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新しいまちに引っ越した

人生で初めて一人暮らしをスタートさせたのは大学進学の時でした。
その時は合格した大学に行けるだけで充分で、住む場所にこだわりはありませんでした。住む場所を自由に選べるほど広いまちではないし、公共交通機関が少ないこともありました。5年間過ごした家は周囲にスーパー、ドラッグストア、居酒屋、ペットショップ、お菓子屋さん、コンビニがあって、アパートの駐車場の空きさえあれば生活には何一つ困りませんでした。

そして3日前、新しいまちに引っ越してきました。
会社から電車で20分のところにあるまちです。家は兄が紹介してくれた不動産でとんとん拍子で決まりました。住みたいまち、というより、住みたい家、からスタートしました。2人で暮らせる広さ、カウンターキッチン、スーパーまでの近さ。とってもちょうどいい家が見つかり、内見もせず外観も見ず即決しました。

引っ越すまでの間、Googleearthで検索して歩いてみたり、Instagramでまちの名前を入れて良い雰囲気の居酒屋がないか探してみたり、とにかくいろんな人にまちの名前を言ってみて、「知ってる!!!!」という言葉を待ってみたりしました。写真家かつおさんの「ふるさとの手帖」からまちの写真を見つけ出したときはかなりワクワクしました。

引越し当日は、車で新居まで向かいました。
初めて一人暮らしをしたときもそうでしたが、「この辺かな~」「あの家じゃん!」って思ったときは大抵外れています。そして1か月くらい経つと、あああの頃、この家と勘違いしてたなとか、この道通るとき車の外わくわくして眺めてたけど絶対見えんのよな、と思うんです。

新しい家は商店街の中にありました。
やっぱり車の外から眺めていた場所とは全く違う場所でした。
果物専門の八百屋さん、お肉屋さん、靴下屋さん、電気屋さん、お好み焼き屋さん、整骨院、昔ながらの小さな個人商店が並んでいます。一番うれしかったのはお花屋さんがあることでした。私が住むまちには、すでにもう誰かが住んでいて、当たり前の暮らしがおこなわれていました。大きな引っ越し業者が商店街の中を走っていることが、商店街のひとにとっては当たり前じゃないようでした。不思議と、よそ者感はありませんでした。自分が自分のことをこのまちのひととしっかり思えたら、もう商店街の一角にすむひとになれそうだと思いました。

引越し初日、ドライヤーを忘れていたことに気づきました。
思っていたよりも6か月くらい早く、商店街の電気屋さんを訪れることになりました。ドライヤーをゲットして、ついでに名刺ももらいました。電気のことで困ったらいつでもおいで、と言われて、もしここの商店街を守る会があるのなら入会したいくらいには好きになりました。

今回の引っ越しは、5年も10年も住み続けることは考えていません。
早ければ2年で引っ越すかも、という話もあります。
大学は大学生活のうち、とリミットが決められていますが、社会人になった今、自分の意志でタイミングだって場所だって決めれてしまいます。
その時がきたら、自分にとって寂しいなと思えるまちになりそうです。
しいていえば、ポイントカードがあって毎月1日はポイント二倍デーになるパン屋さんがあれば最高です。

このまちで暮らしができることが今はとてもとても楽しみです。



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