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【ボウケンジャー】第36話~第38話

Task.36「鬼の金棒」

 おじいさんとおばあさんがももをわってみると、なかからでてきたのはげんきなおとこのこだったのです。
 というわけで、桃から生まれた太郎が鬼退治をする回。どこかの騒々しい赤い奴(該当者2名)とは異なり、じんわりと切なくも温かいお話である。

 初めての子育てに明石も映士も振り回されっぱなしである。さしもの「不滅の牙」「高丘流跡取り」といえど、子どもの面倒を付きっきりで見た経験は無かった様子。最初は戸惑いながらも次第に愛情が芽生え、最終的には溺愛モードである。
 明石ばあさんはあたかも田舎の祖母のごとく、太郎にとにかく食べさせようとする。レストランに連れて行き、焼き芋を買い食い。おにぎりは手ずから握ったものだ。それを太郎への愛情の赴くままにやっているのだから、明石の成育環境が垣間見えるようである。
 対する映士じいさんはどちらかというとスパルタに太郎に接するが、それも彼なりの愛なのである。高丘流の跡取り息子として育てられ、父の形見である錫杖を大事に持っていた映士だ。自分が父親にしてもらったことを彼は正しく愛情であると理解し、同じように太郎にも愛情を与えようとしているのだ。

 鉢巻きの縫い目の粗さが明石の思いの深さ。菜月あたりに頼めばきっと綺麗に作ってくれただろうに、あえて自分の手でひと針ひと針縫いあげた渾身の作である。きび団子については何も言うまい。

 ももたろうは鬼から財宝を奪い返すが、その財宝は元はと言えば大勢の民衆から略奪されたものであり、どちらかというと山賊の家に強盗に行ったみたいな風情がある。きび団子を元手にハイリスクハイリターン、おじいさんとおばあさんは思わぬ財産を手に入れることになり、そりゃあ左うちわの恵比須顔であろう。大事な跡取り息子も無事帰還してめでたしめでたしだ。
 太郎の目的は金棒を取り戻すことだ。ももたろうのようにゼロをプラスにするのではなく、マイナスをゼロに戻すのが彼の役目である。無事に金棒を取り返したら、太郎はこれ以上人間界にいる必要はないのだ。
 無理やり引き留めてずっと一緒にいることも、サージェスの力を使えば可能であろう。だが、明石も映士もそれは選ばない。山砕きの金棒を携えて、いま太郎は初めて一人で旅立つ。おじいさんとおばあさんは、その背中を見送るのが昔話のセオリーだ。


Task.37「憧れの芸能界」

 さくら、大御所に接近の巻。消去法で選ばれたような人選の割に、案外適材適所である。サージェスが誇る変装技術を使えばだれでも顔かたちは変えられるが、マニュアルを短時間で完全にマスターするとなると、候補者はさくらか蒼太くらいに絞られるだろう。というか女装してアイドルレポーターする蒼太、前職を活かしてめちゃめちゃソツなくこなしそうだ……。

 リュウオーン様はともかく、一般ジャアクリュウにはあまり靴を履く習慣がないのかもしれない。デンベエ君のいかにもなデザインと着ぐるみの感じ、あまりに本格的ですっかりコラボ回か何かかと思い込んでしまった……。

 デンベエ君のファインプレーによりなんとか言い訳もたち、無事ミッションコンプリート。大御所はあの指輪を生きているうちに手放すとは思えないので、サージェスの監視も長丁場になりそう。


Task.38「虹の反物」

 猫の目には女子高生が人間の雌の中で最も魅力的に映るらしい。蒼太の理想が女子高生である可能性もあるが、さすがにそんな好みまでは「虹の反物」も把握しきれないだろう。……把握しきれないよな?
 ときに、この回を見る少し前に『ニンニンジャー』38話を見た。八雲とエレナ少女のデート回である。デート中、八雲も蒼太のように飲み物を買うのだが、蒼太がみゆの喜ぶタイミングで・すぐに戻ってこれる近場の自動販売機で購入しているのに対し、八雲は話の繋ぎとして・その割に時間のかかりそうなテイクアウトのオシャレカフェで購入している。八雲の見栄っ張り(エレナに自販機のジュースを飲ませるなんてとんでもない!)に対する、蒼太の自然な気遣い。デートに対する経験値の差が如実に表れており、大変興味深かった。
 閑話休題。ほんの切れ端だけでも絶大な威力を発揮する「虹の反物」は、かなり強力なプレシャスだ。もちろんネガティブシンジゲートに渡すわけにはいかないが、手に入れたのがシズカだったのは不幸中の幸いかもしれない。元来変身願望のあるリュウオーン辺りがゲットしていたら、もっとえげつなくその力を使いこなしていたことだろう。


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