【RX】1~2話
第1話「太陽の子だ!RX」
『BLACK』最終回の余韻を噛みしめながら『RX』に突入。順番に配信していただけてありがたいことである。
『ディケイド』の「BLACKの世界」「RXの世界」はそれぞれの光太郎が別人のように描かれていたが、本当の『RX』はちゃんと同一人物による続編のようだ。
なんでも如才なくこなす光太郎、現在ではヘリパイロットを生業としつつカメラマンのガールフレンドを作って雇用主の家に居候している様子。『BLACK』最終回での「これからも一人で孤独に戦い続けます」感はどこへ行った。だがしかし、ヒーローが幸せになってはいけないという決まりはない。戦うためには動機が必要なのだ。今までの動機であった信彦を失ってしまった光太郎にはなおさらだ。
カラオケでよく見るチャリンコスカル魔たち、まさかあれで二輪車の乗り方を学習していたのだろうか。転がっていたオートバイを苦も免許も無く乗りこなし走り去っていく。パトカーの下敷きになった光太郎が頑なに何でもないふりをしているが、普通の人間として今の居場所にとどまっていたいという彼の望みが伝わってくるようだ。だが元来の正義感がそれを許さず、光太郎はスカル魔を追う。
見慣れた変身ポーズをとってもブラックに変身できず、クライス要塞内へ拉致される光太郎。「杭のあるところはクライシス帝国」などと陣取りゲームのようなことを言い出すジャーク将軍だが、当の帝国は地球であって地球でない、重奏世界のようなところに存在しているらしい。
光太郎を熱烈スカウトするクライシスの幹部たちだが、一人高みの見物をしていた機甲隊長ガテゾーンがキラーワードを投げつける。
「アンタは所詮改造人間だよ。人間どもに義理立てする筋合いは無いンじゃないの?」
前作『BLACK』のオープニングでは「生きることが好きさ」と歌っていた光太郎だ。自分が自由に自分の生を歩むことも、同じように平和な生を全うしているほかの人間のことも、光太郎は好きなのだ。たとえ「改造人間」であっても自分は人間であり、ひとびとと共に暮らしていきたいと光太郎は願っている。そのささやかな願いを踏みにじるガテゾーンの無遠慮な台詞は、光太郎を怒らせるには十分だ。
こうしてスカウトを拒絶した光太郎は、とうとう変身機能を破壊され、宇宙へ投げ出されてしまう。平時に変身の力を失うのであれば、あるいは喜ぶこともできたかもしれないが、平和を脅かす新しい敵を前にしては、戦う力を失うことは光太郎にとって耐えがたい苦痛であろう。
宇宙に浮かぶ光太郎を光のオーロラが包み込む。太陽の力を帯びたまばゆい光は地上にも一条射しこんでいた。小さな花のうっすらと咲き始めた荒野、壊れた一台のバイクが転がっているその場所に。
RXの呼びかけにクラクションを鳴らし、甘えるように身を摺り寄せるバトルホッパーちゃん。さきの悲しすぎるお別れを経て、またライダーをその背に乗せることができる喜びを全身で表現しているようだ。本当によかったね……。
というわけで、『RX』での推しが1話にしてめでたく決定。引き続き通常営業である。
予告ラストの「ぶっちぎるぜ」がやたらと男らしくてびっくり。今までの育ちの良い好青年な光太郎からは一皮むけたということだろうか。
第2話「光を浴びて!RX」
スカル魔の攻撃により昏倒した光太郎は謎の光から自らの宿命を告げられる。宇宙の愛である太陽エネルギーによって命と超人的な力を与えられた彼は、邪悪な存在と戦わねばならない。だが、その力を他人の前で使ってはいけない。「人々は初めは称賛するが、やがてお前を疎んじるようになるだろう。お前が心から望む人間としての生の喜びは失われ、ひとりぼっちで生きることになるだろう」
戦いが自分一人ではできないことも、ひとりぼっちの悲しさも、光太郎はよく知っている。動揺する光太郎に「現実を見ろ」「賢き者の道を行け」と忠告めいた言葉を与え、光は去る。自らをキングストーン、光太郎の魂だと言い残して。
ゴルゴムによって無理やりに埋め込まれたキングストーンが、今では光太郎の魂となっている。シャドームーンが今際のきわにかけた呪いが、その変化を後押ししたようにも思う。信彦の死を無駄にしないためにも、光太郎は常にキングストーンとともにあり、その力を平和のために使わねばならないのだ。
生まれ変わったばかりとは思えないような息の合ったコンビネーション、さすがである。
破れた天井から射しこんだ光を浴びて、光太郎はRXに変身する。このシーン、どうしてもアギトのシャイニングフォームを連想してしまう。後ほどおなかのベルトから武器を出すシーンがあったが、これもそういえばアギトっぽい。
大きなレンズ状の目を持つキューブリカンさんは、戦闘データをクライス要塞へ送信する役割も持っている。未知のライダーの情報を着々と集めるクライシス幹部さんたち。着実なスタイルは好感が持てる。
リボルケインは剣ではなくケイン=杖。光太郎も剣にはあまりいい思い出がなさそうだし、ぜひその理解で行きたいところ。
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