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生物分類技能検定2級動物部門 2023年度対策

そろそろ生物分類技能検定2級の申込み開始日(7月3日)が近づいてきました。
今回は『私が今年受けるならば、こんな対策をする』ということを書いていきます。


外来生物法改正 (2023/9/13追記)

2023年4月1日の『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』の改正により、『要緊急対処特定外来生物』というカテゴリーが新設されました。

この法律において「要緊急対処特定外来生物」とは、特定外来生物のうち、まん延した場合には著しく重大な生態系等に係る被害が生じ、国民生活の安定に著しい支障を及ぼすおそれがあるため、当該特定外来生物又はその疑いのある生物を発見した場合において検査防除その他当該特定外来生物の拡散を防止するための措置緊急に行う必要があるものとして政令で定めるものをいう。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 第2条 第3項

要緊急対処特定外来生物として指定を受けたのはヒアリ類です。ヒアリ類の定義は以下の通りです。

(1)ヒアリ類 法第2条第3項に基づく施行令第4条並びに別表第四及び別表第五に規定されている、ソレノプスィス・ゲミナタ種群、ソレノプスィス・サエヴィスィマ種群、ソレノプスィス・トゥリデンス種群及びソレノプスィス・ヴィルレンス種群に属する種に属する生物の個体、及びこれらの種群に属する種に属する生物がこれらの種群に属する他の種に属する生物と交雑することにより生じた生物の個体をいう。ヒアリはソレノプスィス・サエヴィスィマ種群に属する種であり、また、国内で発見事例があるアカカミアリはソレノプスィス・ゲミナタ種群に属する種である。

ヒアリ類(要緊急対処特定外来生物)に係る対処指針 2 定義
https://www.env.go.jp/content/000128335.pdf

改正外来生物法に基づくヒアリ類への対策概要
https://www.env.go.jp/content/000129254.pdf

特定外来生物の追加 (2023/8/6一部追記)

2023年6月1日より、特定外来生物にアカミミガメアメリカザリガニが追加されました。従来とは異なる条件付特定外来生物として指定を受けています。一般家庭での飼育と無償譲渡は許可なしで可能とのことで、これまでの特定外来生物に対する規制とは異なります。時事問題的に出題されそうな内容となっています。

また、2023年7月28日、ツヤハダゴマダラカミキリサビイロクワカミキリが9月から特定外来生物として追加されることが決まりました。ツヤハダゴマダラカミキリはゴマダラカミキリと同属で、国内で次々と確認されています。特定外来生物を問う出題としては来年以降かもしれませんが、最近話題となっている外来種として純粋に調べておいたほうが良さそうです。

見つけよう!ツヤハダゴマダラカミキリ
https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/2forest/09for-entom/documents/web.pdf

国内希少野生動植物種の追加

毎年恒例ですが、今年も国内希少野生動植物種が15種追加されています。

  • 両生類1種(ホムラハコネサンショウウオ)
    2022年の新種です

  • 昆虫類8種(ゲンゴロウ科6種、コバンムシ、コヒョウモンモドキ)
    ゲンゴロウ類としての視点でも、水生昆虫としての視点でも要注意です。ゲンゴロウ類とコバンムシは第二種としての追加です。また、ヒョウモンモドキ類は国内の3種類とも指定を受けたことになります。

  • 甲殻類1種(ニホンザリガニ)
    第二種としての追加なので注意です。

  • 植物5種(タカネマンテマ、サンプクリンドウ、ヒメセンブリ、トヨグチウラボシ、ツシマアカショウマ)
    共通問題としては、植物は出題されにくいですが、余裕があれば覚えたいところです。

国内希少野生動植物種一覧(令和5年1月11日更新)のパンフレット
https://www.env.go.jp/content/000113583.pdf

近年の新種(爬虫類・両生類・魚類)

  • 爬虫類
    ヒガシニホントカゲは頻出ですが、2022年の新種ヨナグニスベトカゲを筆頭に、センカクトカゲ、クチノシマトカゲ、ケラマトカゲモドキも抑えておきたいところ。

  • 両生類
    近年、特に有尾目で種の新設が止みません。ハコネサンショウウオは出題済みですが、他に従来オオイタサンショウウオ、カスミサンショウウオ、ブチサンショウウオ、コガタブチサンショウウオ、イシヅチサンショウウオ、ヒダサンショウウオとされていた種が複数の種に分割されたことについて、(平成27年以降の問題を見る限り)出題されていません。さらに、この1,2年だけを見ても多くの種が新設されている状況で、両生類についてはいつ出題されてもおかしくないです。環境省レッドリスト 2020 補遺資料を参照すると、サンショウウオの種の分割について理解しやすいです。併せて止水性・流水性のどちらであるかを確認するとベターかと思います。イボイモリ分割ムカシツチガエルについても要注意です。

  • 魚類
    新種の追加が大量にありますが、抑えるべきは淡水魚です。ナマズは出題されましたので、次はドジョウでしょうか。汽水域の魚まで手を広げると収拾がつかないので、自分ならある程度に留めます。

新種の昆虫に関する出題は見たことがなく、私なら後回しにします。

水圏生物部門の過去問(共通問題・淡水魚)

ご存じの方はご存じかもしれませんが、CBT試験の始まった2021年より、動物部門と水圏生物部門の共通問題では、別の問題が出題されるようになりました。そのため、2021年・2022年の水圏生物部門の共通問題過去問は、動物部門対策として有効に活用できます。水圏生物部門といえば、淡水魚も出題範囲に入りますし、余力があれば藻類問題も大量にあります。ちなみに2022年の水圏生物部門の観察問題は、従来のような海藻問題ではなく、魚の鱗でした。魚の鱗の問題が動物部門で出題されるかはわかりませんが、出題されてもおかしくはないです。

時事的なこと(2023/6/23追記)

過去にマダニが媒介する感染症についての出題がありました。マダニに関連するのですが、世界初のオズウイルス感染症について報告がありました。重大な結果を招くことのある感染症であり、NIID 国立感染症研究所が周知を始めたことから、(さすがに今年は出ないかもですが)今後のために知っておいてもよいかと思いました。普段からニュースに目をとおして、気になるものがあればクリップするのがよいと思います。



その他の対策等については、過去の記事をご覧ください。

以上、ご参考になれば幸いです。

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