小山祐介(コヤ)

#どんな生き方もあっていい 便器アートやリアルドラえもんなど #ユーモア と #エン…

小山祐介(コヤ)

#どんな生き方もあっていい 便器アートやリアルドラえもんなど #ユーモア と #エンタメ を大切に活動中。小説執筆やギター・マンドリンの経験あり、#余白 と #無駄 を愛する #便器男子 です。#フリー素材 なので気軽にお楽しみくださいませ♪

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雨に打たれて

 最寄駅の改札口を出て外を見ると、赤や水玉、様々な色と模様の傘が人々の手から咲きほこり、街並を彩っている。電車に乗っているときにはまだ降っていなかった雨がしとりと降り出していた。  テレビの天気予報で午後から雨が降ることは知っていた。現に私もちゃんと傘を持っている。ただ私のは、無色透明で何の特徴もない安物のビニール傘だ。  まるで、今の私みたい。  持っていた傘を見つめながらやさぐれていると、よく見るテレビCMがふと頭に浮かんだ。雨の中、傘も差さずに一人黙々と歩く女子高

    • あなたへ~大貫妙子「春の手紙」より~

       春を想い、いまを、生きています。  最後に虹を見たのはいつですか?  もし、今日のような透き通る青空に虹を見つけられたのなら、どんなに綺麗なことでしょう。  手紙をしたためながら、そんなことを思ったりします。  あなたと出会ってから、ただただ移ろいゆく季節がとても色鮮やかになりました。  春の木漏れ日、夏のざわめき、秋の彩り、冬の静けさ。  巡りゆく季節は感情と表情を映し出し、私はただただ美しさに息を飲んで見つめるばかりでした。  何も根ざしていなかった私の心

      • 余韻

         私は幼い頃から楽器が好きだった。  両親がデパートのオモチャ売場に私を連れていくと、トテトテ歩いていって他の子供を押しのけてはオモチャの楽器で遊んでいたそうだ。  そんな私の姿を見て、三歳の誕生日にピンク色のオモチャピアノを両親はプレゼントしてくれた。ラメ加工でキラキラ光るピアノを手に入れて、私は毎日嬉しそうに弾き続けていたらしい。今でも懐かしんで私に話してくれる。  物心ついたときには、私はピアノ教室に通っていた。家でも練習できるように両親は高価なピアノも買ってくれ

        • 靴ひも~東日本大震災に寄せて~

          「孝之様、孝之様。診察室へお入りください」 少しホコリをかぶり、古ぼけた様子の黒いスピーカーから音が放たれ、こじんまりした受付ロビーにホワンと響く。全部で6席の椅子から、三十代前半の細身な男性が立ちあがった。抱え込んでいた灰色の小さめなリュックと茶色の薄いダウンジャケットを持ち直し、診察室の扉に近づいていく。診察室のドアはノブを右横に軽く押せば開く仕組みになっている。男性は慣れた感じで2回ドアをノックし、診察室のドアを開けて中に入っていった。 「失礼します」 小田孝之は

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