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心歌集

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お一人お一人に向けた 心の手紙から始まった創詩集です。伝えきれずに残っているものも、伝えきったままのものも、伝えたくて新しく生まれてくるものも、心歌として吐き出しています。メロデ…
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#スキしてみて

ウミユリ -心歌-

重く 冷たく 心の奥深く 何も見えない 誰も気づかない 光の届かぬ 暗黒の世界 無数に咲き誇る ウミユリの花 ゆるり ゆらりと 餌を求めて 闇底を這い歩く 花びらと思っていたそれは あなたを陥れるための 触手 好きでいてくれないのなら そんな腕 切り落として差し上げるわ あなたに傷つけられた心なんて いとも簡単に再生するの あなたが何を言おうとも あなたがどんな顔をしようとも あなたが離れ去っていこうとも 枯れ切った岩肌に 必死にしがみつきながら 幾度とな

鈴々鈴々 〜りんりりんり〜

「鈴々鈴々」 秋の夜長に月名残り 「凜々凜々」 重なり合う無数の影々 「轔々轔々」 僕は わたしは 此処に居るよ 「倫理倫理」 か細い声など 誰の耳にも届きやしない 「鈴々鈴々」 あぁ、騒々しいと 人を掻き分け 心を書き分け 目を凝らした ようやくその先に あなたを見つけることが できるのでしょう 「鈴々鈴々」 〜END

不失花 〜うせざるはな〜

吸い込まれるように咲いた 失せざる花よ 晴れでも雨でもない暁降ち なんて不恰好で不細工な 花びらなのでしょうか 緋色でも茜でもない朱殷 なぜ徒恋を繰り返す 必要があったのでしょうか まるで艶やかに残るための選択が 存在しえないというように でもこれが 時分の花 どうぞ、微笑みかけて 紺青の寒空に舞い散る 山茶花の花よ 快でも不快でもない空風 なんと人のために生きる困難が 幸せなのでしょうか 純白でも潔白でもない真白 なぜ花びらを咲き散らす 必要があった

壊れゆく音 ‐心歌‐

愛する者を 殺されかけた時 大切な物を 壊されかけた時 なぜわたしは 愛する大切な方を 自ら壊そうとしてしまうのかしら 崩れてしまうほどに だれかを憎んだことなんて 今まで生きてきて 一度もなかったから どう怒りを表して良いのか 本当に 本当に わからなかったの * 「本当に申し訳ございませんでした」 スーツを着た偉そうなオジサン達 申し訳なさそうに涙を浮かべるオバサン達 若い親に向かって 馬鹿みたいに 何度も何度も頭を下げている そんな大事になる

彼方への置き土産 ‐心歌‐

紫紺の 海の彼方へ 産まれた記憶を置き土産 檸檬色の 時の彼方へ 無邪気な笑顔を置き土産 青藍の 星の彼方へ 親愛の情を置き土産 煌めいた一等星は 失った輝きと共に 遥か彼方さえも捨ててしまうの 見えなくなっても そばに居るわ 流れ堕ちた林から 見守っているわ それだけでは 永遠の約束にはならないけれど 命果てるまで 待ちつづけるから 勇者に 赦される日が いずれやって来ることを 「彼方への置き土産」 >>> こちらの作品は、お一人お一人に向けた心の

空と風に呼ばれて -心歌-

真っ青な空に浮かぶ 真っ白い雲 美しいコントラストを 覆い隠すように そびえたつ都会のビルディング ”約束は破られた” カタカタと揺れる窓ガラス 風がわたしを呼んでいる ラベンダー色の小さな花が咲きほこる 薄地のワンピースを纏う 少し動くだけで ふわりと裾が大きく揺れる こんな日はきっと歩きづらい けど、いいの お気に入りのハートのピアスを両耳へ 「泣かないで。いつものように明るくいて」 そう励まされる 一度は手元から離れていったはずなのに また戻ってきてくれたの