プロデュース101 Season2 ②/ 松本旭平・テコエ勇聖

はじめに

 前回、ラスト21人までに入った人を紹介すると言いましたが、早速撤回。見返せば見返すほどみんなの個性が素敵すぎて、全員を紹介したい衝動が抑えられなくなってしまったので、最終的に40位まで残った人を順に紹介しつつ、私なりの考察を書いていきたいと思います。

 この記事を読んで一人でもプロデュース101やJO1、INIに興味をもってもらえたら嬉しいです。また、この記事をきっかけにデビューできなかった練習生たちの動画などを観て、一人でも多くの人が彼らの応援団になってくだされば幸いです。

40位 松本旭平(まつもと あきひら)

年齢:27歳(練習生最年長)/血液型:A型/身長:182㎝/体重:62㎏/趣味:音楽・舞台鑑賞/特技:殺陣

 モデルや舞台でのお芝居を中心に活動してきた松本旭平くん(通称あっきー)は、端正なルックスと美しい所作に思わず目を奪われる大変魅力的な練習生でした。また、自身が長所として挙げている色気は本物で、美しい低音ボイスと妖艶な指先の動きは本当に艶やかで、目を留めずにはいられない存在でした。本人が度々口にしている通り、今シーズンの練習生の中で「圧倒的最年長」の彼ですが、柔らかい物腰と優しさで、高校生グループに「先生」や「お父さん」といじられながら終始エレガントさとキュートさを纏っていました。

 彼の一番の長所は、やはり参加者最年長の経験に裏打ちされた独特の世界観です。同じ振り付けで踊り、同じ歌を歌っていても、若い子たちとは違う彼なりの思いやメッセージがあふれ出す、大変稀有な存在でした。ルックスはもちろんですが、要所要所で垣間見える彼の感性は本当に魅力だと思います。番組序盤で彼が最初に所属していたWhite Loverというグループのダンス発表及び、あっきーのソロダンスを観たダンストレーナーの仲宗根梨乃さんが、

「あー、泣けてくる。俺、悔しい……。なんか、あなた達はもっと上です。でもあなたたちはレベルが惜しい。でも、素晴らしいものを持ってるからこそ、持ってるものは大切にして、技術をついていって、あなたたち。だからお願い、練習して。もっと練習してヤバくなって。」(原文ママ)

と、涙ながらにコメントしていました。その内に秘めた何かこそが、彼の素晴らしさであり、それを外に発信する身体的な表現力を身に着けることこそが彼の今後の課題だと思います。ただダンスが上手なだけでは出せない、最後まで見つめ続けてしまう何か心に訴えかけてくるものを、彼は確かに持っています。しかし一方で、彼の年齢や経験値がプロデュース101という番組の性質上一番のデメリットであったことは事実です。国民プロデューサーが見たいのは、頑張る青少年たちの成長、そして成功ストーリーでした。その点において、ほぼ完成に近づいている松本君は圧倒的に不利な立場であったことは事実です。穏やかさや物腰の柔らかさが彼の魅力であることは事実ですが、もう少し死に物狂いの姿、若い子たちと迎合するのではなく、あえて彼らを蹴落とす勢いで噛みつくくらいの方が良かったのかもしれないと思ったりしました。

 また、私の予想では彼はバレエや日本舞踊など、古典的な舞踊の経験者で、ジャズやロックなど、近代的なダンスの経験が少ないように見受けられました。また、これも私の想像ですが、彼はあまり運動神経が良い方でもないのでしょう。体幹の筋肉もあまり鍛えられていない印象を受けました。一つ一つのポーズや指先の所作は美しいのに、全体の動きがどうしてもぎこちない印象だったのはとてももったいなかったと思います。今後もアイドル活動や舞台活動を続けていく上で、この部分が非常にもったいないと思うので、もう少しダンスレッスンに時間を割くことを心からお勧めします。もしレッスンを受けるのであれば、彼の美しさを生かせるジャズやコンテンポラリーがお勧めです。表現力に長けた彼のコンテンポラリーダンスはきっと素晴らしいでしょうし、エモーショナルなジャズダンスもきっと彼の魅力をより引き立ててくれると思います。彼は抜群のルックスと声をお持ちなので、そうすることでミュージカルなど、より多くの舞台に挑戦する可能性が開けると信じています。

 また、同番組出演以前にYoutubeに公開された舞台のプロモーション動画もいくつか拝見しましたが、役になりきりコメントする姿は素敵でしたし、役に憑依するタイプの俳優としての彼のポテンシャルを感じる素晴らしいものでした。今後は、いただいた役になりきるだけでなく、どのような存在(舞台人やアイドル)になりたいのか、自ら役作りをし、それを演じることで伸びる人ではないかという印象を受けました。

 偉そうなことを言って恐縮ですが、自分では「もう27歳」と思っていても、世間的には「まだ27歳」だったりします。あなたが年下の練習生に感じていた可能性以上の可能性をあなたに見出しているアラフォー、アラフィフ、それ以上の年齢の人々は私以外にもたくさんいます。ぜひこれからも諦めずに挑戦を続けてください。あなたの美しさと謙虚な姿勢に本当に癒され、温かい気持ちをもらいました。これからも応援しています。

追伸。『姫ビジュアルセンターを探せ!』のコーナーで、誰よりも積極的に美を追求する姿、とても素晴らしかったです。目の前の課題に自分なりに全力を尽くす姿は、他の練習生にはない魅力でした。あなたの姿勢は、デビューを決めたINIのメンバーに負けないくらい、立派なエンターテイナーです。このご時世ですので今はなかなか難しいですが、落ち着いたらあなたの舞台を生で見てみたいと心から願っています。

39位 テコエ勇聖(てこえ ゆうせい)

年齢:23歳/AB型/身長:176㎝/体重:64㎏/趣味:寝る・難しい会話を聞くこと/特技:スタイルHipHop・アクロバット

 テコエくん(通称「てこ」)はお母さまが日本人、お父様がナイジェリア人のミックスで、抜群の身体能力と明るさを持つ太陽のような練習生でした。彼のダンス技術は素晴らしく、最初のレベル分けテストでこそBクラスに配属されますが、その後すぐにAクラスに昇格し、実力を見せつけていました。それもそのはず、彼は有名アーティストのバックダンサーを務めた経験を持つ、立派なプロのダンサーだったのです。プロデュース101参加前は普通の会社員をしていたようですが、夢をあきらめきれずにこの企画に申し込んだということでした。

 彼は番組当初から常に周りの人への気配りを忘れない優しい姿が印象的でした。最初の個別評価に向けたパフォーマンスでは、有名なバックダンサーとして活躍しているメンバーへの対抗心や悔しさを滲ませると同時に、ダンス経験の浅いメンバーを絶対に引き上げると決めたのにそれが出来なかったと涙を見せる場面がありました。グループバトルではリーダーを務め、なかなかまとまらないグループに対して、メンバーを責めるのではなく、自分自身の力不足を嘆く姿は、彼の人柄を良く表していたのではないかと思います。

 合宿スタート時の自己PR動画では全力でサンシャイン池崎さんのモノマネをし、ポジションバトルでSEVENTEENの『舞い落ちる花びら』のダンスを披露した際は「ひまわり担当、テコエ勇聖です」と名乗るなど、常に明るく、周りの人を楽しませようとする彼は本当にいいヤツなんだと感じさせてくれました。しかし、この番組はいい人間を発掘する番組ではありません。もともとダンスの上手な彼でしたが、番組が回を重ねる毎にそれ以外の面で伸び悩む姿を目にすることが多くなり、それに伴って順位がジリジリと下がっていく様は観ていてとても辛いものがありました。

 正直、彼はもっと評価されるべき能力を持っていると思うし、デビューできなかったとしてももっと上位に食い込むのではないかと考えていたので、39位というこの結果には、本人はもちろんでしょうが、私も納得いっていません。ダンスのテクニックはもちろん、表情も豊かで、パフォーマーとしてのポテンシャルの高さは本当に素晴らしいものがありました。ただ、この一週間何度も番組を観返していると、彼の印象は「ダンスが上手で面白いイイヤツ」であり、アイドルではないのです。

 私の勝手な印象ですが、アイドルとはキラキラ輝くだけの存在ではなく、その背中越しに見える苦悩や挫折など、様々な感情や景色を歌やダンスに乗せて観客に届けることができるからこそ、ファンの心に強く訴えかけることができるのだど思います。アイドルたちの歌やパフォーマンスに涙を流したり、日々の疲れやストレスを洗い流してしまえるほどの幸福を感じることができるのは、どんなにつらくても輝き続ける彼らの姿に勇気をもらえるからなのでしょう。

 面白くてダンスが上手いイイヤツ。きっとそれがテコエ君が社会の中で前向きに生き抜いていく上で作り上げたキャラクターなのだと思います。それは決して間違ったことではないし、太陽やひまわりのような彼が私は大好きです。けれど、誰かの傷を手当したり、覆い隠したりする優しさだけでなく、時にはその傷口に手を突っ込んで白日の下に晒し、その傷ごと全部受け入れ、一緒に歩いていこうぜと笑ってくれるような、そんな残酷な優しさを身に着けることができると、彼はより魅力的な存在になれるのではないかと思います。

 今後もテコエ君がアイドルを目指し続ける限り心から応援しています。また、彼ほど優しく、思いやりのある人間であれば、その他のどんな分野でもきっと周囲から愛される存在になれるでしょう。いつかまた彼のパフォーマンスを目にする日を楽しみにしています。

おわりに

 今回は40位と39位の二人を紹介しました。この二人はすごく対照的な存在でした。自分の中でえ表現したいもの、誰かに伝えたいものがほぼ明確になっているのに身体的な能力や技術がまだ追いついていない旭平くんと、確かな技術を持ちながら、具体的に表現したいものがまだ見つかっていない(厳しい言い方をすると、本当はあるはずなのにそこから目を反らし、面白くてイイヤツキャラに徹している)テコエくん。それぞれ合宿中に自分に足りない何かに向き合い、それを克服する姿を示すことができていればと、とても悔しくて仕方ありません。

 今後、それぞれが俳優業、ダンサー業に徹していくのか、それともまったく別の形でアイドルとしてデビューするのかはわかりませんが、彼らの活躍を心から願っています。

 吉本興業様、彼らは逸材です。決してお見逃しのないよう心よりお願い申し上げます。

 次回は38位、37位の練習生をご紹介します。

 このペースで行くと半年くらいかかりそうな気がしないでもありませんが、プデュロスで苦しむ国プや、国プにではなかったけど後追いで同番組にハマってしまった方々の暇つぶしくらいにはなれればと思います。

ではまた。

おまけ

 誕生日に自分への誕生日プレゼントとしてINIのファンクラブに入会してしまいました。INIがデビューするその日まで、プデュ熱を燃やし続けることを改めてここに誓います。

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