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アーカイブ01:長い潜水の果てに。

(2022年8月27日 02:19)

完璧に作り上げた自分だけの思考の海にひとり漂うのは、
孤独からくる恐怖さえもが心地がよい。

仄暗い海底にぼんやりと浮きあがる貝を触ろうと人魚のようにすいすいと深く潜っていっても、深海は人肌に生暖かい。
深い深い海底のはずなのに、海面から差し込む光さえもが見える。
見たいものはなんでも作れる、私だけの魔法の海だからだ。

光が見えるから、すぐにあがろうと思えば、あがれるところにいるのだと思いこんでいた。


冷酷なまでに冷たい潮が、突如体を突き刺す。
私だけの、私がつくった海のはずなのに、海が私に逆らうなんて。

空からゆらゆら降ってくるタイタニック号、
私だけの完璧な海なのだから、悲劇はいらないのに。
しばらくして、ジャックも舞い落ちてきた。
まだ息をしているかのような美しい顔に見とれる。

無意識の私が、海の外の世界を時折見せてくる。
寒流が私を地上へと押しやる。
私はまだここにいたいのに、思考の海が私に牙を剥く。

ここにはずっといれないことは薄々わかってる。
人魚姫の物語では人魚は人間になったけれど、
人間が人魚になれる物語は聴いたことがないからね。

▼20240707追記
ここで筆を投げたっぽい。
(タイトルには「長い潜水の”果てに”」とあるから)
きっと何かを書こうとしたんだろうけど、
続きを書く必要が無くなったんだろうね。


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