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「ドイツの法律ではこどもの声は騒音とされていない」は本当か?【後篇】

前篇では「ドイツの法律ではこどもの声は騒音とされていない」という切り取られた一節だけを盲信して自らを正当化する残念な大人たちに残念なお知らせをお届けいたしました。


ドイツ人と日本人とでは社会性で共通する点が多く、比較的時間に正確で衛生観念は高く勤勉であり規則に忠実…などが挙げられます。

ちなみに国民性まで似ているかと言うと、そうでも無いよって話が多いのでそこは注意が必要です。

そんなドイツが整備した「ドイツの法律ではこどもの声は騒音とされていない」という法律。
日本でも2023年4月に、長野県でおきた公園廃止の騒動を受けて岸田総理が同様の法案の策定を示唆する答弁を行いました。

SNSでは日頃道路族などに悩まされる騒音被害者たちから一斉に悲鳴を挙がり、反対に道路族側である人たちはここでもまた「こどもの声は騒音とされない」という部分だけを見て大喜びしました。

私も最初にこのニュースを目にしたときは非常に驚きました。
が、すぐにこれは「こどもに無制限な無敵カードが出るわけでは無いぞ」と思い直しました。
民主国家ですから。

1年が経って、法制化に向けた動きはまだ何も見えていません。
個人的には法制化されてもされなくても、どっちでも良いと考えていますが法制化された場合、どのような変化が起こるのかを考えてみましょう。

まず、「こどもなら所構わず好きなときに大声を出しても構わない」なんて内容にはなるはずもなく、ドイツの法律を参考にした、場所や時間を限定した条件が付帯されるでしょう。
日本の事なのでドイツよりも事細かに指定が入る可能性もあります。

公園や保育園遊園地学校がその指定に含まれるのはまず間違い無いと見ていいでしょう。
ただその場合、例えば公園に対して騒音被害を訴えている人たちが無力化されるのかと言うと憲法上の疑問も残ります。
つまり一方が得た権利によってもう片方の権利が侵害される事を許容できるのか?という点です。
これはドイツでももしかしたら問題になっているかも知れません。

私がこの法律に期待するのは、「指定された場所・時間以外は騒音って事にもなるからねっ!」ということが明確化される点です。

当然道路や住宅街で「こどもの声は騒音ではない」となるハズはなく、今よりももっと、放置する親御さんたちに厳しい視線が注がれる結果になるかも知れません。
「ここでは騒音なんですけど!?」
ってね。


法制化なんかせずとも、大人がしっかりとこどもたちにTPOを繰り返し繰り返し繰り返し、教えることができればそれに越した事はないです。
でももうソレができない大人が増えすぎて、多分無理なんでしょう。
もう何度か大きめの出来事があれば、立法へ向けて走り出さざるを得なくなるんだと思います。
情けないことです。

日本は、日本人の和をもって尊しとなすの精神で生きてきた、日常生活上の法的な制約が極めて少ない稀有な国の一つでした。
それはもう終わりなのかも知れません。

非常識を省みる事なく自らの主義主張を強弁し続けていると、限界を超えたときにそれを取り締まる法律や条例ができて、自分たちの首を締めるだけです。
◯◯禁止!のルールが増え続けるのは息苦しい世の中だからなのでは無く、どれだけ注意されても止めない阿呆が後を絶たないからです。
いちいち禁止されなきゃわからない阿呆が世の中を息苦しくしているのです。

いずれその時が来ても、自分たちが原因だとは欠片ほども考えないでしょうけれどもね。

国には、モンスターペアレンツの出現以降おかしくなってしまった一部の大人たちを再教育する方に予算を割いていただきたいなあ。


さて、前後篇に渡ってお届けした
「ドイツの法律ではこどもの声は騒音とされていない」は本当か?
いかがだったでしょうか。

「こどもの声は騒音ではない」
この一節だけがひとり歩きして錦の旗を得たつもりになっていた皆さん、ご愁傷さまです。

この一節だけを盾にして小泉進次郎衆議院議員の画像を貼ってる人たちがさぞ滑稽に見えることでしょう。

道路族や騒音の被害に悩まされる皆さんの溜飲が少しでも下がれば幸いです。


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