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重く 冷たく 心の奥深く 何も見えない 誰も気づかない 光の届かぬ 暗黒の世界 無数に咲き誇る ウミユリの花 ゆるり ゆらりと 餌を求めて 闇底を這い歩く 花びらと思っていたそれは あなたを陥れるための 触手 好きでいてくれないのなら そんな腕 切り落として差し上げるわ あなたに傷つけられた心なんて いとも簡単に再生するの あなたが何を言おうとも あなたがどんな顔をしようとも あなたが離れ去っていこうとも 枯れ切った岩肌に 必死にしがみつきながら 幾度とな
太陽に嫌われたわけじゃない やりたいことが見つからない みんなが私を気にしている 視線が暑くて苦しくなる 人目を避けるくらいなら トビラなんていらないわ あぁ、大人になりたくない 理不尽な世の中? あぁ、大人になれない 不公平な現代社会? そんなのわからない 未だ 弱虫だから 真空が嫌いなわけじゃない 決められた夢さえ見失う みんなが私を気にかける 琴線に触れて痛くなる 本音を避けるくらいなら 正解なんていらないわ あぁ、蝶になりたくない 飛び立てない世の中
やはり、「気にしい」なのです 何気なくもれ落ちた言の葉 感情の全て 丸ごと吸収し 噛み砕いて 味わう 「どうしてその言葉を届けたの」 タイミングを逃し 時効となった思いが 眼に見える言の葉であふれかえる 想いが形となり 現実で可視化される 独特な記憶の復元が 自分と向き合う唯一の手段 自分を通して見えている 光り輝く感情世界を 日本語という美しい言の葉で 包み込んで放り投げて遊んでみる それが表現 わたしの見えている世界を 本物の想いで、本当の表現で 誰に気
鏡よ、鏡 忘れさせてほしいの 少年心を 鏡よ、鏡 置いてきてほしいの 悪戯心を 鏡よ、鏡 放り投げてほしいの 恋し心を 鏡よ、鏡 奪ってほしいの 処女心を 鏡よ、鏡 焼き尽くしてほしいの 穢れ心を 鏡よ、鏡 オトナになる前までに 葬り去らなきゃいけないの 燻り続ける 惹起心を 「紫鏡 〜しきょう〜」 〜END
「鈴々鈴々」 秋の夜長に月名残り 「凜々凜々」 重なり合う無数の影々 「轔々轔々」 僕は わたしは 此処に居るよ 「倫理倫理」 か細い声など 誰の耳にも届きやしない 「鈴々鈴々」 あぁ、騒々しいと 人を掻き分け 心を書き分け 目を凝らした ようやくその先に あなたを見つけることが できるのでしょう 「鈴々鈴々」 〜END
吸い込まれるように咲いた 失せざる花よ 晴れでも雨でもない暁降ち なんて不恰好で不細工な 花びらなのでしょうか 緋色でも茜でもない朱殷 なぜ徒恋を繰り返す 必要があったのでしょうか まるで艶やかに残るための選択が 存在しえないというように でもこれが 時分の花 どうぞ、微笑みかけて 紺青の寒空に舞い散る 山茶花の花よ 快でも不快でもない空っ風 なんと人のために生きる困難が 幸せなのでしょうか 純白でも潔白でもない真白 なぜ徒花で終わらせる 必要があった
雨降らせグセ 治っていなかったのね 雨降らせグセ 瞳から零せばいいものを 雨降らせグセ 雲に想い隠して黙らせる 雨降らせグセ 傘を差しても無駄だから 雨降らせグセ 濡れた黒髪を見せないで 雨降らせグセ あなたのせいなんて ごめん嘘 「私雨癖」 〜END
愛する者を 殺されかけた時 大切な物を 壊されかけた時 なぜわたしは 愛する大切な方を 自ら壊そうとしてしまうのかしら 崩れてしまうほどに だれかを憎んだことなんて 今まで生きてきて 一度もなかったから どう怒りを表して良いのか 本当に 本当に わからなかったの * 「本当に申し訳ございませんでした」 スーツを着た偉そうなオジサン達 申し訳なさそうに涙を浮かべるオバサン達 若い親に向かって 馬鹿みたいに 何度も何度も頭を下げている そんな大事になる
紫紺の 海の彼方へ 産まれた記憶を置き土産 檸檬色の 時の彼方へ 無邪気な笑顔を置き土産 青藍の 星の彼方へ 親愛の情を置き土産 煌めいた一等星は 失った輝きと共に 遥か彼方さえも捨ててしまうの 見えなくなっても そばに居るわ 流れ堕ちた林から 見守っているわ それだけでは 永遠の約束にはならないけれど 命果てるまで 待ちつづけるから 勇者に 赦される日が いずれやって来ることを 「彼方への置き土産」 >>> こちらの作品は、お一人お一人に向けた心の
天から舞い降りてきた ふたつの青玉 無我夢中で両手を伸ばし 手のひらを大きく広げて 落とさぬように壊さぬように そうっと手におさめた まだ輝きを知らない原石を お預かりいたしました 再び両手を広げてお返しするときには どうかどうか まばゆいくらいに 自由に光り輝いてほしいと 願うだけ そう願うだけ * しんどい身体と心の重さ 激しい運動をした後のような 心地よい疲れにも似た気だるさ 真夜中の病棟 非常灯の明かりの元 長く続いていく薄暗い廊下 困惑した想い
たいくつに笑い たいくつに焦り たいくつに泣かされ たいくつに弄ばれて 殺される この世で 恐れているものの一つ たいくつ 晴れた日曜日 陽が往復し始めたころ 左手で頬杖をつき 右手で髪をかき上げる 長い髪を 指に絡ませながら 毛先の終着点まで ゆらりと腕を伸ばしていく まるで砂のようにサラサラと 時の中でこぼれ落ち始める 何度もすくい上げ 何度も絡ませては 指の間を滑り落としていく あぁ、ひま こうでもしていないと 心が潰されそうになる 何をすることも
閉ざされた空間 文字だけの世界 ふたりは何時間と 閉じ込められている 延々と続く川の如く 流れ続ける文字列 << もういかなきゃ 戻るべき世界がある わたしはいつまでも ”ここ” にいるわけにはいかない >> さびしくてしんじゃう あなたにしてはめずらしく弱気ね << いくの >> どうせさびしくて戻るだろう << そう言われると戻りたくなくなる >> 天の邪鬼か わたしはアマノジャク 悪鬼になることで あなたの心を探っている >> 引き止めると逆効果
真っ青な空に浮かぶ 真っ白い雲 美しいコントラストを 覆い隠すように そびえたつ都会のビルディング ”約束は破られた” カタカタと揺れる窓ガラス 風がわたしを呼んでいる ラベンダー色の小さな花が咲きほこる 薄地のワンピースを纏う 少し動くだけで ふわりと裾が大きく揺れる こんな日はきっと歩きづらい けど、いいの お気に入りのハートのピアスを両耳へ 「泣かないで。いつものように明るくいて」 そう励まされる 一度は手元から離れていったはずなのに また戻ってきてくれたの
もう幸せにはなれませんと 筆ペンで記されたみたいだ 全てかけて幸せから逃げたわけじゃないのに 「たまゆら」 indigo la End 藍楽詞集より 静まり返ったコンサートホールに 澄みわたる切なげな声音 そっと零れ落ちたしずくが波紋を描いていくように 鈍い痛みとなって心に広がっていく 「もう、幸せにはなれません」 その痛みは涙となって 気づかないうちに頬を伝って 手の甲にしたり落ちた 負わなければならない罪を しょいこんで 跛行をひいて歩く わたし