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御船印について考える

まず御船印というものについてです。

御船印とは
-御船印は寺社仏閣でもらえる「御朱印」の船バージョンのことで、全国各地の船会社や海洋博物館が独自の印を発行しています。

一般社団法人日本旅客船協会公認プロジェクト公式HP

全国の船会社や海洋博物館が参加していて、それぞれに工夫を凝らした御船印を発行しています。
131社の参加があるほか、参加会社が集中するエリアでは、地域印もあるそうです。
価格は300円から500円ほどで、船上や受付、売店などで購入することができます。

御船印プロジェクトの目的について、公式HPにはいい感じの文言が見つけられなかったのですが、参加会社の一つである佐渡汽船HPによると

旅行需要における旅客船・観光船業界の利用促進、発着地の経済活性化を目的とした、日本全国をめぐって集める船の御朱印です。

佐渡汽船株式会社公式HP

御船印収集という付加価値によって、更に多くの人を船や船の発着場に呼び込もう!というものでしょう。


私は普段、海鳥を見るために船に乗ることが多く、そのついでに、この御船印の収集をちょっとした趣味にしています。

全国の色々な船に乗った記念や、限定の御船印を狙ってみたりしつつ、楽しく御船印を集めていたのですが…、最近ちょっとしたトラブルにあいました…。
その時のポストが以下のもの。

御船印には日付欄があって、これまでに集めた御船印では、販売してくれた方がその場で日付を記入してくれていました。
私は御船印というものを、その日にその船に乗った記念として買っているので、日付を記入してほしかったのです。
その日付欄が空欄で渡されたので、上記のようなやりとりに至ったというわけです…。

行きに乗ったボレアース宗谷、帰りに乗ったアマポーラ宗谷の御船印
ボレアースは自分で日付を記入したが、なんだかなあ。そして令和何年なのかパッと思い出せず空欄。

その場で問答してもどうしようもないし、船会社によって対応に差があることも気になったし、同じような思いをしてる人もいるのでは?と考えたので、その日のうちに御船印プロジェクト公式に問い合わせを送りました。
(なんだか自分がクレーマーになったような、ちょっと切ない気持ちになりつつ…)

プロジェクト公式からはとても丁寧な返事を頂きました。
公式さん曰く、御船印の販売に関する人員や体制は会社によって異なるため、日付欄の記入対応方法は会社によって違うらしいです。
ただ、ハートランドフェリーに対しては、今回の件の事実確認をしてくれるということになりました。

その結果ー
上記のようなやりとりがあったのは事実
日付の記入は、人員不足のためできない
今後は購入者が自身で日付を記入できるよう、ペンの設置や案内をする予定
…とのことでした。


今回のことをうけて、御船印販売について、自分の意見を書きとめておきたいと思います。

御船印販売場所での対応について

人手不足、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないですが、人対人の販売である以上、言葉選びには気をつけたいところだ。
必要以上に愛想をよくする必要はないけれど、旅の思い出をウキウキして買っているところに、「カラーコピーしたものを売っているだけ、好きな日付を書いてくれ」という言い方はちょっとひどいのではないだろうか…。
300円から500円くらいのお金を出して購入し、旅の思い出になり、微力ながら船会社への応援にもなるもの…。お互いに気持ちよくいられるよう、心がけたいものですね。

人手不足

船に乗っていると、旅客船利用客の減少、旅客船会社の人手不足や経営難なんかの話は何となく耳に入ってきます。
ちょこっと調べてみたところ、以下の記事を見つけました。

TSRの企業データベース(390万社)から3期連続で業績が比較可能な95社の「旅客船事業者」(沿海旅客海運業、港湾旅客海運業)を抽出した。95社の2021年の売上高合計は1,237億7,800万円で、コロナ前の2019年と比べ約2割減(19.7%減)と大幅に落ち込んだ。また、当期純利益合計は2019年の26億900万円の黒字から、2021年は101億5,600万円の赤字に転落した。
 旅客船事業95社をみると、売上高5億円未満が約7割(構成比69.4%)、資本金1億円未満が8割(同80.0%)、従業員50人未満が7割(同70.5%)を占めるなど、小・零細規模の事業者が多い。
 コロナ禍で外出自粛や旅行の手控え、インバウンド需要の消失などで売上不振は深刻さを増している。一方で、船舶などの設備維持や更新、安全対策の強化などへの投資が負担になり、経営体力が落ち込む事業者が少なくない。

「全国の旅客船事業者95社  約7割の事業者が赤字、安全対策費用に課題」
株式会社東京商工リサーチ データインサイト 2022年5月23日

少し前の記事なので、新型コロナウイルス流行による影響の傾向は当時とは変わってきているかもしれませんが、小規模な事業者が多いところに、船舶の維持管理にかかる費用、売り上げの落ち込みなど、難しい経営状況がうかがえます。
ここで一つ思ったことは、(特に離島航路について)船は地域の足であることを忘れず、観光客が度を超えてワガママになってはいけないという前提をしっかりと持った上で、御船印というものが、客が船に興味を持つきっかけになるような、人手不足や経営状況を改善していく一端を担えるような、そういうツールの一つとなることを諦めたくないということ。
人手不足に悩む会社にとって、御船印が大きな負担となるような事態は避けるべきでしょう。船会社の負担にならない程度に、お互いに楽しいものとして続いていってほしいと願います。一朝一夕では難しいことは分かっていつつも、個性豊かな各地の船が存続していくための助けの一つとして、御船印が活躍していくといいですね。

日付欄の必要性

めちゃくちゃ個人的な意見としては、私は旅の思い出として、御船印に日付がほしいんです。それも自分で書くのではなく、巫女さんに御朱印を授けてもらうように、船会社の施設の関係者に日付を授けてもらいたいなと思ってしまいます。
ただ、日付の記入という作業が、拒否するほどの重荷になるものなら、もはや日付欄は最初からない方がいいのでは…。それか、日付を書ける会社のみ日付欄を設けるとか…。
現状で現実的な方法としては、今回のハートランドフェリーの対応のように、購入者が日付を記入できるペンの設置というのが、船会社と購入者双方によい方法なのかな、と思いました。

御船印プロジェクト公式ページに、「日付の記入は基本的に購入者自身で行う。書いてもらえたらラッキー!」くらいに書いてあれば、購入側も受け入れやすいかも。まあ、日付の記入をここまで気にしている人間は自分だけなのかもしれないが…。

以上、御船印について個人的に思ったことでした。

御船印は利用が減っている旅客船を盛り上げるために立ち上げられたプロジェクトです。
船員さんや施設の関係者と観光客、互いに気持ちのいいサービスであってほしいですね!

9/13〜10/31の投票期間で、御船印総選挙が行われるみたい。
みんなの好きな御船印はどれなのか!とても気になるところ。ぜひチェックしてみて下さい🙌

ちなみに私は、利用回数が一番多くて思い入れもあり、生き物を入れたデザインがめちゃくちゃ好きな、第65番社シルバーフェリーに投票しようかな。特に、シルバーエイトの御船印にはミナミオナガミズナギドリ?らしき鳥が描かれていて、海鳥好きとしては見逃せないのだ。

シルバープリンセスとシルバーエイトの御船印
自然をモチーフにした一際目を引くデザイン。

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