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【トッキュウジャー】33~34話

第33駅「カラテ大一番」

 ワゴンさん言うところの「トッキュウジャー2」を始めるにあたり、まずは気持ちも新たにトレーニングから開始する一行。今更だがあんな道端に烈車を止めていてよいのだろうか。立往生と追突事故にご注意。
 自分たちのルーツを取り戻したことにより、ライトたちはこれからの方向性を改めて整理する。といってもやることはほぼ変わらずに、ドリルレッシャーを奪還しつつシャドーラインを倒すことに尽きる。改めて決意表明のように口にしたのは、自ら選んだ行先をきちんと言葉にする意図もあるのだろう。ここからの戦いは成り行き任せではなく、自分たちが選択したレールだ。選択には責任が伴う。トッキュウジャーを解散することで自らの責任を果たそうとした総裁のように、彼らは戦い続けることに責任を持たなければならない。
 トレーニングのさなか、ライトとヒカリが一緒に空手を頑張っていたという新情報が明らかに。二人の基礎的な戦闘のポテンシャルはこの時に培われていたようだ。

 今回の敵はチュウシャキシャドー。人々の腕に薬液を満たした腕輪を取りつけ、腕輪についた注射針からじわじわと注入していく。薬液を流された血管が脈打つ描写がぞっとする。腕輪を外すにはビルの最上階で待つチュウシャキシャドーの元へたどり着き、その腕の注射器を破壊するしかない。
 だが、この町の人々もただ手をこまねいているわけではなかった。トッキュウジャーの面々は街に到着して早々に、カラテ名人とその麾下から手荒な歓迎を受ける。返り討ちにして話を聞くと、チュウシャキシャドーを倒せる腕っぷしの強い人間を探しているのだという。町の人々を人質に取られ、変身解除したライトたちの腕にも注射器腕輪が装着される。タイムリミットまでにチュウシャキシャドーを倒さなければ、町もトッキュウジャーも全滅である。
 ヒカリの策により、変身もせずにビルへ乗り込んでいくヒカリとライト。行く手を阻むクローズをバッタバッタとなぎ倒しながら、倒した数を競い始める。「遊ぶようなつもりで」という師範の教えを実直に実行するヒカリの生真面目さと、言われなくても最初から楽しんでいるライトの対比。背後に流れるヒカリのキャラソンが、端的にそれを指摘している。久々に聞いたがやはりぐっとくる歌詞だ。光と灯(ライト)は似ているが、それでもやっぱり別物で、だからこそ並び立つのである。
 傷だらけになりつつもやっと最上階へたどり着いたライトたち。カーキャリアに待機していたトカッチたちの力を借り、見事チュウシャキシャドーの注射器を破壊した……と思いきや、それは実は偽物である。本物のチュウシャキシャドーはカラテ名人になりすまし、ずっとライトたちと行動を共にしていたのだ。だが、ヒカリはそれも見抜いていた。記憶の中で触れた師範の手と、先ほど触れた偽カラテ名人の手が、全く違っていたからだ。言われてみれば確かに、偽カラテ名人にはチュウシャキシャドーにこてんぱんにされたときの傷がないし、がっくり落ち込んでも闇の一つも出てこない。
 思い出した記憶に助けられるようにして、ヒカリたちはチュウシャキシャドーを撃破する。新たな戦いの幕開けとして、これ以上ない戦果である。

 いつか車掌さんが出世して次期総裁に上り詰めたら、スイッチくんを模した被り物をすることになるのかもしれぬ。ギャラクシーラインのレディもそうだったように、車内で車掌業務にあたるものはパペットを身に着けるのが慣例(規則?)のようなので……。


第34駅「恋は大騒ぎ」

 人々と突き合って、というか一方的に突いて闇を生み出したいビリヤードシャドーと、ミオと付き合いたい一心で一方的にアピールをがんばる表参道氏のお話。一目ぼれからの熱烈な告白という流れはまあ理解できないでもないが、嫌がるミオの態度を無視してひたすら自分の好意だけを受け入れてもらおうとする態度はよろしくない。
 たまたま通りかかったがゆえに恋人のふりをすることになった明くんだが、彼自身は付き合うとか付き合わないとかに対して無頓着な様子。一生懸命興味のないふりをしようとするミオの空回りが逆に目立ってしまうほどだ。そうとも知らず、明くんはワゴンさんに言われるがままミオと的外れなデートに出かけ、ついには顔色一つ変えずにプロポーズまでやってのける。残念ながら下手な芝居はすぐに馬脚を現し、表参道氏は「本当に付き合っているのならキスをしろ」とミオたちを焚きつける。さすがにそれは、と誰もが諦めかけた時、明くんがすっと立ち上がる。
 お茶することを知らず、コーヒーの熱さを知らず、正しい手のつなぎ方も知らない明くんだが、「キスくらい知ってる」のである。まなざしと声色は至って真剣で、寸前までの的外れな様子とのギャップにミオは戸惑う。
 慌てる表参道氏とトカッチ。既成事実を作られてはたまらないとばかりに駆け寄り、足はもつれ、そして……最終的に、表参道氏の惚れっぽさが明らかになるのであった。どっとはらい。
 明くんの行為が天然なのか、三方を丸く収めるための計算なのか、それは神のみぞ知る。でも多分天然だと思う。

 今回はミオのデート服や明くんのスーツ(最高)、スタイリッシュに髪をまとめた黒スーツにサングラスのトカッチなど、画面が華やかで大変眼福だったのだが、中でもかわいかったのがワゴンさんの尾行服とカグラのスタイリスト服だ。明くんにスーツをフィッティングし、自らもおしゃれなパンツルックにメジャーを携えたカグラのなんと得意げなこと! ワゴンさんのジャケット姿も大変にキュートかつ大人っぽさに溢れており、ぜひこのお姿の布服フィギュアを出していただきたいと切に願う次第。

 表参道氏の出現は、自分の気持ちを秘めたまま言い出せずにいるトカッチにとっては劇薬であったろう。自分より明らかに「頼れる男」である明がミオの彼氏(仮)に選ばれたこともやるせない。ヒカリのファインプレーにより一人静かに鬱憤を溜め、すべての八つ当たりをビリヤードシャドーにぶつける様子は鬼気迫るものがある。これをきっかけに何か進展があればよいとも思うが、変にぎくしゃくするのも嫌だからこのままの状態を続けたいトカッチの気持ちもよくわかる。狭い社会での色恋沙汰は難しい。

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