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【マジレンジャー】47話~最終話

Stage.47「君にかける魔法 〜ルルド・ゴルディーロ〜」

『マー姉ちゃん』どころか、よく考えたら『カムカムエブリバディ』も安子と稔さんがばたばた祝言を挙げていたような。出版屋さんよりはおはぎ屋さんの方がまだ麗っぽい気もする。なお『カムカム~』はジョーさん推し。五代君の2000の技にはトランペットの演奏は入っているのだろうか。

 普段はきょうだいのフォロー役に回っている麗が珍しく見せた強い感情。去り行く人に自分の気持ちを一方的に託そうとするのは、残される側の単なるエゴと言ってしまうこともできるだろう。
 ヒカル先生のやり方はスマートで大人でそつがない。「思い出」とラベルを付けた箱に片付けてしまえば、生々しい心を直視せずに済む。そして一度片付けてしまった心は、戦いの邪魔にならないところにそっと置いておくことができる。
 だが、麗はまだ子どもなのだ。大人びて見えても、大人の手口なんて知らない。彼女の心は一見片付いているように見えて、実は上から乱暴に蓋をしているだけだ。隙間から漏れ出た感情はやがて強い光を放ち、隠しようが無くなってしまう。

 ぱっと見では一番生産性のなさそうな恋愛をしている芳香からして、劇中では麗より先にウエディングドレス姿を披露しているのである(未遂だが)。小津きょうだいの価値観の中では、恋愛と結婚は分かちがたく結びついているのだろう。元が大家族であるがゆえに、ひとりやふたり増えたところで喜びこそすれストレスには感じないのかもしれない。

 ン・マによる破壊と人間による発展をはかりにかけて、スフィンクスは後者を選択した。お眼鏡にかなうことができて何より(眼鏡だけに)。


Stage.48「決戦 〜マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン〜」

 ン・マの飢えは魔法のエネルギーをいくら食らったところで癒されはしないのだろうと思うとなんだか気の毒にもなる。すべてを飲み干して時間も空間もなくなったとき、虚無に一人取り残されるン・マは何を思うのだろう。

 ただ悲しみの底に揺蕩っているよりも、一度浮かび上がったところを再度深淵へ叩きつけられるほうがよっぽどダメージが大きい。落差が大きければ大きいほど、つまり数瞬前が幸せであればあるほど、それを失うことは悲劇であり、恐怖だ。
 きょうだいたちも、最大級の絶望に遭遇してしまった。唯一救いがあるとすれば、それはきょうだい5人が誰一人として欠けていないことだ。そして、5人それぞれの身体の中には、消えていった家族たちの思いが熱い血潮となってめぐっている。もはやきょうだいは、物語のはじめのころのような、たった5人のチームではない。目には見えないけれど、確かに家族から受け継いだものが息づいている。

 三枚目の唐突なシリアスは反則。


Final Stage「伝説への帰還 〜マージ・マジ・マジェンド〜」

 からっぽの心と体にポジティブな魔法のパワーを充填されて、ン・マもある意味では救われたのではなかろうか。インフェルシアの住人だからと言って、救われてはいけない道理はない。
 そして家族は日常へ回帰する。父が戻り、麗は嫁に行き、魁はインフェルシアと地上を行ったり来たりの様子。戦いを始める前とはだいぶ様子が違ってしまったが、しかしこれが小津家にとっての新しい家族の形である。
 かねての計画通りボクシングを再開した翼。父が帰還したことだし、蒔人もぜひ留学の夢をかなえてもらいたいところ。魁と山崎さんのその後は描かれずじまいだが、正体もバレていることだし、いっそ新しい家族として迎え入れる手もアリか。

 夏映画だけ見れていないが、マジレンジャーこれにてひとまず完走。お疲れさまでした。

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