ロシアの海上輸送される石油に対して価格上限が設けられたことによる影響について

原油について少し書きます。

12/2にロシアの海上輸送される石油に対して価格上限が設けられました。
簡単に説明します。
これは西側の保険を通して海上輸送されるロシア原油の価格上限を1バレル60ドルに設定し2か月ごとに価格水準の見直し、国際石油価格を少なくと5%下回るような調整メカニズムで合意したものです。2023年2月5日にはロシアの石油製品にも同様の価格上限が発効されます。
一方、先日のOPEC+では2023年の末まで日量200万バレルの減産に合意しました。また、政策決定閣僚会議の頻度を毎月1回から6か月に1回に変更することに合意しケイデンスをパンデミック前に戻しました。次回会合は6月4日に予定されています。
大方の予想ではこの2つの決定によって世界の石油市場に大きな影響を与えるとは考えられていません。
すでにロシア産の原油はこの上限付近で取引されているためです。ロシア側は上限を遵守する国や企業に石油を販売しないと述べており、政策を実施する大統領令を準備しています。
ここ数か月の海上原油輸出は約300万バレル/日になっています。
内訳は多いところで中国が日量90万から100万バレル、インドが80万から85万バレル、トルコが30万から35万バレルを輸入しています。
今回の経緯を政治的な側面からみると、ロシアとOPECは協力し減産を維持したと捉えらています。
石油市場の供給不足のなかのこの決定で、
今後、ますますサウジアラビアをはじめ産油国は西側諸国との関係悪化、今後も非協力的な政策態度をとるだろうと考えられています。


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