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【医師×SPXL】実践編④金利を分析する。

今回は、レバレッジETFの最大の敵とも言える
金利について詳しく検証したいと思います。

※当noteで、表現されている「金利」とは、
SPXLのリターンの推定に用いている、
米国3ヶ月債金利を指します。

レバレッジETFのリターンに、
金利が大きく関係していることは、
以前の記事で検証しました。


その際に、SPXLの値動きを、
以下のように推定しています。

SPXLの1日の値動き
=S&P500配当抜きの1日の値動き×3+{(配当利回り×3)-(米国3か月債金利×2)×1/365}-(年率2.15%の固定コスト)

つまり、固定コストに加えて、
金利の2倍がコストとして差し引かれている
と思われます。

そのため、金利が安ければ安いほど、
コストが低く抑えられますので、
現在のようなゼロ金利水準は、
レバレッジETFにとっては、
最も有利な状況と言えます。

今後の金利がどのように推移するかは、
分かりませんが、過去のデータを元に、
金利がSPXLのリターンに
どれほどの影響を与えるのかを検証します。


1.金利データの推移

まず、過去の金利データの推移を見てみましょう。

1954年7月から2020年7月までの
金利は、次のようになります。

金利

実は1954年ごろも現在のような、
低金利水準でした。

その後は上昇し続け、1981年5月には
何と16.3%を記録しています。

この時代に3倍レバレッジETFがあれば、
コストとして32%以上がかかっていたことになります。

その時期をピークに金利は低下し続け、
リーマンショックを契機にゼロ金利時代へ
突入します。

一時、金利上昇局面を迎えましたが、
コロナショックにより再びゼロ金利へ戻っています。

SPXLは、2008年に誕生しましたので、
まさに理想的な環境下で
設定されたと言えるでしょう。

さて、月ごとの金利の分布は以下のようになりました。

金利の分布

1%以下の時期が最も多いのは、
リーマンショック後によるところがほとんどです。

過去のデータから見ると、6%程度までの金利は
珍しくないことが分かります。


2.金利水準ごとのリターン

それでは、金利水準ごとに、
仮想インデックスと、SPXLのリターンに
差が出るのか、見てみましょう。

たとえば、金利1%以下のリターンを
求める場合には、
金利が1%以下だった月を全て抽出し、
その月次リターンを年率換算して
幾何平均を求めるという方法をとっています。

それでは、結果をどうぞ。

画像3

やはり、低金利の方がSPXLのリターンは
良くなるようです。

「1〜2%」「4〜5%」を比較すると、
仮想インデックスのリターンは同じですが、
SPXLのリターンには差が出ています。
金利コストの重みが伺えますね。

4%以下では、SPXLが安定して、
仮想インデックスを上回っていますが、
4〜5%でわずかに負けています。

5〜6%で大きく上回りますが、
6%以上になると圧倒的に不利になりました。

特に金利7%以上では、仮想インデックスが
7.5%のリターンを出しているにもかかわらず
−1.9%と絶望的です。

5〜6%は、仮想インデックス自体の
リターンが大きすぎますので、
コストよりも歴史的な株高によって
SPXLのリターンが大きくなったと思われます。

この結果から、当noteではSPXLについて、
金利4%以下での運用
をお勧めします。


3.SPXLのまとめ

ここまで検証してきたことから、
SPXLの運用方法について考えたいと思います。

まず、1954年からの長期データの分析から、
SPXLは平均して年率12.2%ほどの
リターンが期待できることが分かりました。

次に、運用期間を検証したところ、
20年では、ほとんどリターンが得られない可能性もあり、
可能であれば30年以上の運用が望ましい
と結論しました。

そして、今回の検証により、
米国3ヶ月債金利が4%以下の時期に運用すべき
ということが分かりました。


つまり、今後30年間、
4%以下の金利が続いてくれれば、
SPXLにとって最も良いパターンと言えます。

昨今の事情を鑑みると、
それが実現する可能性も十分にあると
思われますが、こればっかりは分かりません。

現実的には、
現時点から、金利が4%を超えるまでは運用
金利が4%を超えた時点で売却を検討

というのが基本的な戦略になると思います。

金利が4%を超えた瞬間に、
全てを売却するかどうかは、
その時の情勢によりますが、
4%以上では、単純にインデックスに
劣後する可能性が高まります
ので、
深追いは禁物です。

むしろそのタイミングで
満足するリターンが得られている場合こそ、
売却すべきと考えます。

以上が、当noteの推奨するSPXLの運用方法です。

SPXLについての記事は、今回で最後になります。

次回からはリクエストの多かったTQQQの
分析を開始する予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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