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心歌集

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お一人お一人に向けた 心の手紙から始まった創詩集です。伝えきれずに残っているものも、伝えきったままのものも、伝えたくて新しく生まれてくるものも、心歌として吐き出しています。メロデ…
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#歌詞

ウミユリ -心歌-

重く 冷たく 心の奥深く 何も見えない 誰も気づかない 光の届かぬ 暗黒の世界 無数に咲き誇る ウミユリの花 ゆるり ゆらりと 餌を求めて 闇底を這い歩く 花びらと思っていたそれは あなたを陥れるための 触手 好きでいてくれないのなら そんな腕 切り落として差し上げるわ あなたに傷つけられた心なんて いとも簡単に再生するの あなたが何を言おうとも あなたがどんな顔をしようとも あなたが離れ去っていこうとも 枯れ切った岩肌に 必死にしがみつきながら 幾度とな

コトノハ

やはり、「気にしい」なのです 何気なくもれ落ちた言の葉 感情の全て 丸ごと吸収し  噛み砕いて 味わう 「どうしてその言葉を届けたの」 タイミングを逃し 時効となった思いが 眼に見える言の葉であふれかえる 想いが形となり 現実で可視化される 独特な記憶の復元が 自分と向き合う唯一の手段 自分を通して見えている 光り輝く感情世界を 日本語という美しい言の葉で 包み込んで放り投げて遊んでみる それが表現 わたしの見えている世界を 本物の想いで、本当の表現で 誰に気

紫鏡 〜しきょう〜

鏡よ、鏡 忘れさせてほしいの 少年心を 鏡よ、鏡 置いてきてほしいの 悪戯心を 鏡よ、鏡 放り投げてほしいの 恋し心を 鏡よ、鏡 奪ってほしいの 処女心を 鏡よ、鏡 焼き尽くしてほしいの 穢れ心を 鏡よ、鏡 オトナになる前までに 葬り去らなきゃいけないの 燻り続ける 惹起心を 「紫鏡 〜しきょう〜」 〜END

鈴々鈴々 〜りんりりんり〜

「鈴々鈴々」 秋の夜長に月名残り 「凜々凜々」 重なり合う無数の影々 「轔々轔々」 僕は わたしは 此処に居るよ 「倫理倫理」 か細い声など 誰の耳にも届きやしない 「鈴々鈴々」 あぁ、騒々しいと 人を掻き分け 心を書き分け 目を凝らした ようやくその先に あなたを見つけることが できるのでしょう 「鈴々鈴々」 〜END

不失花 〜うせざるはな〜

吸い込まれるように咲いた 失せざる花よ 晴れでも雨でもない暁降ち なんて不恰好で不細工な 花びらなのでしょうか 緋色でも茜でもない朱殷 なぜ徒恋を繰り返す 必要があったのでしょうか まるで艶やかに残るための選択が 存在しえないというように でもこれが 時分の花 どうぞ、微笑みかけて 紺青の寒空に舞い散る 山茶花の花よ 快でも不快でもない空っ風 なんと人のために生きる困難が 幸せなのでしょうか 純白でも潔白でもない真白 なぜ徒花で終わらせる 必要があった

私雨癖 〜わたくしあめぐせ〜

雨降らせグセ 治っていなかったのね 雨降らせグセ 瞳から零せばいいものを 雨降らせグセ 雲に想い隠して黙らせる 雨降らせグセ 傘を差しても無駄だから 雨降らせグセ 濡れた黒髪を見せないで 雨降らせグセ あなたのせいなんて ごめん嘘 「私雨癖」 〜END