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例え眠れない夜でも

私は体調が悪かった。

今にも倒れそうなほど眠いのに
いざ眠ろうとすると一向に眠れない。

もう寝なければと
焦れば焦るほど眠れなくなって
気が付くとそのまま朝を迎えている。

例え少し眠れても、
どこかでずっと薄い夢を見ている。

夢の中でも私は
何かに焦っていて
出口はどこにも見当たらない。

絶望した気持ちでまた一日が始まる。
まるでゾンビにでもなった気分だ。

そんな私を見た全員が
「大丈夫なのか?」と口を揃えて言う。

大丈夫ではなかった。
これは完全に睡眠障害だ。

こんなふうになったのは
これが初めてではない。

これまでもこんな調子で
眠れなくなることは度々あった。

何を隠そう、
私は正真正銘
闇属性の人間だ。

作りはめんどくさいほうだと
自分で自分にそう思う。

これでも昔に比べたら
随分マシになった。

昔は本当にメンヘラと言われても
仕方がないくらい
精神的に安定していなかった。

あの頃の彼氏たちは
よくもこんな女を見放さずに
辛抱強く励ましてくれたなと
今となっては尊敬すらする。

いろんな人に出会って
いろんな出来事が起きて
私は少しずつ強くなった。

自己嫌悪の塊だった私が
ここまで自分を信じられるようになったのは
紛れもなく今まで出会った人達が
「あなたは大丈夫」と
私に伝え続けてくれたおかげだ。

私は大丈夫だ。

自分でも何故今こんなに
何かに焦っているのか理解できない。

今日も眠れなくて
気が付いたらたくの家まで来ていた。

West EndからFortitude Valleyまで
1時間かけて歩いた。
歩いたらきっと眠れると思った。

夜のブリスベンは綺麗だ。
東京とはまた違った良さがある。

私はここで生きていく。
絶対に負けたくないと思う。

思い返せば
山形から東京に上京したときも
私は同じことを思っていた。

あの頃東京で流行った
TOKYO IS YOURS
という壁の落書きは
泣きたくなるほど
私の心をぐしゃりと掴んだ。

きっとふるさとがある人だけが持つ
感情なのかもしれない。

あの壁の落書きたちは
今もまだ東京のどこかに存在するのだろうか。

これは余談だが、
Brisbane is yours
だとなんとなく
メッセージが弱い気がするのは
どうしてだろう。

TokyoとかNewYorkならわかる。
どことなく文字並びがエモいし
こちらへ訴えかけてくるものの
スケールが大きい。

Brisbaneは微妙。
Sydneyも微妙。

けどMelbourneならギリ有りかも
と私はこんな夜更けに
どうでもいいことを考える。

そんな暇があるなら
さっさと寝てしまいたい。

オーストラリアという国は
なんというか
あまり風情がない。

だからこそお気楽でいいのかもしれない。

私ももっといい意味でこの色に染まりたい。

夜中に突然訪ねてきた私に
たくは何も聞かない。

ただ部屋にキャンドルを灯し
私の好きな音楽を流して
温かい飲み物をいれてくれた。

この人は本当によく私のことを知っている。
一生大事にするべき友達だと思う。

例え眠れない夜でも、
私達は決してひとりぼっちではない。

身近な人を愛して
感謝を伝えて生きていこう。

明日はきっといい日になる。

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