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【ゴーオンジャー】第37~38話

GP-37「炎神バンキ!?」

 ご先祖さま、家出するの巻。

 いつものように野外でちょっとしたパーティーを催している走輔たちからスタート。と、自分で打っていてびっくりする。いつものようにちょっとしたパーティーだと……? 須藤兄妹が合流してからというもの、ゴーオンジャー諸氏の生活には華やかさと潤いがしばしばプラスされているなあ。さすがはセレブリティ。
 ヨゴシュタイン撃破と走輔の快気祝いが目的のパーティーであるが、範人や美羽たちは水鉄砲できゃあきゃあと楽しそう。大翔だけが少し浮かない顔で、シャンパングラスを弄んでいる。アンニュイな表情が大変良いですね! 敵幹部の一角を切り崩したことは確かに大金星であるが、反動で一気に攻勢に出てくることを彼は心配しているのだ。
 ひとりパーティーに加わっていない連も、同じ懸念を抱いている。そこで急ぎ開発していたのが、古代炎神たちの力を生かした新たな武器である。この武器が力を発揮するためには、ご先祖たちの協力が必要不可欠。……なのだが、ご先祖たちは走輔のラジコンをこっそり動かし、誰も気づかぬ間にそっと家出をしてしまう。かわいい。
 誰も操作していないのに走っている不思議なラジコンは、当然あっという間に子どもたちに目を付けられる。追い回されるラジコンを偶然見かけたのは通りすがりの須藤兄妹、ラジコンは子どもたちに渡し、古代炎神たちのソウルを保護して連れ帰る。
 ご先祖たちを探し回っていた連は、子どもたちが持っていたラジコンからヒントを得て、須藤家へたどり着く。走輔のラジコンを返してもらった様子はなかったが、いいのかそれで。ともあれ、古代炎神たちから家出の理由を聞く一同。さきの戦いでホロンデルタールに操られたこと、そして相棒である走輔を瀕死の憂き目に合わせたことで、すっかり戦う自信を無くしてしまったらしい。連がなだめても、ご先祖らの心は頑なだ。一緒に戦ってほしいと言う連に対し、キシャモスたちはぷいとホログラムの姿を消してしまう。
 折悪しくガイアーク出現の報が入り、連と美羽は急いで現場に向かう。残った大翔はティラノサウルスの置物を片手に、キシャモスたちに語り掛ける。かつてキシャモスたちは、ダイナワールドを身体を張って守った。走輔たちも同じように、身体と命を張ってヒューマンワールドを守ろうとしている。同じ志を持つもの同士、なぜ気持ちをわかってやれないのだと……。
 この熱い説得を、ほかでもない大翔が行っているのが大変アツい。当初はゴーオンジャーとゴーオンウイングスの間にはっきり線引きをし、走輔たちとは距離を取っていた須藤兄妹。戦闘中に何度も鉢合わせることで、次第に互いの人となりが分かり、同じ正義の心を持っていると分かり合うことが出来たのだ。今では大翔は当然のように連の意思を引き継げるし、連も自分の意志が過たず大翔に伝わっていると信じて疑わない。二人は、そして七人はかけがえのない仲間である。
 大翔の説得に心動かされ、古代炎神は再び戦う気持ちを取り戻す。連が作った最新の武器・カンカンボーを手に、一人と三体は戦いの地へ急ぐ。

 一方のヘルガイユ宮殿では、ケガレシアがヨゴシュタインの葬式の真っ最中である。切々と弔辞を読み上げるケガレシアに背を向け、キタネイダスはなにやら新しい蛮機獣の研究に余念がない。勝利こそがヨゴシュタインへのはなむけになると、精魂込めて作り上げたのはその名もエンジンバンキ。確かに空気を汚す害気大臣としては、定番公害である排気ガスにはもっと早くから目をつけてもいいくらいであった。
 エンジン、というか炎神をもとに作られたエンジンバンキは、キタネイダスのセンスがぴかりと光るデコトラ野郎一番星。運転席のキタネイダスを「相方」、助手席のケガレシアを「お嬢」と呼び、トラトラと周囲を威嚇する。音が被ってしまったジェットラスはちょっぴり不機嫌。スピードルも以前キャラかぶりを気にしていたが、炎神たちは自分の個性にたいそう敏感なのだろうか。
 なお、エンジンバンキの「トラ」が指すのはトラックの「トラ」だけではない。戦闘中、なんとまさかの人型ロボ形態へ「トラ」ンスフォーム! 炎神をもとに作ったというのだから、確かに巨大ロボに変形できても不思議ではないか。ちなみに今調べて知ったのだが、アニメ「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」を制作したのは東映動画だったのですね。深い意味はないですが。ええ。
 ともあれ変形も自由自在なエンジンバンキに、ガンバルオーもエンジンオージェットラスも押され気味。ゴローダーGTを投入したがなおも差は縮まり切らず、とうとう合体も解けてしまう。が、分離した走輔とスピードルは単騎で空中戦を決行。テクニカルなコーナリングで追尾ミサイルを躱し続けるが、検討むなしくついに着弾。その瞬間、爆風に乗った走輔は空中に飛び出す!
 ひとりでエンジンバンキのフロントにとりついた走輔は、なんとか一撃を加えようと必死である。地上から各員援護するも火力不足は否めない。振り落とされてもなお諦めず、砲撃を加えようとする走輔たち。だがパートナーの炎神たちはもはやエネルギー切れだ。満身創痍のゴーオンジャーたちに笑いの隠せないキタネイダス。助手席のケガレシアもヨゴシュタインの遺影を抱え、余裕顔である。
 そこに遅れて現れたのが、キシャモスたちと大翔である。
 まっすぐに爆走してくるエンジンバンキに対して、大翔はカンカンボーを構える。遮断機をモチーフにしたカンカンボーには「どんな車でも止まっちゃう」能力があるのだ。乗り物の姿である炎神たちには天敵のような武器である。敵に奪われないよう厳重に保管しておいてほしい。ともあれ、大翔の斜め上に切り上げるような一閃により、エンジンバンキの前には巨大な遮断機が現れ、道をふさぐ。力づくで停車させられたトラックの目の前を駆け抜けていくティライン・ケライン。そして通り過ぎたはずの二両編成は、急カーブを描いてブーメランのように駆け戻り、エンジンバンキの横っ腹をぶち抜く! いや遮断機の外側でちゃんと止まったのに事故ってるじゃないか! いいのかそれで!
 いいのである。ティラ・ケラがいきいきと活躍できたのだから問題ない。キタネイダスとケガレシアを逃がし、人間サイズになったエンジンバンキはなおもゴーオンジャーの前に立ちふさがろうとする。次はキシャモスの番だ。
 大翔から受け取ったカンカンボーを、走輔はマンタンガンに連結。キシャモスのソウルから迸るエネルギーが、カンカンカンエクスプレスとなって一気に放出される!

 戦いが終わり、メットオフして顔を合わせる七人。円を描く様に丸く立ち並んだ彼らの顔を、カメラは足元から見上げている。人間たちの対等な距離感を感じると同時に、炎神たちがソウルの姿で見る世界はいつもこんな感じに上向きに広がっているのかなあとも思う。晴れた空、晴れやかな相棒の顔。勝利の余韻が合わされば、なんと気持ちの良い景色だろう。


GP-38「乙女ノホンキ」

 女の子(広義)、頑張るの巻。

 ケガレシア様のおちゃめなおっちょこちょいから始まる今回のお話。酸性雨を調合したはずが、間違って「男性だけが固まる水」が出来上がってしまったのだ。あえなく被害に遭ったのはシャワーバンキの酸性雨シャワーを浴びたゴーオンボーイズ、ならびにケガレシア様から水をぶっかけられたキタネイダス。効果を確認したいからって唯一の同僚に劇薬(未遂)をひっかけるケガレシア様、まぎれもなく大物。
 突然仲間が硬直したことで、早輝と美羽は激しく動揺する。特に美羽の動揺ぶりはひどく、固まった大翔を何とかギンジロー号まで運んできてから、自分自身もすっかり後ろ向きに開き直ってしまっている。この世に欠けたるものなど無いようなスーパーセレブの美羽であるが、ことガイアーク絡みの案件となると、頼れる相手は早輝たちしかいないのだ。悪いことにシャワーはスーツの下から装備の中までびしょびしょに浸透しており、炎神たちも男性性のものは動きを停止してしまった。すなわち、ジェットラスとトリプター、両方である。ゴーオンウイングス構成員はもはや美羽しか残されていない。
 早輝が幸運だったのは、相棒の炎神ベアールVが花も恥じらう乙女であったことだ。シャワーの直撃を免れたボンパーもいる。緊急事態に一人ぼっちでないという事実は、それだけでもかなり安心するものである。
 早輝と美羽の余計な一言から現状を把握し、今をチャンスと攻撃に打って出るケガレシア。狙うは固まったままの男性陣のボディだ。叩き壊して戦力を削ぐには、反撃されない今が絶好のチャンスである。当然、残された早輝たちはボーイズを守る行動に映らねばならないのだが、大翔の緊急事態に弱い美羽は「アニがいないと生きていけない」などと泣き言を口走り、すっかり諦めモードである。美羽も美羽でかなりパニックに陥っていたが、ベアールの叱咤激励、「いつも通りにやればいい」という力強い言葉により、持ち前のスマイルを取り戻していく。姐さんと呼ばせてくれ。
「お父ちゃんにはしたないからやめとけって言われとった奥の手」ことブイブイミサイルまで使い、なんとか蛮ドーマを退ける早輝とベアール。車体のカモフラージュシートとその手前の巨大落とし穴という二段構えの罠でシャワーバンキの足を止めて、ひとまず安全なところまで逃げ出すことに。日ごろベアールに乗っている早輝はもちろん無事故無違反の優良ドライバー、ただしぴっかぴかのペーパードライバーである。大丈夫か?
 郊外の衣料品店まで逃げ切って、ほっと一息つく二人と一台と一体。なおもいじけモードの美羽に、早輝は思わずビンタで説教。女子メイン回のお約束である。
 ようやく気合の入った美羽と早輝、ベアールは、あらためてキラキラスマイルのタフガール・ゴーオンプリンセスを結成。もう一度シャワーバンキたちを罠にかけようと画策することに。
 そうとは知らないシャワーバンキたちは、山奥の橋を溶かしてギンジロー号を足止めし、悠々と車内へ押し入る。棒立ちのカラフルな男どもをタコ殴りにしようとしたウガッツたちだが、よく見るがいい、それは全部マネキンだ。
 先ほどの衣料品店で、美羽たちが思いついた奥の手である。固まってしまったボーイズは、確かにマネキンそっくりだ。そこでマネキンに彼らの衣装を着せ、一方で彼ら自身は衣料品店のショーウインドウに堂々と隠す。念のためメンズではなくレディースの服をコーディネートする気合の入れようである。女装回再び。しかもみんなちゃんとそれなりに見られる格好になっている。なんなら走輔と大翔がいい感じに美人。最高。しかし、ひらめいたきっかけが「範人の女装が似合っていたのを思い出した」なのはなんだか背徳的な感じがするな……。
 マネキンに驚いたウガッツたちを、ゴローダーGTのボディに乗り込んだベアールがぐいぐい蹴散らす。前はスピードルがだいぶ無理をして動かしていたが、頑張ればベアールにも可能であるようだ。車内のお掃除を終えて出てきたベアールゴローダー、仕草がいちいちきゃぴきゃぴの女子で最高にかわいい。あなたヒト型の身体があったらこういう風に振る舞ってみたかったのね……。
 しっかり特別名乗りをしてから、流れるようなアクションシーン。シンクロした動きから始まり、手に手を取ってダンスのように互いの身体を振り回し、ひとときも途切れさせずに連撃を繰り出していくイエローとシルバーの殺陣の感じも女子回のお約束かもしれない。よっ技巧派! ベアールゴローダーは小細工一切なしのイケイケタイプで敵を圧倒、そしてとどめは3人そろっての「プリンセストリプルパンチ」!
 一仕事終えてへとへとのベアールたちに代わり、巨大戦は遅れてやってきたボーイズの出番である。一日固まっていた疲れも何のその、男の真心かぎりりなく、ガンバルオーにセイクウオーでシャワーバンキを撃退。シャワーバンキは映画『サイコ』のことを話しながら爆発していったが、視聴者キッズが興味を持ってしまったらどうしようと若干ハラハラ。トラウマになるぞ。
 変身を解除したボーイズ、ショーウインドウから駆けつけてきたためにまだ女装姿のままである。女の子(広義)回ですからね、仕方ないね。皆さんよくお似合いです。

 しかしやっぱり、今回個人的に一番グッと来たのは、女装でもシャワーバンキの水栓の位置(なんちゅうとこにつけてるんだ)でもなく、ゴローダーGTのボディを得たベアールVの振る舞い方であった。関西弁だしRV車だし、なんだか勝手に強そうなイメージを抱いていており、ゴローダーでの戦い方はまさにその通り、猪突猛進で反撃の隙を与えないようなラッシュであった。だがそれ以外の箇所では、バスから降りてきて早輝たちに声を掛けられぴょんぴょん両足飛びする感じとか、おとり作戦のネタ晴らしをする早輝と美羽の横でじっとしていられないようにちょこまか動いている感じとか、もう、並んで立てるのが嬉しくて仕方ない、女子というより小さな女の子みたいなそぶりをしているのである。
 炎神たちの年齢は定かでないし、そもそも人間の年齢と炎神の年齢が同じように対応しているのかはわからないが、しっかり者のベアールの思わぬ可愛らしい一面を見て、なんだかとってもほっこりする思いである。もしかしたら、一番身近なヒトである早輝の動きを無意識に真似しているのだろうか。長い手足の生えた縦長の姿勢なんて、普段四輪装甲のベアールたちからしたらかなり慣れないはずだ。お手本があった方がきっと動きやすかろう。でも、ただ物真似をしているだけというには動きがきちんと感情に連動していたようだったので、やっぱりベアールのベアールらしさもあそこにはにじみ出ているはず。
 なんなら今度その状態でショッピングとか行くといいよ。きっとすごく楽しいはずだよ。あとはゴローダーボディが食べ物の摂取に対応すれば、女子カフェ巡りなんかも出来て最高なのにねえ……。

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