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自戒

よく考えたら、恋慕だの思慕だの、敬愛だのが絡まない理由で始めたことって合唱しかないな、と思った。

小学校の吹奏楽でラッパをやったのは小1のときに縦割りのペアだった6年生がやっていて、それでやりたいと思っていたから。
楽器を落としてしまって一度こっぴどく怒られた。流れが最悪だったし。(マウスピースを落とす→拾おうとして蹴ってしまう→楽器も落としちゃう)
あのときのことは忘れない、とは思うが、まあ思い出さないと頭に浮かばない。私は嫌なことは封じ込めておく主義だから。
正直小学校の記憶も、中学校の記憶もほとんどない。小学校はまだわかるにしても、中学の記憶をほとんど消し去っていると成人式で目の当たりにしたときは本当に驚いた。小学校時代からの友人の名前は割と出てくるが、中学でクラスが一年被っていた程度だと怪しかった。

大学で始めた演劇も、似たような理由だ。先輩の近くにいたかった。先輩が楽しそうだったから入った。本質的なところはそれだけだったんだろう。
勿論、昔、それこそ小学2年生のときに当時の担任に音読を褒められてから、感情をこめて何かを読むことはずっと好きだったし、高校の時も走るなんて聞いていなければ演劇部に入っていたかもしれない。
でも大学での動機は似て非なるものだ。……多分。

企画公演にいたのだって、そうだ。細かい話はしないけど、好きだった人がいたから。そういう話をしていたから、その人を裏切るわけにはいかないなあ、なんて思って参加していた。けど、春休みを経て、会わなくなって、それで恋心も、演劇への気持ちも薄れてしまって。逆に手放してしまった合唱への執念が強くなって。高校の同期の傍にいたくて。

多分今、合唱を始めたとしても、きっとその理由は恋慕だ。どうしようもない執着だ。傍にいたいという、ただの我儘だ。手の届くところに行きたいって、どうしようもなく思ってしまうから。

歌うことは好きだ。

演じることも、別に嫌いではない。

でも、多分、今私は、ずっと「私」を演じている。ずっと、ずっと。
だから、いや其れだけで済ませてはいけないが、疲れてしまった……ということにしておきたい。

将来への不安が、私を追い立てている。
今への不安も。

忙しい大学生活も、始まってしまうインターンシップも、教育実習も、あんまり入れないバイトのシフトも、全部が私を追い詰めて、追い込んでいるんだと思う。だから、とりあえず一つだけ。


もう、執着だけで未来の道を選ぶのはやめよう?


……大学院進学も、理由の三分の一は思慕だって聞いたらみんなどう思うのかな。

思慕が三分の一、モラトリアムの延長が三分の二。
もっと、ゆっくり、一緒にばかな話をして、笑っていられる時間が欲しいって聞いたら、君はなんていうんだろうね。敬愛する君は。

愛はね、つながりを保てないと続かないの。私はね。



私の演劇愛が冷めないように、繋ぎとめておいてね、なんて、無茶なお願いかな。ごめんね。幹部にもなったのに。

あのとき、無理にでも、会計を押し付けてでも副部長になっておけばよかったって、ずっと思ってるよ。

こんなこと言ってもどうにもならないのにね。


いざなったクローバー
この場所を選んで 輝くステージに立っている
共に行くあなたの手 掴んだその手が
痛くないようにと願っているから

いよわ『ももいろの鍵』

ずっと、この曲が、私みたいだなっておもってる。
今は分かれ道をずっと見つめて、前を向けていないけれど。

煌めくライトも、落ちる影も、全て愛していられるように。

もうちょっとだけ、……多分あと半年、休憩させてね。


それでも駄目だったら、私はおとなしく降りるよ。舞台の上で輝けない役者は必要ないからね。
そうしたほうが、きっとみんなしあわせだから。

じゃあね。

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