「ドイツの法律ではこどもの声は騒音とされていない」は本当か?【前篇】
まずはじめに。
原則として、私の考えは昔から変わらず以下のとおりです。
こどもが公園や保育園幼稚園学校施設で(ルールを守って)目一杯遊ぶことには大賛成です。
反面、他者への配慮が求められる環境にて無配慮に騒ぐこどもたちに適切な指導を行わない大人は嫌いです。
殊、日本の狭小な住宅事情と様々なライフワークを無視し騒音・破壊・事故の元となる道路族はダメな大人の象徴的存在であると考えています。
さて。
こどのも大きな声やいわゆる奇声が近所迷惑だとする話題が出ると、決まってそれに反発する声が挙がります。
「こどもがうるさいのは当たり前!」
「あなたがこどもの頃もそうだった!」
「こどもの声がうるさいだなんて日本終わってる!」
「息苦しい世の中!だから少子化が進む!」
そんな声に並んで最近よく耳目にするのが
「ドイツではこどもの声は騒音ではないと法律で定められている!ドイツはこどもに超寛容!それに比べて日本人は!ドイツを見習え!」
ん?
平均以上の知性を持った大人であれば、その一言に疑問を持つはずです。
所構わず大騒ぎをしてもこどもだから仕方が無い、で許してしまえば社会秩序は崩壊してしまいます。
頭がおかしい独裁者の国ならいざ知らず、まともな民主国家で無制限な無敵カードが配られるわけが無い。
ではちゃんと法律の内容と、その生い立ちについて調べて見ましょう。
まず法律の内容ですが、正確に記せば
とあります。
つまりそれらに類しない場所においては「騒音と判断することもありえる」と解釈するのが正解となります。
当たり前ですが病院や図書館、電車バス、一部を除いた飲食店などで騒ごうものなら「親は何を教えとるんじゃアホなんか」となります。
次にこの法律が生まれたきっかけですが、実はドイツのみなさん、こどもに寛容どころか日本と同等以上に不寛容であったことが背景にあるようです。
これでは流石にいかんとなり、こどもの遊び場を国が保証してそこでのびのびと育てましょうよ、という指針を示したわけです。
この法律によってドイツの皆さんは近隣の保育施設や遊戯施設がうるさい!と言えなくなりました。
耐えられない人は残念ながら引っ越すしかないでしょう。
では今住んでいるすぐ近くにそれらの施設が作られる、となったらどうでしょうか。
大反対に遭うのは容易に想像がつきますね。
さすがにこの法律を盾に無理やり造るなんて事もできません。
民主国家ですから。
ドイツも少子化が進んでは進んではいますが外国人出生率は上がっているとの事で未来の人口は読みにくいようです。
新しく施設が必要となると未開のエリアから候補に挙げるしかないでしょう。
ドイツの道路族はどうでしょうか。
もう寛容なわけが無いのはご理解の通りで、一部自治体が許可した道路であれば、決められた時間内(8:00~12:00、14:00~18:00など。週末は全面禁止が多い)に遊ぶことをOKとしている所が存在する程度のようです。
当然多くはなく、許可を出したくても猛烈に反対する人が出てくるのは目に見えています。
道路ではなく用意された公園や遊び場に行きなさい。
ドイツも日本も考え方は同じなのです。
このようにドイツの法律の中身を見てみると、実に常識的な範囲での運用であり、実に規範意識の高いドイツ的なものであることがわかります。
「ドイツを見習え!ドイツは寛容!ドイツLOVE!」だった皆さんはそろそろ読むのが嫌になってきている頃です。
しかし次回はもっと大切なお話です。
同じような法律の整備が日本でも検討されている点を考えていきましょう。
ドイツLOVEな皆さんが想像しているのとは180度異なった「TPOを親がしっかり教えんかい!」と世間の目が今よりも厳しくなる未来が待っているかも知れません。
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