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【医師×SPXL】実践編⑥暴落時のリターンを検証する。

前回の記事では、ITバブル崩壊リーマンショックによって、SPXLにどれほどの暴落が生じるのか検証しました。

今回は暴落シリーズの後編として、
その時期にSPXLへの投資を行なっていた場合、最終的なリターンはどうなるのか
という点を検証したいと思います。


1.投資期間の設定

ITバブル崩壊は2000年3月23日に始まり、
リーマンショックは2009年3月9日に終わりました。

そのおよそ9年間でSPXLは−98.2%下落したというのが、前回の検証内容です。

今回は、
この2つの暴落を受けながら長期投資を続けた場合のリターンを検証します。

また当noteでは、
「投資期間は30年以上が望ましく、どんなに短くても20年は必要」
というスタンスを取っているため、
投資期間として、20年間30年間の2パターンを採用します。

すなわち、20年間の検証では、
1989年3月9日〜2009年3月9日
の投資期間から始まり、
投資開始日を1日ずつずらしながら、
2000年3月23日〜2020年3月23日
の投資期間までの全てのリターンを計算することになります。

そして、投資開始日に一括投資を行なったパターンと、
投資期間中に毎月一定額を積み立てたパターンについて、
それぞれリターンを計算します。

30年間投資したケースでは、
1979年3月9日〜2009年3月9日
から、
1991年7月1日〜2021年7月1日
までの投資期間のリターンを計算します。

これらの投資期間はすべて、
ITバブル崩壊前から、リーマンショックの底値までを通過した投資期間になっています。

長期投資の期間中に、
2回の大きな暴落が来てしまったら、
SPXLは本当に生き残れないのか?

その答えが分かるはずです。


2.投資期間が20年の場合

それではまず投資期間を20年として、
最終的なリターンを見てみます。
カッコ内は年率換算したリターンです。

まず一括投資の場合のリターンを見てみますと、
中央値では2.41倍とまずまずですが、
最悪のケースでは0.42倍と、
元本を半分以上減らした状態で20年間を終えるタイミングもあり、やや厳しい結果でした。

1954年から2020年までの間の任意の期間に、
20年間投資した場合のリターン中央値は
3.72倍ですから、
今回検証した期間は、やはりそれなりに悪い期間であったと言えそうです。

そして意外なことに、積立投資では、
中央値、最小値、最大値の全てにおいて、
一括投資を下回る結果になりました。

これほど大きな暴落があっても、
暴落前や回復期の高値で積立をしてしまうことで、平均取得価格はむしろ上がってしまうということですね。

暴落が来る前提なら積立投資が良い
というのは幻想のようです。


3.投資期間が30年の場合

それでは次に、
当noteで推奨する30年間の長期投資のケースを見てみます。

20年と比較すると、年率換算でもかなりリターンが改善していることが分かります。

特に一括投資は、中央値で21.09倍と非常に心強い結果です。

ちなみに1954年から2020年までの間の任意の期間に、
30年間投資した場合のリターン中央値は
18.0倍なので、
30年間保有することを前提とすれば、
SPXLにとってはこの暴落期間を含んでも、
平均よりやや良い期間であったと言うことができます。

そしてこちらでも積立投資は悪い結果です。
20年の場合よりむしろ差が広がっていますね。


4.まとめ

SPXLなどのレバレッジETFは、
その値動きの大きさから、
「暴落が来たら終わり」とよく言われます。

しかし実際には、
史上最大級の暴落を2回経験し、
−98.2%のドローダウンが起こっても、
長期に保有し続けることで、
最終的には大きなリターンを生んでいます。

今回の検証結果を見る限り、
暴落から身を守る方法は2つです。

それは、
「30年以上の長期保有」
「一括投資」
です。

暴落を避けるために短期でやろう
とか、
暴落時の買い増しを狙って積み立てよう
というのは、直感的には正しそうですが、
本当に良い戦略は全く逆だということです。

インデックス投資で有名なチャールズ・エリスは著書の中で、
健全な長期投資にとって、
直感こそが敵であり、
理性こそが友である。

と言っていますが、
まさにそれを体現するような結果でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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