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『社会を背負って生きるということ』

『社会を背負って生きるということ』(2018.02)

※2018.02.26 Instagramに投稿時の文章をそのまま掲載。


『社会を背負って生きるということ』
掴まれるところなんてないし、生きていた人たちの方が大切にされるんだよな。

約3年前に描いた『背中にビルが並んでる恐竜みたいな人間』という落書きから着想。

『背中にビルが並んでる恐竜みたいな人間』(2015.03)

背中にビルがあるところが、社会を背負って生きているように見えた。あんまりビル目立たないけれど。
世間一般から見たときにそう言われるような年齢に自分も近づいていると思い、今回このテーマで描いた。

社会で連想したのが満員電車だった。
満員電車ってみんなほぼ立ってるし掴まるところないときもある。不安定だよなあ。
今の社会安心して掴まっていられる(拠り所にできる/安定できる)ところってあるのか?と思ったので車内になりました。
初めて現実っぽい背景真面目に描きました。

“つららが出来た吊革”はラフ出しのときに一番描きたいと思ったところ。
実際掴まること自体は出来るけど、冷たくて多分掴み続けられないだろうね。
社会は冷たいっていうイメージもあったのでこれは描きたかった。
実際描いたらすげえ目立たなかった。

電話は描いたら可愛いかなって思ったので描きました。これは後付けの意味合いが強いけれど、生命線。110とか119に繋がるから。

日本は死を美化するから、足跡とか服(死んだ人たち)のところに花があります。
死者に花手向けるし。
死んだ後の方が花とかお菓子供えてもらったり、昔の良い思い出話してもらったりで多分生きてるときよりちやほやされる。生きてるときもそうしたいしそうされたいのに。
足の青い影みたいなのは水のような未練のような悲しみのような。沈んでいきそう。

海と足跡の花は線画段階で足しました。
海ってどこからいきなり深くなってるか分からないから何も考えなしに入ったら死ぬ可能性が高い、普通に生きてたら(そこに飛び込もうとしなければ)わざわざ行かない場所。
この海は、将来への不安定とか見通せなさとかの象徴です。
私らはもう海のどこらへんまでは安全ってのが分かってるけど。例えばジャングルとか、危険を冒してまで行かないじゃん、普通はそういう場所に。
不安定で将来どうなるか分からないような職とか場所に飛び込むよりは今確実に見えるこの地面がある場所で生きていこうかなってなるから。
夢を追って生きていく人たちは海の中に飛び込んで行くだろう。その先にここよりいい場所があるかもしれないけど(ただの海底かもしれない)、そういう人たちの消息は不明というか、やっぱり亡き者にされる部分が多いように思う。
上手く言えないけど。

社会は冷たいし見えないことも知らないこともたくさんある。唯一の生命線はどこに繋がるか分からないし、死んでからの方が大事にされる。寂しいよな。寂しいとこで生きてんだよ私たちは。でも生きてんだよ。社会を背負って生きる私たちだから、私たちが作ってるんだよそういう社会を。それが一番寂しいよ。(2018.2.9-2.26)

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