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心歌集

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お一人お一人に向けた 心の手紙から始まった創詩集です。伝えきれずに残っているものも、伝えきったままのものも、伝えたくて新しく生まれてくるものも、心歌として吐き出しています。メロデ…
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ウミユリ -心歌-

重く 冷たく 心の奥深く 何も見えない 誰も気づかない 光の届かぬ 暗黒の世界 無数に咲き誇る ウミユリの花 ゆるり ゆらりと 餌を求めて 闇底を這い歩く 花びらと思っていたそれは あなたを陥れるための 触手 好きでいてくれないのなら そんな腕 切り落として差し上げるわ あなたに傷つけられた心なんて いとも簡単に再生するの あなたが何を言おうとも あなたがどんな顔をしようとも あなたが離れ去っていこうとも 枯れ切った岩肌に 必死にしがみつきながら 幾度とな

胡蝶花《シャガ》の花々

太陽に嫌われたわけじゃない やりたいことが見つからない みんなが私を気にしている 視線が暑くて苦しくなる 人目を避けるくらいなら トビラなんていらないわ あぁ、大人になりたくない 理不尽な世の中? あぁ、大人になれない 不公平な現代社会? そんなのわからない 未だ 弱虫だから 真空が嫌いなわけじゃない 決められた夢さえ見失う みんなが私を気にかける 琴線に触れて痛くなる 本音を避けるくらいなら 正解なんていらないわ あぁ、蝶になりたくない 飛び立てない世の中

「もう幸せにはなれません」-心歌-

もう幸せにはなれませんと 筆ペンで記されたみたいだ 全てかけて幸せから逃げたわけじゃないのに       「たまゆら」 indigo la End  藍楽詞集より 静まり返ったコンサートホールに 澄みわたる切なげな声音 そっと零れ落ちたしずくが波紋を描いていくように 鈍い痛みとなって心に広がっていく 「もう、幸せにはなれません」 その痛みは涙となって 気づかないうちに頬を伝って 手の甲にしたり落ちた 負わなければならない罪を しょいこんで 跛行をひいて歩く わたし

高いところがスキ -心歌-

わたし 高いところがスキ ジャングルジムの てっぺんまで登り切った 達成感 爽快感 震える足に力を入れて がんばって ふんばって 両手を天に向けて仰ぐ 「風よ吹け」 心で念じれば どこからともなく 風が吹き荒れて 柔らかな茶色の髪を ふわっとなびかせた わたし 幼いとき魔法が使えたのよ 優しく隣で笑うあなた もう、あなたに手を握っていてもらわなくても 今はひとりで立つことができる わたし 高いところがスキ 虚栄を張った自分自身の存在も 今死にたくなるほど

№ 444. -心歌-

あぁ 空は広く永遠に続くものだと 思っていた 大人になったら 自由に何処へでも羽ばたけるものだと 思っていた いつか飛べるはずだと 見上げていた空は 青かったり 赤かったり 時には紫や橙や桃色にも見えた カラフルな空が どんよりとしたモノクロの世界へと 変わってしまったのは いつの日からだったかしら 運命という鎖に縛られて いつの間に背中の両羽は 折れていたの 片脚はもがれていたのかもしれない 走り出そうとしても 感覚がなかったもの ほんの少しだけ 夢の扉があ

私は男が、嫌いだ -心歌-

私は男が、嫌いだ なぜなら自分が男じゃないから なぜ男じゃなかったのか 二分の一の確率で どうして男になれなかったのか もし男であったらの人生を たびたび考える 生まれ変わったら 男になりたいって言うのは そういう理由 ねぇ なんで そんなダサいことすんの? なんで そんな考え無しに言うの? なんで そんなカッコ悪いの? やる気がないなら 男やめればいいのに ねぇ 誰があなたに 責任とって欲しいって言った? 誰があなたに 期待してるって言った? 誰