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【ボウケンジャー】第31話~第35話

Task.31「亡国の炎」

 さて何回「腹」という字を使ったでしょうか。腹は人体の中央に位置する重要な部分である。腹の底まで見せ合うとまでは行かずとも、各人を形成する大切な核について知ることが出来れば、相手への理解はぐっと深まる。もちろんむやみに暴くのはよくないが、自ら腹を決めて少しずつ差し出せば、案外相手も素直に腹に納めてくれるものだ。

 世界有数の財閥の跡取り娘ともなれば、将来のレールは決まったも同然。仕事にいくらか腕を振るうことが出来るとしても、さきざきには利害関係を調整しながら婿など取り、一族を絶やさぬようその礎の一部とならねばならない。逆にレールに乗ってさえいれば大方安泰な一生を送ることは出来ただろうが、さくらはあえて別の道を選んだ。ただ、逃げ出した先もだいぶ体育会系な感じがするので、完全な自由を得るには明石による勧誘を待たねばならなかっただろうが。
 一方の映士は高丘の家名をずっと守って生きてきた。父も母もいない現状、彼が守らねば家が潰えてしまうという義務感もあろう。大財閥一家のさくらと違って、高丘家には名前と法術しかないのだ。

 さくらの過去を映士が受け入れたように、映士の過去~現在を象徴する法術のわざをさくらも受け入れている。

 パフェは心の栄養なので、どんなに食べても腹に溜まりすぎるということはないのである。羨ましい……。町場の喫茶店で、自分の給料で好きな様にパフェやスイーツを食べることが出来るというのも、今のさくらの立ち位置だからこそできる贅沢だ。


Task.32「ボウケン学校の秘密」

 明石殿は冒険スクールをオフ会か何かと勘違いしているのでござるか? なお、結構カジュアルに生徒募集をしていたし、ガチ勢は今更学校になど通わないだろうし、集まる生徒候補はライト層が主だと推測される。

 菜月がこんなに素直ないい子に育ったのも真墨の教育方針がよかったからか。他人に親切にすることに対して何のてらいもないということは、そういう成功体験を積み重ねてきたからであろう。真墨は菜月を裏切らない。菜月の笑顔がその証拠だ。

 これぞ地産地消の極み。輸送コストもかからず必要な分だけ収穫できて合理的! 光の船側の判定基準が気になるところだが、ただの自称・冒険者ではなく、「冒険スクールお墨付きの冒険者」という肩書があれば一応格好はつくのか?

 冒険者であるためにはやはり思い切りの良さや常識から外れてみる勇気が必要かと思うのだが、島田はその観点から行くとだいぶ「らしくない」タイプだ。でも、明石が冒険小説に心をときめかせていたように、かつてから冒険映画に憧れて、ついには今までの生活を変えようと決心したその心意気は、きっとなかなか冒険だ。ある意味では冒険学校に通うことにより、正しく人生の冒険の第一歩を踏み出したとも言える。ダークシャドウもたまには結果オーライ。


Task.33「レムリアの太陽」

 レムリアの女性像、観音様やマリア像的な雰囲気がある。偉い人と神様が近しい王権神授は古代文明のならいか。

 クエスターのお二人、アシュ時代に初めて菜月を見た時からなんだか含みのある反応をしていたが、こんな裏があったとは。それにしても明石に元チームメイトの幻影を見せた時といい、人心操作がお上手である。

 拾った女の子の名前にするほど印象深く、美しく真墨の目に映った菜の花の群れは、プレシャスによる異常な植生であり、彼女の孤独な出自を示す手掛かりでもあった。真墨的にも結構複雑な気分なのでは。


Task.34「遼かなる記憶」

 特殊変身はいつ見ても良い物だ。銃弾の軌道を見切り、ジャイロをブレなく添わせる動体視力、さすがである。

「間宮菜月」をかつて真墨は独占していたが、いま「ボウケンイエロー」としての居場所を得た菜月はもう真墨だけのものではなく、他のメンバーや牧野博士、唐物屋、その他さまざまな人と関わりながら自分だけの思い出を作っている。だから、「俺の」ではなく「俺たちの」菜月なのだ。だが、「仲間」ではなく「パートナー」という言葉を無意識に選んでいるのは、やはり自分と菜月の二人で過ごした時間が真墨の心の中で大きなウエイトを占めているからだろう。

 レムリア人の末裔・リリーナとしての人生を、菜月は選ばない。彼女にはリリーナとしての記憶はないからだ。だから遠く離れた両親にも、菜月は菜月として思いを馳せる。真墨や他の皆が彼女を菜月と呼ぶ、だから菜月は笑顔で返事をして、自分が間宮菜月であることをそのたびに確かめる。記憶を取り戻すまでのかりそめの姿であった「間宮菜月」は、すっかり彼女に馴染んで、彼女そのものになったのだ。

 サージェスほどの組織であれば、技術チームが複数いるのも確かに納得。共通規格と共通設計思想さえ定めておけば、いざというときも安心である。規格違いの開発競争でなくて本当によかった。


Task.35「神の頭」

 ゴーゴーボイジャー、結構力業で何とかなるタイプ。技術チーム同士の間で「奴ら結構無茶苦茶するから気を付けて」とか情報共有されている恐れがある。

 第一話でボウケンジャーとサージェスに加入した真墨と菜月はいわば同期だが、二人が加わる前、三人態勢だったころのボウケンジャーについて、作中で多くは語られていない。今でこそ真墨たちの良い先輩のようなポジションだが、当然蒼太とさくらにも新人時代があったわけだ。ゴードム文明が本格復活する前とはいえ、プレシャスを回収するミッションはいくつもこなしただろうし、中には死線をくぐるようなこともあったのだろう。自衛官とスパイではバックボーンがだいぶ違っているので、理解し合うのも一苦労。さくらが映士に早々と自分の生い立ちを話したのも、蒼太との二人ミッションで苦汁をなめた経験があったからかもしれない。
 映士は生野菜ばかりを齧るものの菜食主義者とまでは言われていないように思ったが、どうだっただろう。焼肉屋でも焼き野菜だけをもりもり食べまくる可能性もある。高丘流にも精進料理系の縛りがあるとすれば、ワンチャンうさぎ肉ならイケるか。

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