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【RX】第44話~第47話(最終話)

第44話「戦え!全ライダー」

 ボスガン様死す。貴族らしいプライドの高さと生来のねちっこさが合いまった、大変印象的なお人柄でしたね……。

 せっかく先ほど言葉を選んだのに、初見時の自分が全く歯にオブラート着せぬ言い方をしているのでパアである。
 ガデゾーンやゲドリアンとはまたタイプの異なる、一作品に一人欲しいタイプの正統派悪役貴族・ボスガン。エレガントなお衣装も大変お似合いであった。あの真っ白な小顔は貴族らしく、仮面をイメージした意匠なのだろうか? ボスガン自身はだいぶ表情豊かだった気もするが……。

 光太郎から贈られたライターを、無理やり光太郎に持たせるおじさん。光太郎が死にに行くことを見越し、再会の約束をすることで、彼の命を守ろうとしたのである。
 おばさんも、以前には子どもたちを大切に思うあまり、光太郎に対して辛らつな言葉を投げかけたこともあった。それは確かにご尤もな怒りではあるのだが、茂とひとみにとって「光太郎兄ちゃん」がかけがえのない存在であることもまた確かなのだ。
 子どもたちに別れを告げ、佐原夫妻にその身を案じられながら、光太郎は戦いの地へ赴く。


第45話「偽ライダーの末路」

 かつてやられたやり口をそっくりそのままお返しするバイオライダーである。光太郎の体内は(改造人間とは言え)人間らしく心臓を弱点としていたが、グランザイラスの体内はちょっとした機械室のような様相である。おそらく精密な組み立てによって動作しているのだろうに、そんなところで暴れられたらひとたまりもない。爆発から逃れられたのもバイオライダーの特性あってこそ。クライシス、自分たちの手で間接的に最強の敵を覚醒させてしまっている。

 いちど(RXが)倒した相手にはとことん強気に出る吾郎くん。そんなにイキって大丈夫なのかとはらはらするが、使い慣れたメインウェポン・フライパンを手にして抗戦しようとするその意気やよし。響子はクライシスと戦うために水を操る力を開花させたが、特別な力が無い一市民だって侵略に立ち向かえるのだと行動で示してくれる吾郎は、実はとても大切な立ち位置にいるのではないかと思う。武力を行使するだけではなく、補給や偵察などの自分にできることを精いっぱいやるだけでも、その一つ一つの行動は平和の実現につながっているのだ。


第46話「ライダーの総突撃」

 前作『~BLACK』では杏子と克美が無事アメリカまで逃げ切ったので、すっかり油断していた。ライターのやり取りがあった時点で佐原家はもう物語から降りたんじゃなかったのか!?
 光太郎を無力化させることはできなくとも、ウィークポイントのひとつとして、佐原家の情報はクライシス側にきっちり抑えられている。なりふり構わぬジャークミドラが狙い撃ちにするのも当然と言えば当然か。

 最高司令官の御出陣とあらば本来はもっと賑々しく、格調高く行われるはずかと思うのだが、いち怪人となってしまったジャークミドラにそのような華々しい晴れ舞台は無い。一年間にわたる侵略計画の失敗がとうとうリカバリーできない段階となり、すべてのツケが回ってきたような感じだ。部下の失敗の責任をかぶっている点ではよい上司風にも見えるが、何のことは無い、挽回するための部下がもう残っていないだけである。デスマダーはむしろ皇帝側の存在だし、マリバロンは顔に傷を負い、もはや一線を退いたも同然。となれば、ジャーク将軍自らが動かねばならないのも致し方ないところ。


第47話「輝ける明日!」

 最終回である。クライシス皇帝は倒したが、失ったものもあまりに大きい。そして光太郎は再び旅に出る。一つ所に腰を落ち着ければまた佐原夫妻のような悲劇が起こってしまうかもしれない、と思ったのかもしれない。だが、今度の旅立ちには帰りを待っていてくれる人がいる。別れではなく、「輝ける明日」のための第一歩なのだ。

 かつては桃源郷とも呼ばれ、地球との平和的な往来もあった怪魔界。皇帝の圧政が原因なのか、それとも皇帝が言うように地球の環境破壊が原因なのか、今となっては理由は定かではないが、地球によく似たその星は、もはや五十億の民が暮らしていける場所ではなくなってしまった。
 RXがクライシス皇帝を倒したとき、怪魔界もまた速やかに滅びの時を迎えた。移住計画がおじゃんになってしまった以上、残された民はもはや世界の終焉を待つばかりであった。とはいえ、カウントダウンもなしにいきなりすべてが終わってしまうのは、彼らにとって幸か不幸か。「地球に移住できるかも」という希望を抱いたまま何も知らずに命を絶たれるほうが、移住できない怨嗟の中じわじわと死んでいくよりも人道的であるとの見方も出来ようが、その正否を判断するためのクライシスの民はもはや一人として怪魔界には残っていないのであった。

 期せずしてマリバロンは四大隊長並びにジャーク将軍の最後の未届け人となってしまった。ガロニア姫騒ぎの際に彼女はジャーク将軍から窮地を救われている。ボスガンのような目に見える野心があるわけでもなく、大おばの百目婆ァまで引っ張り出して作戦を遂行しようとする彼女は、ジャーク将軍の一番忠実な部下であったのかもしれない。苛烈なお人であった。


 というわけでRX完走である。お疲れさまでした! まとめるまでずいぶん時間がたってしまい、細部の記憶が抜け落ちていそうなのが心残り。余裕があれば映画の客演もチェックしたいと思いつつ、気持ちはすでに『BLACK SUN』の方を向いている。配信開始が楽しみです。

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