なでとは(その4)
「なでとは、波である」
はじめに
なでとはシリーズの記事もこれで終わりになります。前回は「なでとは、三次元空間内の手の移動のこと」と説明しました。
三次元空間内の手の移動にはスピード感の要素もあります。なでているときに相手に与えるスピード感をどのようにすればよいのか。今回は3つのお話をするので、前編中編後編に分けました。
単語リスト
・スピード感:撫でられている相手の感じる感覚的な速さ
・速さ:2点間を移動するのにかかる時間
・周波数:単位時間当たりに繰り返された周期数
・加速度:単位時間当たりの速度の変化率
前編 速さ(m/s)
きはじ 距離=速さ×時間
冗談はさておき、「距離・速さ・時間」となでのスピード感について解説していきます。
なでとは(その1)において「なでとは、二点間の手の移動のこと」としました。
この2点間の距離が上の図の「距離」、2点間を移動するのにかかる時間が上の表の「時間」、距離を時間で割ったものが上の表の「速さ」になります。
速さの考え方の活用
なで初心者は動きが速いと言われて、手を動かす速さをゆっくりにするところからなでスキル上達を始めていくと思います。
上の表から考えるとなでの速さをゆっくりにする方法は二つあり、
・時間はそのままに2点間の距離を延ばす
・距離はそのままに2点間を移動するのにかかる時間を延ばす
となります。
中編 周波数(Hz)
波 波長=速さ×周期
なでとは(その1)において「なでとは、二点間の手の移動のこと」とし、繰り返しなでることが重要であると説明しました。
2点間の繰り返しの移動には波(振動)の考え方が使えます。
そこで、波の考え方から以下の四点を持ってきます。
・波長(m)
・速さ(m/s)
・周期(s)
・周波数(Hz)
このうち、波長・速さ・周期は前編で説明した「きはじ」と全く同じです。重要なのはスピード感に関する新たな考え方「周波数」という考え方を持つことです。
周波数は「単位時間当たりに繰り返された周期数」という考え方です。
この書き方は定義的で分かりにくいので分かりやすく言い換えると
「1分間で、手が何回2点間を移動したかの回数」です。
前編の速さと比較すると
速さは「単位時間当たりの移動距離」
周波数は「単位時間当たりに繰り返された周期数」
どちらも単位時間あたりにどれだけの量の変化があったかを示していてスピード感に関わる要素ということが分かります。
周波数の考え方の活用
周波数を一定にすると、速さを変えても相手に与えるスピード感の変化を抑えることができます。
速さが一定のまま、なでる距離が延びると周波数は下がってしまうので、この場合は速さを上げます。こうすることで速さは変わりますが距離を変えても周波数を維持したまま撫で続けることができます。そうすると相手の感じるスピード感の変化を軽減することができます。
ただし、上げることができる速さにも限界があるので、速さを上げることができなければ周波数を少し落としてなでることになります。
周波数の別の説明ーBPM
補足として別の側面からも説明します。音楽の考え方から「BPM(テンポ)」という考え方を導入します。BPMとは「1分間に打つ拍数」のことです。
メトロノームの動きだと、BPMを上げたとき距離は一定なので速さが大きくなり時間は短くなりますね。
この場合、「周波数」「速さ」のスピード感にかかわる要素が二つとも変化しているので、相手に伝わるスピード感が大きく変わってしまいます。実際に下の動画を見ていただくと距離が一定のまま周波数を上げると速さも上がってしまい、スピード感が大幅に変わるのがお分かりいただけるでしょうか。
パソコンで見ている方はこんな感じに大小に動画を配置して画面に手をかざし、それぞれのメトロノームに合わせて手を揺らしてみてください。小さいメトロノームに合わせた時と、大きなメトロノームに合わせたときは手の動く速さが違うのにスピード感が似ていることが実感できると思います。
後編 加速度(m/s²)
スピード感に関わる要素には加速度(m/s²)もあります。
一番わかりにくいので定義の話は後回しにして、実例から入ります。
例えば、始点と中間の間は同じ速さで撫でて、中間から終点の間で速さを上げるなで方をします。
こういうなで方をしたとき、加速度の考え方で分析すると
「始点と中間の間は加速度が一定。中間と終点の間は加速度がプラスである」といえます。
加速度は「単位時間当たりの速さの変化率」です。
速さは「単位時間当たりの移動距離」
周波数は「単位時間当たりに繰り返された周期数」
です。どれも単位時間あたりにどれだけの量の変化があったかということだからスピード感につながるってことですね!
加速度の考え方の活用
加速度の活用は簡単です。
加速度は直感的な三つの要素しかありません。
「加速・プラス」「減速・マイナス」「中立・プラマイゼロ」
です。
具体的な活用法は難しいかもしれませんが、「ここは速さを維持したまま」「ここまではゆっくりなでてここで加速させる」といった感じに考えてもらえるとよいと思います。
ポンポンと叩くのとグーッと押す動きの違いもこの加速度の違いから来ているので、意識すると綺麗にできると思います。
なで初心者は距離が短く、動きが速く、時間が短く、周波数が高い傾向にあります。なので、
・手を動かす距離をなるべく長くとる
・ゆっくり(じっくり)なでる
を意識すると相手に与えるスピード感は自然と落ち着いたものになります。もっと細かく突き詰めたくなった時に本noteの考え方を思い出して下さい。
まとめ
・なでのスピード感を決めるのは「速さ」「周波数」「加速度」
あとがき
難しい話してきたと思ったんですが、まとめが一行になっちゃってびっくりしました(笑)
本noteは「なでとは波である」としました。中編の内容を理解すれば、なでの難しい概念について十分理解できると思っているためです。
ぶいちゃ民こういう話学校で習ったの普通に覚えている人が多そうなので、書くのに結構プレッシャーがかかりました。
「波の考え方で振幅を入れて無いのはなんで!?」の回答は「振幅って強さだからなでにはそういうパラメータ無いよね?」です。有識者様間違ってたらご指摘ください。
これにて、なでとはシリーズのnoteもおしまいです。今後はハウツー系の記事を作っていく予定です。
お知らせ
最後まで読んでくださりありがとうございます。Sea takeより一つお知らせがございます。
なでなでの技術の相談ができるイベントの企画を進めております。ワールド作成・ポスター作成・キャスト募集などまだまだ作業中ですが、人になでを教えることがどんなものか、どれくらい上達の手伝いになるのか調べたいため、クローズドアルファテストとして数名体験参加者の募集をします。お時間や回数は参加者さんと相談しながら進めます。
これまでのnoteに関する話で聞きたいこととか、noteに関係ない話(感度とかなでのトレーニング方法)でも聞きたいことがある方がいらっしゃればSea takeのDMかリプライ欄でご連絡ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?