[附録]和精油
ずっと先延ばしにしてきたこと。和精油について。
まずは虫よけから入ろかな。
∥和精油
◆ 楠 - クスノキ
ケトン50%超えのクスノキ原油。
そこからさらに3種類 (赤・藍・白) に分留するそうで、「人に仏顔・虫に般若面」なのは白、カンファーホワイトとも呼ばれる。
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\begin{array}{l:r:l}カンファーホワイト精油& \%&忌避対象\\\hline\hline
\textbf{1.8シネオール}&\textbf{35}&蚊・ダニ・ハエ・ゴキ・ノミ・[衣]・[食]\\
\textbf{リモネン}&\textbf{25}&蚊・ダニ・ハエ・ゴキ・ノミ・[食]\\
\textbf{αピネン}&\textbf{10}&蚊・ハエ・[食]\\
\textbf{パラシメン}&\textbf{8}&アリ\\\hdashline
リナロール&0.1\\
\end {array}
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この他、クスノキ葉部から抽出するラヴィンサラは『ムシェッド』の候補生でもある。
◆ 檜葉 - ヒバ
日本固有。青森産や吉野産が有名。
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\begin{array}{l:r:l} ヒバ精油& \%&忌避対象\\\hline\hline
\textbf{ツヨプセン}&\textbf{55}&シロアリ\\
\textbf{セドロール}&\textbf{7}&アリ・ゴキ・[衣]・[食]\\
カルバクロール&1.5\\\hdashline
ゲラニアール&4\\
シトロネロール&0.5\\\hdashline
\textbf{ヒノキチオール}&2&蚊・ダニ・ハエ・ゴキ\\
βドラブリン&1\\
\end {array}
$$
強力なヒバ油でこれほどの含有率とくれば、ツヨプセンの効能が他にもありそうな気はしつつも…
大事なのは、数字より実証かな。
◆ 薄荷 - ハッカ
強豪ぞろいのシソ科でも群を抜く異能っぷり。
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\begin{array}{l:r:l} ハッカ油& \%&忌避対象\\\hline\hline
\textbf{l-メントール}&\textbf{65}&蚊・ダニ・ハエ・ゴキ・アリ・トコジラミ・蜂\\
ピネン (α・β)&1.5\\
リモネン&3\\\hdashline\hdashline
\textbf{メントン}&\textbf{30}&蚊・蜂\\
ピペリトン&1\\
プレゴン&1\\
\end {array}
$$
「メント…」続きのメトメトと、ケトンのケトケトが強さでもあり、キツさでもある。
長期常用に気をつけるなら、耳よりの情報が…↓
◆ 月桃 - ゲットウ
スーっと甘くスパイシーという複雑香は好みが分かれそう。
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\begin{array}{l:r:l}ゲットウ精油 & \%&忌避対象\\\hline\hline
\textbf{1.8シネオール}&\textbf{20}&蚊・ダニ・ハエ・ゴキ・ノミ・[衣]・[食]\\
αピネン&2.5\\
αテルピネオール&1.5\\
\textbf{パラシメン}&\textbf{10}&[食]\\
βカリオフィレン&2.3\\
カルバクロール&0.1\\\hdashline
リナロール&1.8\\
\end {array}
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突出した数字はないものの、シネオールが万能で、他の成分とも手を取り合いながら…人もかく在りたい。
◆ 柑橘系
総じてリモネン過多で、プラ樹脂を溶かしかねないのは注意。
光毒性も気になるなら、圧搾製法でなく蒸留法のものを選ぶ。
ちょいと瞠目したのは、ヘベス (平兵衛酢) という珍しい精油。
クロマトグラフィーまであることにも、他の柑橘類にはない広範シールド向きの構成にも。
◆ スパイス系
胡椒、生姜、丁字など。
刺激物に近く、単体だと肌周りには使いづらい。
衛生・食材害虫にも強く出るので、パントリーや冷蔵庫ウラなどで香らせる手はありそう。
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\begin{array}{l:r:l}チョウジ精油 & \%&忌避対象\\\hline\hline
\textbf{オイゲノール}&\textbf{82}&蚊、蜂、ヒアリ、ハエ、ゴキ、[食]\\
\textbf{酢酸オイゲニル}&\textbf{11}&\\
\textbf{βカリオフィレン}&\textbf{7}&[食]\\
\end {array}
$$
八角というのもあるけど、毒性の混同品と見分けるのが難儀なので、精油より乾燥スパイスや五香紛を置く方が気軽かな。
∥和“製”油?
流通しているご当地精油はスギ、ヒノキ、ヒバ、ゲットウ、ユズ…忌虫には不向きだけどクロモジやニオイコブシなど。
他は、相当するカタカナ種がある。(下表)
和・洋いずれか調達不能となった時に備えて…供給などたやすく崩れかねない、このご時世。
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\begin{array}{l:l} 和精油& 相当する精油\\\hline
\textbf{クスノキ} (木部)&カンファーホワイト\\
\textbf{クスノキ} (葉部)&ラヴィンサラ\\
\textbf{マツ}&パイン・スコッチ\\
\textbf{ハッカ}&ペパーミント\\
\textbf{ミカン}&マンダリン、タンジェリン\\
\textbf{胡椒}&ブラックペッパー\\
\textbf{生姜}&ジンジャー\\
\textbf{丁字}&クローブ\\
\end {array}
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西洋種にあるなら、和製油というだけじゃないかと言いたくなるけど、生育地による違いは出る。
ケモタイプに当たらないくらい、ごくわずかだとしても。
ハッカとペバーミントはやっぱり違うし、たとえプラセボでも国産ラベンダーにそこはかとない“和” が漂い…ニホンノコ
人に同じく産土はどうあれ、根を下ろした所が物言うのではないかな。
∥想ふトコロ
未知の香りに惹かれて次々と諸国をめぐった末、ふいに思い出された帰る場所…それが和精油。
近いうち、ご当地精油で虫よけブレンドを試してみたい。
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