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【マジレンジャー】37~38話

Stage.37「狙い撃ち 〜ゴル・マージ〜」

 推しの一人であるサイクロプス様が早々にご登場あそばされて嬉しいような悲しいような。せめてその雄姿を瞼に焼き付けんとす。
 サイクロプスの用いるのは狙撃銃と不気味に赤い銃弾である。その銃弾で狙撃されたものはビルであろうと人であろうと、赤く輝く粒子になって消えてしまう。だが、イコール即死というわけでもない。サイクロプスがマジレンジャーたちに持ち掛けたゲームは、「日没までに誰か一人でも生き残れ、それが出来なければ消えた者たちは戻らない」というものであった。持って回ったようなその台詞から、麗は撃たれた人たちがまだ生きている可能性を見出す。
 クールに見えるサイクロプスだが実はそこまで無感情でもなく、場合によっては激情をあらわにすることもある。だが、そこで一呼吸おいて顎をなでることで、落ち着きを取り戻し自制する。さすがはスナイパーである。

 一方のドレイクはゴーゴンに半ばそそのかされるようにして、ヒカル先生のいるマルデヨーナ世界に現れる。どうやらインフェルシア側の者たちは、トラベリオンなどの移動手段がなくてもマルデヨーナ世界へ自由に行き来できるようだ。そういえばメーミィもマルデヨーナ世界にヒカル先生たちを呼び出していたっけ。
 人間界の人間たちへ神罰を与える邪魔をしてはいけないから、マルデヨーナ世界の天界人を殴りに行く。掟の穴をついたというか、屁理屈というか、ともかく何としても暴れてやりたいというドレイクの気持ちがひしひしと伝わってくる。
 スモーキー相手に組み手をしていたヒカル先生は、驚きつつも変身して応戦。果敢に勝負を挑むが、戦況はあまり思わしくない。暴れたいだけのドレイクは他の冥府神のようにゲームを始めようともしないので、判定勝ちを狙うこともできず、ただただやられるばかりのヒカル先生である。さすがに一人(と一匹)では分が悪い。

 珍しく翼と蒔人は二人でお出かけ。ボクシングの試合を見るのは二人共通の趣味のようで、楽しそうに会場から出てくる。
 翼は夢を語ってはばからず、その実現を自分で信じている。一方の蒔人は今や、夢を持つことさえ諦めている。「長男の責任」と度々口にするが、おそらくは長男としてだけではなく、不在である父親の代わりとしても、その背中に過重な責任を感じてきたのだろう。父が姿を消したことで、蒔人は母を支え、きょうだいを守る、保護者にならねばならなかったのだ。そして一度保護者になってしまうと、夢を口に出すことすらなんだかはばかられて、難しいように感じてしまう。

 ところでこれは完全に別件だが、冒頭で芳香に葉っぱを切られすぎたマンドラ坊や、大丈夫か? 蒔人が気づいてそっと追肥してくれることを祈るばかり。


Stage.38「アニキとの約束 〜ゴー・マジーロ〜」

 ひとりずつ消されていく兄弟たち。ついに残ったのは翼と魁の二人だけとなる。先に消えた蒔人からきょうだいたちの事を任されていた翼は、自責の念でパニックを起こしかける。だが、そんな翼の目を覚まさせたのは、守るべき対象であるはずの魁であった。魁に鏡を見せられて、翼は数瞬ののち、自分自身を取り戻す。ラウンドごとに気持ちを切り替えて戦っていくボクサーのメンタルだ。すぐに冷静さを取り戻し、知略を働かせることができるのは、蒔人ではなく翼だけの個性である。
 蒔人の最後の行動や、きょうだいたちが狙撃された状況からサイクロプスの居場所を推理し、「弾丸が空間の境目を通過すると同時に逆方向から飛び込む」という体当たりの作戦で見事鏡の世界へ入り込んだ翼。新たな魔法で一騎打ちを制し、無事にきょうだいたちを取り戻す。ここで流れるキャラソンがまた滅法格好いい。
 助けられた蒔人は翼の実力を認め、その成長をしみじみと喜ぶ。蒔人が夢を持てずにいたのは、きょうだいたちの成長を信じ切れていなかったからという理由もあるだろう。一家の家計はアニキ農場の売り上げが支えているし、きょうだいたちも蒔人には知らずと甘えがちである。だが、皮肉にもインフェルシアとの闘いの日々が、きょうだいたちの勇気を育て、ひとりひとりを強くした。いつまでも手のかかる弟妹だと思っていたきょうだいたちは、いつの間にか支え合うことのできるほどの力を持った存在になっていたのだ。
 かつての夢を再び思い描き、目をそらすことをやめた蒔人。なんといっても彼はまだ24歳である。夢を見るのに遅すぎるということは無い。保護者だって自分の夢を見ていいのだ。それはきょうだいへの信頼のあかしでもあると言えよう。

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