○○(騎手本人)と△△(馬名)の応援よろしくお願いします!」みたいに言うインタビューの締めのタイミングである。
実際、それが普通だし批判を受けるなんてこともない。


しかし、さすがは漢・藤岡康太。

「これからもナミュールの応援をよろしくお願いします!」


とはっきり。
いくら代打だからとはいえ、自分を下げて馬にフォーカスを当てさせる。
並の人間ができる所業ではない。
本当の紳士とはこういうものなのだろう。

メディアやファンに対するサービスも一流で、亡くなった後の競馬ファンの声に悪い声を見た覚えがない。毎回のレースで大金が動く競馬という競技である以上、「あいつのあのレースは〜、あの乗り方は〜」なんて声が出るかもしれないと思っていた。

しかし、彼に対してそのような言葉など皆無。
むしろ出てくるエピソードの全てが良いやつエピ。
本当にすごい人だったのだと、そうしたエピソードや写真などの数々を見て知った。
もちろん知ってるエピソードもあったが、一方で知らないものも多く。

知れば知るほど、""藤岡康太""という存在を失ったことの喪失感が込み上げる。
月曜日の大規模な葬儀からも、誰からも愛されるような人だったことは明白だ。

そんな素晴らしい彼の愛した競馬というスポーツをいつも通り楽しむことが彼のためだろう。
また、そうした素晴らしい騎手がいたことを語り継ぐ役目は競馬ファンに託された使命か。
私もそんな競馬ファンの端くれとして、これまで通り競馬を楽しんでいきたい。(もちろん、賭け額には注意しながらではあるが)



そんなわけで、普段通りに友人らと他愛もない会話をしながら楽しむ競馬が始まった。

今年の皐月賞は昨年に似た大混戦模様の様相を呈していた。
牝馬ながらホープフルSを制して2歳王者に輝いたレガレイラをはじめ、2歳G1・朝日杯FSを制したジャンタルマンタル、そのジャンタルマンタルを共同通信杯で下したジャスティンミラノ、毎日杯で馬場が悪い中でも好タイムを残して圧勝したメイショウタバルなど、豪華な顔ぶれである。

そんな中でビザンチンドリーム、きさらぎ賞を豪快に差し切ったこの馬(※1)に期待をかけた。

※1 本馬場入場時のビザンチンドリーム(筆者撮影)

正直もっと人気してしまうだろうと思っていたところ、外枠や出遅れ、前走の相手関係などで嫌われたようだ。
デビュー戦で魅了されてから応援していた馬を初めて生で観れてよかったものである。
あわよくば結果もついてきてほしい、そう思いながらレースを迎えた。


だがしかし、、、


ビザンチンドリームさん、大出遅れ


終戦です🫠🫠🫠
レースはメイショウタバルが逃げて早々に突き放しにいく展開。
最初の1000mを57.5秒という通過であまりに速いペース。
ビザンチンドリームは後方を進むだけに、後半のタイムが掛かればと思っていたが……

前方の馬たちの脚にはまだ余裕がある。
4コーナーでハイペースの逃げをうったメイショウタバルが後退するところを、ジャンタルマンタルが交わして先頭。
さらにその外から伸びてくるのがジャスティンミラノ。
そこに並ぶように追ってくるのは、弥生賞勝ち馬のコスモキュランダ。
激しい戦いの末に僅かに抜け出た(※2)のは……

ジャスティンミラノ!

※2 僅差でジャスティンミラノ(内)が
コスモキュランダ(外)を競り落とす
https://youtu.be/LmGrBmS80OQ?si=LVSQaS7HqVeCEKbj


勝ち時計は1:57.1のコースレコード決着。
激闘の末に誕生した無敗の皐月賞馬は、同時に大きな記録も樹立していた。
そんな皐月賞だったが、ジャスティンミラノにはある縁が。
それは、レースの2週前・1週前調教で跨っていた騎手が藤岡康太騎手だったこと。
勝利騎手インタビューで戸崎圭太騎手が述べた

「最後のこの差っていうのは、康太が後押ししてくれたんじゃないかなって思っています」


この一言で予想が外れたことなどどうでもよくなってしまった。
あらゆるスポーツに、競馬に、ドラマがある理由が詰まっていた。間違いなく、そう言っていい

皐月賞が行われるその少し前、福島競馬場でもメインレースでリフレーミングという馬が勝利した。
リフレーミングには過去に康太騎手が騎乗した経験があるだけでなく、今回騎乗した騎手が康太さんと同期の丸田恭介騎手だった。

この日は予想の当たり外れと馬券を買うタイミングが悉く空振ってしまった。
しかし、このドラマに立ち会えたことに、それ以上の価値があったのかもしれない。

曇り一つない空から、屈託のない微笑みが今にも見えてくるかのよう。


競馬を好きな1人の人間として、これからも彼の存在を語り継いでいきたい。
また、そんな人格者から学ぶことも沢山だ。
できることなら道徳の教科書に掲載されたりしないか、なんて思ってしまったりもしたが、流石に賭け事の一面を含む以上厳しいか。。。
とはいえ、人と馬が紡ぎ出すドラマを、素晴らしい騎手が愛した競馬をこれからも楽しんでいけたら、と思ったそんな皐月賞デーだった。




P.S.
帰りにジャスティンミラノが勝ったということでサイゼリヤでミラノ風ドリアを全員で注文するというこじつけっぷり。(※3)

※3 ミラノ風ドリアって美味しいですよね

ちなみに、提供時に店員さんが皿を落として大クラッシュが起きた。
かなりの事故案件となったが、この場でネタと化して昇華させていただきたい。




たまにはこうしたスポーツ観戦やライブ参戦記を残してみようと思ってます。
いろんなネタで総合的に書いていけたらと思っていますし、好きに綴っていくつもりです。
Instagramに投稿計画や予定を載せているので、気が向いたら以下のリンクより、是非フォローしていただければと思います。

@seaweed_norinori

それでは今日はこのへんで。
また次回お会いしましょう。
次回は私の大好物、ラーメンに関する話題の予定です🍜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?