【医師×SPXL】基礎編①「コスト」を考える。
今回の記事では、SPXLを例にとり、レバレッジETFのからくりの核心部分とも言える「コスト」の問題について解説させて頂きます。
レバレッジETFへの投資を考えているなら、
必ず理解しておくべき内容だと思います。
投資はギャンブルではありません。
過去のデータを徹底的に分析し、
そこから読み取れる情報を正しく理解し、
それを元に論理的な戦略を組み立てれば、
大きなリターンを得る確率を十分に高めることができます。
当noteでは、
「レバレッジETFは、金利条件を設定した上で、長期運用すべきである。」
という結論に向けて、
1954年からのデータを徹底的に分析した結果を交えて、
レバレッジETFの扱い方について解説したいと思います。
1.SPXLのコストは高い?
実はSPXLのサイトに行けば、
コストは簡単に分かります。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/SPXL:US
このページの経費率というところに「0.95%」と書かれていますね。
世の中、特にインデックス投資界隈では、
この「0.95%」というコストが
「高い」と評価されているわけです。
確かに、S&P500に連動するETFの一つであるVOOのコストは「0.03%」ですし、
インデックス投資の世界では、
国内の投資信託でも「0.1%」を切る時代になっていますから、
それらに比較すると「0.95%」というのは相当に高く見えます。
2.「0.95%」のコストを体感する
それでは、実際にSPXLのコストを
0.95%として検証してみましょう。
まずは1988年1月から2020年1月までの
S&P500(配当込み)のリターンを見ます。
全期間リターン 25.6倍
年率リターン 10.7%
次に、これの1日の値動きを3倍にしてみます。
全期間リターン 926.1倍
年率リターン 23.8%
ここまでは前回の記事でも紹介した内容ですね。
それでは、ここから0.95%のコストを差し引いてみましょう。
全期間リターン 683.3倍
年率リターン 22.6%
全体のリターンは3/4ほどに低下していますので、0.95%のコストの影響は小さくないことが分かります。
ただし、レバレッジをかけない場合と比較すると、26倍以上のリターンを得ていますし、1988年に投じた100万円が、6億8300万円になっているのですから、
この結果に文句のある人はいないでしょう。
3倍レバレッジがかかるのなら、
0.95%のコストなど、非常に安いということが分かりました。
賢明な皆様は、この結果を見て、
こんなにうまい話があるのかと疑っていることでしょう。
その通り。
まだ大事な検証が残っていますよね?
3.SPXLのコストは本当に「0.95%」なのか?
ここから、レバレッジETFの核心部分に近づいていきます。
いよいよ、これまでの計算式と、
実際のSPXLのデータを比較していきます。
SPXLは2008年11月5日に設定されました。
2008年11月5日から2020年6月15日までのS&P500(配当込み)の指数に、
3倍レバレッジをかけて、
コスト0.95%を差し引きます。
全期間リターン 16.7倍
年率リターン 27.7%
次に、同じ期間の実際のSPXLのリターンを見てみます。
全期間リターン 12.7倍
年率リターン 24.7%
残念ながら、実際のSPXLのリターンは、理論値を下回ってしまいました。
青線が実際のSPXLの株価、オレンジがコストを0.95%としたときの株価です。
後半に乖離が大きくなっているように見えます。
こちらは、実際の株価と、計算上の株価の乖離率を示したものです。
2011年ごろまでは大きな乖離はありませんが、その後に大きく上方に乖離していることが分かります。
最終的には30%以上、高い値になってしまいました。
この原因については、今後の記事で解明していく予定ですが、
今回の結果から、はっきり言えることは
SPXLのコストは、0.95%より高い
ということです。
残念な結果ですが、受け入れなければなりません。
4.まとめ
今回の検証から分かったことは、
レバレッジETFにとって、0.95%のコストは非常に安い
ただし、実際のSPXLのコストは0.95%より高そう
ということです。
今回は、少しがっかりする結果になってしまいましたが、
まだ検証は始まったばかりです。
今後、解明しなければならないことは、
①実際のコストはどれほどなのか
②何によって左右されているのか
ということです。
これらを知ることで、レバレッジETFの正体、向き合い方が少しずつ分かってくると思います。
レバレッジETFへの投資を考えている方は、是非お読みいただきたいと思います。
通常のインデックス投資を「自転車」とすれば、
レバレッジETFは「スポーツカー」のようなものだと思います。
その性能は素晴らしいものですし、
アクセルを踏み込めばすさまじいスピードを出すことができますが、
大きな危険も伴います。
車を運転する時に、免許も取らずに限界までアクセルを踏んでいる人はいませんよね?
交通ルールを知り、運転方法を知り、速度を守ることが大切です。
アクセルを目いっぱい踏む必要はありません。
安全に運転すれば、自転車より遅くなることはないのですから。
自転車に負けることがあるとすれば、事故を起こした時です。
皆様が、事故を起こさずに安全に目的地にたどり着くために、
当noteがお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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