マガジンのカバー画像

心歌集

17
お一人お一人に向けた 心の手紙から始まった創詩集です。伝えきれずに残っているものも、伝えきったままのものも、伝えたくて新しく生まれてくるものも、心歌として吐き出しています。メロデ…
運営しているクリエイター

#エッセイ

ウミユリ -心歌-

重く 冷たく 心の奥深く 何も見えない 誰も気づかない 光の届かぬ 暗黒の世界 無数に咲き誇る ウミユリの花 ゆるり ゆらりと 餌を求めて 闇底を這い歩く 花びらと思っていたそれは あなたを陥れるための 触手 好きでいてくれないのなら そんな腕 切り落として差し上げるわ あなたに傷つけられた心なんて いとも簡単に再生するの あなたが何を言おうとも あなたがどんな顔をしようとも あなたが離れ去っていこうとも 枯れ切った岩肌に 必死にしがみつきながら 幾度とな

壊れゆく音 ‐心歌‐

愛する者を 殺されかけた時 大切な物を 壊されかけた時 なぜわたしは 愛する大切な方を 自ら壊そうとしてしまうのかしら 崩れてしまうほどに だれかを憎んだことなんて 今まで生きてきて 一度もなかったから どう怒りを表して良いのか 本当に 本当に わからなかったの * 「本当に申し訳ございませんでした」 スーツを着た偉そうなオジサン達 申し訳なさそうに涙を浮かべるオバサン達 若い親に向かって 馬鹿みたいに 何度も何度も頭を下げている そんな大事になる

ツマラナイ

たいくつに笑い たいくつに焦り たいくつに泣かされ たいくつに弄ばれて 殺される この世で 恐れているものの一つ たいくつ 晴れた日曜日 陽が往復し始めたころ 左手で頬杖をつき 右手で髪をかき上げる 長い髪を 指に絡ませながら 毛先の終着点まで ゆらりと腕を伸ばしていく まるで砂のようにサラサラと 時の中でこぼれ落ち始める 何度もすくい上げ 何度も絡ませては 指の間を滑り落としていく あぁ、ひま こうでもしていないと 心が潰されそうになる 何をすることも

私は男が、嫌いだ -心歌-

私は男が、嫌いだ なぜなら自分が男じゃないから なぜ男じゃなかったのか 二分の一の確率で どうして男になれなかったのか もし男であったらの人生を たびたび考える 生まれ変わったら 男になりたいって言うのは そういう理由 ねぇ なんで そんなダサいことすんの? なんで そんな考え無しに言うの? なんで そんなカッコ悪いの? やる気がないなら 男やめればいいのに ねぇ 誰があなたに 責任とって欲しいって言った? 誰があなたに 期待してるって言った? 誰