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国鉄アパートの所在地を探す

何のこっちゃと思われるだろうが、コミケの頒布物を作る過程で発生する「調べ物」について、メモをしておこうと思う。

国鉄(現在のJR)では多くの職員が働いており、その家族が暮らすためのいわゆる「社宅」的なものが全国各地に作られていた。現在もJRの社宅として使われている場所もそこそこあるようだ。

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上記写真は横須賀線・新川崎駅の近くにあるJR東日本の社宅(南加瀬アパート)である。先日近くを通りがかったので眺めてみたが、既に閉鎖されて久しいようであった。近くには「新鶴見操車場」があり、貨物輸送が華々しい頃は鉄道の町として栄えていたようであるので、その名残か・・・


さて、これらの社宅は地図にはきちんと掲載されており、所在がわかっていれば調べるのは容易い。だが、全く土地勘のない地域の場合はそうもいかない。フツーの「住宅」であり、ひょっとしたら公営団地趣味の人で調べている人(オタク)が居るのかもしれないが、鉄道系で国鉄アパートを趣味にしている人がいるとは、中々聞いたことがない(たぶん居るはずだが・・・)

そこで、国鉄アパートの所在を調べる過程について、我流であるがメモしておくことで、同じような調べ物をする方の一助になれば・・・と思った次第。

1911_艤装免許浜風最終稿

※なぜ住所を調べる必要があったかというと、鉄道員の疑似免許(昔のなめ猫的な趣旨のグッズ)を作るにあたって、それっぽい架空の住所が必要だからであった・・・

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場所を調べるにあたって「国鉄アパート」がありそうな場所の目星は以下のとおりである。

・駅の近く

まったくもって当然と言えばそうであるが、職住近接を考えればそうである。特に多くの駅員を擁した巨大なターミナルの近くには存在するだろう。

・貨物駅(操車場)の近く

昔は貨物列車の運行にあたって多くの人員が必要であったため、近くにある事が多い。冒頭の新川崎のアパートもその系譜ではないだろうか。なお貨物駅は整理が進んでいるので現存しない、あるいは規模が大幅に縮小してる場合もあるので注意が必要。

・乗務区の近く、車庫の近く

運転士や車掌の「詰め所」となる事務所がある近くに多いというものである。傾向としては車庫があったり、列車の行先として「ちょっと中途半端な行先」な場所などが多い。ただ、主要駅に隣接している場合もある。

ズバリ「乗務区」「電車区」などで検索すれば大体の見当はつくと思われるが、やはり再編により場所が移転している事があるので注意。

また車庫に関しては「鉄道車両の整備工場」を兼ねていたり、それに特化したものがあったりと、大規模なもの(例:大宮)であればそれなりの工員を抱えていたと思われるので、やはり存在するだろう。

・国鉄所有の敷地

なにかの用地だったものを転用したものなどである。

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一例として兵庫・西宮市のものを上げる(今昔MAP 1970年より)

丸で囲ったものが国鉄の社宅である(現在もJR西日本の社宅として現存)が、エリア内に変電所の記号が見える。その下を通るのが東海道線で、駅からは少し離れている(私鉄の駅の方が近いような場所)が、変電所設置の関係で国鉄が敷地を所有していたことから、ここに作られたものと推測した・・・のだが、元をたどると土砂運搬用の引き込み線の跡地らしい。


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また、古い地図ではそのものズバリ「鉄道官舎」と表記されている事もある。まだこうしたアパート群が珍しかった時代の名残なのだろうか(今昔MAP 1930年頃 吹田駅付近)

【追記】Twitterで頂いたコメントによると、国鉄アパートは「他所の省庁から融通された(半ば押し付けられた)土地」にも多く存在するため、上記列挙のような鉄道線沿いとは必ずしも限らないとのことである。

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並べてみると「そんなの当然だろう」というものばかりだが、取っ掛かり方が分からないと調べようがないのもまた事実なので、このようなものでも役に立つとは思っている。


不勉強で申し訳ないのだが、こういった国鉄の社宅所在地をまとめたような書籍はあるのだろうか。あればご教授願いたい。

また、車両やダイヤには関心がある人が多いようなのだが、こうした大量に居たはずの「職員の暮らし」に興味がある人はかなり少ないように思う(一般人の生活といえば、そうなのだが)、目についたら手には取っているが、まだまだ読了数が少ないので、これも良い書籍があれば御紹介頂きたい。

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